2014年12月21日日曜日

手帳でふりかえる。

私のシステム手帳は、かれこれ30年ちかく付き合っている牛革製。
とくに想い出の品でも、ヴィンテージを好んでいるというわけでもないのですが、
あまりの年季のいりように、打合せの席で、ギョッ!とされることもあります。

今年も、来年の新しいリーフに入れ替えをします。
リーフの仕様は決まっています。
見開き左側に一週間、右側は横書の罫線。
アポや予定を右側に記入し、その後実際にあった作業や打合せを左側に書きます。
頭の中の情報整理のためのルーティーンなのですが、毎年この時期には一年分の
リーフを見返して感慨に耽ることになります。

今年は、身のまわりの者もふくめ、ケガや災いもなく、ありがたい年でしたが
iMacに新品のMacBookProと、たてつづけにPCトラブルに見舞われました。
仕事関係でサポートいただいた方々には、感謝であります。
アミューズメント系では、映画、演劇、コンサートと、楽しめた一年でしたが
Paul McCartneyの来日公演の、まさに目前での中止は残念でショックでした。
幸い、本人は健康を取り戻したようで、来年のリベンジ来日に期待しましょう。

そして
大学時代の仲間。中学・高校時代の仲間や恩師との、出会いと再会の年でした。
昔っから、付き合いのわるい私と係ってくれるばかりか、一緒にものづくりを
してけることが、楽しく、ありがたいことと感じております。

これからも、この流れがつづきますよう。
そして、なにかで恩返しになっていれば、と思う次第であります。

2014年12月20日土曜日

仕事は戦い 人生とは戦い

住宅や集合住宅は、建主や住人の方々の人生の一部を彩るものです。
住宅や集合住宅の設計という仕事には、そんな喜びを感じるのですが
その『仕事』の側面には(‥どんな仕事あっても、そうであるように)
『戦う』 という 一面もあるわけです。

『戦う』相手は、といえば 不条理 ということになります。
それはたとえば、整合性があるとはとても思いがたい建築の法規制や、
巷の経済状況といった、個人レベルではとても太刀打ちできないもの
まで幾多にわたります。
ただ反面、私にはそんな不条理と戦うエネルギーこそ、創造力の源で
あったりもするわけで、これは矛盾ですね。

『戦う』 ということでいえば『試験』もそのひとつ。
昨日、仕事を手伝ってもらっている同業のK君から連絡がありました。
念願の 一級建築士 の資格試験に合格できたとのこと。祝!


今年も いろいろコメントしましたが
職業がら守秘義務のこともあり、仕事の話はあまりできませんでした。
来年は もすこし 具体的な仕事のお話ができると思います。
まだまだ、年は明けませんが。


(自然は戦士の休息。photoはそれ以外、特に意味はありません。)

2014年11月25日火曜日

建築の力

ギャラリー間

『エマージング・グリッド(生成するグリッド)』
なにかの生命体を思わせる、三次元状に広がるチューブの構造システム。
壁・天井・床といった概念を消し去って、まるで洞窟のような空間です。
この構造システムを思いつき、具現化しただけでもすごいところですが、
オペラ劇場(大小3ステージ)の複雑な機能を、絶妙に埋めこんでいる。
伏図で観ると、配置に全く無駄がない。見事、というより信じられない。

展示空間は、とかく 抽象的な表現でおわりそうなところ
コンペの当選案から実施案への変遷や、現場の作業の悪戦苦闘ぶりなど
リアル感が迫力があって、楽しい。

ドキュメント映像では
発注者である台中市の市長は、この建築を夢と例えています。
建築現場の所長は、なしとげた仕事を誇らしく語っています。
‥建築 ってすごい力があるんだなあ、と つくづく。

その建築力が、いま日本で、東京で期待されているのが、建替えられる
『新国立競技場』(ザハ・ハディド設計)と、いうことなのでしょうが、
その建替工事への反旗として、改修工事案を公表したのも伊東豊雄さん。
少し、あやも感じました。

当初のコンセプトを具現化できたという、幸福な建築 という側面も
このオペラハウスにはあるのかもしれません。

2014年11月19日水曜日

新語・流行語大賞

今年も新語・流行語大賞の候補が発表されました。
私の予想も、いくつか当たっていたようでした。
いそぎ、下記の言葉も候補に加えていただきたい。

『不器用ですから‥』
『往く道は精進にして 忍びて終わり悔いなし』

高倉健さん ありがとう。おつかれさま。

2014年11月17日月曜日

高さ制限へのパブ・コメ

東京都大田区がすすめる 絶対高さ制限を定める高度地区
第一次素案 に対するパブリックコメントを下記のように送付しました。

基準法に係る建築物に対する高さの制限はじつに複雑で、一般の方には
なかなか理解するのが難しく、それもひとつの問題だなと考えています。
一般の方にも、出来るだけ分かりやすい主張となるよう、つとめました。
________________________________

建築物の絶対高さ制限の導入には、基本的には賛成です。
ただ、ひとつ規制を加えれば環境が良くなるだろう、といった短絡的な
発想ではなく、既存の建築物の高さ規制と絡めて総合的に規制の計画が
なされるべきす。

すでに建築物の高さに係る規制には、建築基準法上に道路斜線制限等の
高さ制限や日影規制、採光面積などが存在しております。

その中でも特に、高度地区による斜線型高さ制限(高度斜線制限)は、
建築物の形体と街並を歪なものとする弊害でしかありません。
この高度斜線制限(第二種、第三種)を撤廃することで、空地率を
上げた建築物の計画を促すことにもなり、容積率を確保しつつ、さらに
厳しい絶対高さ制限も可能になるはずです

別紙に、ひとつの例としまして
第一種住居地域(建蔽率60%・建蔽率200%)での改訂案を示します。

大田区におきましては、総合的な判断と行動をお願いいたします。



2014年11月15日土曜日

計画は法規との鬩ぎあい

知人の建築家・小林真人さんの作品のオープンハウスに伺います。
大田区大森駅近くにある、竣工間近にひかえた集合住宅作品です。

最上階のオーナー邸を含む建物費用は、1階店舗と基準階住居の
賃貸部分の収益で償却し、相続対策にも、という、事業としては
比較的オーソドックスなストーリーのようです。

当方も、こういた集合住宅計画は得意なところ。
私ならこう計画するな‥と考察しながら見ていくためでしょうか、
限られていたであろうコストの範疇で、日影規制や高度斜線制限
といった法規制とのせめぎ合いに リスペクト をおぼえます。

敷地の形状や高低差の影響で、一見複雑にみえるプランニングも
ゾーニングは意外とシンプルで明快。参考にいたしましょう。

2014年11月14日金曜日

人として。建築家として。

昨晩は有楽町よみうりホールにて、建築家・内藤廣講演会 『3.11以降の建築』
(東西アスファルト事業協同組合・田島ルーフィング主催)

内藤先生の、東日本大震災の復興へ向けた活動を通し考えてこられた内容です。
建築家が、その作品に作家性を追い求める行為。
それが、文化や経済を動かす、ひとつのファクターであったことは認めつつも、
目の前に広がる被災地の復興の手助けとして、人として何をするのか、という
現実との乖離に、葛藤されていた、ということ。

私は、内藤先生のように復興への大きな手助けができるわけではありませんが、
建築家が、その作品に作家性を追い求める。という仕事への、違和感を感じる
ことは、(被災地ではない)日常の風景の中であっても、ときどきあります。

簡単に答えが出せるものではない、と言われつつも。
ひとつ、これかな。と 例に出された被災地福島県の建築『福島県教育会館
(設計は、当時前川事務所に在籍されていた大高正人氏。)
バルコニーから眼前の阿武隈川をのぞみ、背景の山並みにとけ込むシルエット。
構造や機能のシンプルな構成‥。絶賛されていました。(私も訪れてみたい。)

ただ、その内藤先生の感動とは
私が、内藤廣作品『安曇野ちひろ美術館』に感激した内容に通じることにも
気がつきます。葛藤のこたえの一部は、ご自身の内面にすでに存在していた
やに、思えてくるのです。


講演会をあとは、有楽町駅から新橋駅まで、JRのガード添いに歩いてみる。
ガード下の飲みや街も風景が変わった。バリケードされた空き空間が目立つ。
バブルの頃には隠れ家的なクラブもあったな。ハメを外したことを思い出す。
ただ今日は、ちょっとだけ吞んで帰るとしました。

2014年11月13日木曜日

ヒッチハイクの旅人

ヒッチハイクをしていた旅人をピックアップしてあげる。思えば人生初体験のこと。
関越道のPAの駐車場。『東京方面へ』と書かれたスケッチブックを掲げた若者だ。
映画のように、親指出したカーボーイハットの美女では(残念ながら)なかったが
純朴そうな青年の様子に免じて、愛車への同乗をゆるしてあげた。

‥どこまで、どうやっていくつもり?
‥福岡まで。ヒッチハイクでいきます。どこかのPAまでお願いできないでしょうか‥
‥ ・・・・はあ?

聞けば
なにかの出会い系SNSで知り合った女性のところへいって、同棲するのだとゆう。
なにごとも経験を重ねてきた者としては、ツッコミどころ満載の返事をしてきた。

‥それってホントに 彼女 なの?
私の質問の意図を理解したようで、彼は少しにやけて 大丈夫です。と、一言。

動機はどうあれ、行動力には リスペクト したところでもって
環八の用賀にある東名高速入口近くの マクドナルド まで送り届けてあげよう。
ここは東名高速でゴルフ場などに向かう待ち合わせスポットとして有名なところ。
車内で『名古屋方面へ』と書き込んだスケッチブックを掲げて、がんばってくれ。

2014年11月9日日曜日

国際紛争の悲劇と喜劇

今日の Googleのトップページのロゴ。
ブランデンブルク門を背に、かつて存在したベルリンの壁の上に集う人々の姿。
25年前1989年の今日は、東西冷戦の象徴・ベルリンの壁崩壊の日とのことです。

二次大戦の敗戦国ドイツは
アメリカを中心の西側自由主義側と、東側共産主義の当時ソ連側とで領土が分断。
東ドイツに存在したベルリンは、西側・東側との境界は物理的に壁で仕切られた。
壁を超えようと数々の悲劇が起きたことに対し、礼を欠く物言いではありますが
自由な往来が出来ないよう 壁 で仕切っちゃうとは、じつに滑稽な所業でした。

1988年壁崩壊の前年。
西ドイツのボンから、列車で西ベルリンに向かいます。
車内で簡易的なビザが発給されると、列車は東ドイツ国内に入るのですが、その
車窓から垣間見えた東ドイツの風景に、思わず興奮してしまいました。
グレーにくすむレトロな街並に戦前を思わすクラシックカー‥ 映画のセットか?
まさに、映画『バック・ツー・ザ・フューチャー』リアル体験版であります。

東西を仕切る壁の検問所のひとつ、チェック・ポイント・チャーリーの西側には
『壁美術館』なるものがありました。人々が、どんな手段でこの壁を越えようと
試みてきたのか、ジオラマやイラストで紹介されています。
あるものは鳥人間と化し、あるものは荷物のトランクに身を隠し、双子の姉妹は
入れ替り作戦をし‥と 命がけの決行であったものが(‥いささか不謹慎な文言
をお許しいただきたい。) ギャグ に見えていました。

‥その ギャグ ということで括りますれば
昨日、米国CIAが『アルゴ』作戦の真相を公表、という記事が目にとまりました。
1979年イラン革命の最中、首都テヘランの米国大使館から脱出した大使館員を
救出すべく、ウソのハリウッドSF映画『アルゴ』の撮影クルーを仕立てて入国し、
6人の大使館員を無事救出した、という ホントかよ~? という実話のこと。
まんま『アルゴ』として、映画はアカデミー作品賞を受賞しました。
‥私も楽しみました。主演で監督のベン・アフレックは、名優なのか大根なのか
 よくわかんないとこが、よかった。おすすめ。
CIAの曰くは、映画や製作者に敬意を表しつつ、いくつかデフォルメはあっても
ホントにあったことだよ‥。 と、いっていることのようです。


争いは 悲惨で愚かしい。
愚かしさだけを見ていられるのは、身近な場面では平和を実感しているからです。
そのことを、忘れないでいたい。
悲劇ではなく、世界中に笑顔が溢れますように。

2014年11月7日金曜日

建物の高さ制限は、やっはり変わるべき。

都内大田区がすすめている『建物高さに関するルールの変更』
先日、パブリックコメントの募集に先立つ『第一次素案の説明会』に参加してきました。
会場では、レクチャーを行う大田区まちづくり管理課の中に懐かしい顔を見つけました。
もう25年以上も昔の修業時代、大田区の建築審査課にて何度かやり取りをしたF氏です。
レクチャーが始まるまで、しばし昔話を楽しめました。
当時は私も若かったので(‥平均GLの取り方だったかな。)指導にくってかかりました。
いまでは、思い出のひとつです。

そんな昔のよしみとはウラハラに この『第一次素案の説明会』
ちょっとど~よ ‥と思えた事柄が2つありました。

ひとつは素案の内容。
新聞の折り込みで入っていた大田区報の内容には、高度斜線制限(北側からの斜線制限)
を絶対高さ制限を絡めて全て刷新するようなニュアンスで描かれていました。先月の記事
ところが、素案の資料を見ると、現行の高度斜線制限はそのままに、プラス絶対高さ制限
を導入する、ということのようです。

そもそも区報に、単純に『絶対高さ制限を導入しようと思います』となぜ書かなかったの
かも疑問ですが、絶対高さの指定値や算定方法も複雑で、何がナンだかよくわかりません。
そんなことより、高度斜線制限(あるいは高度地区の指定)を撤廃して、絶対高さの制限
だけにすればシンプルで、一般にも理解しやすいはず。歪な街並も解消にむかうでしょう。
そうであれば、素案にある絶対高さの指定値は、もっと厳しくてもよいでしょう。

もうひとつは 録音されていた、ということ。
レクチャーに先立ち、区側から録音する旨通告され、壇上にICレコーダーが置かれました。
企業がクレーマー対策に用いる手法。自由闊達な質疑を期待するべく場には馴染みません。
ただ、説明会がすすむにつれ、その意味も理解できてきます。

説明会の参加者が、本当にクレーマーと化して壇上のお役人さん達を詰問しだしたのです。
隣のマンション建設なんとかしてくれ…、道路にひびが入った…、この辺は海だった…? 
個人的なものから、よく分からないものまで、素案の内容とは直接関係のないことばかり。
そういった苦情は、区役所の窓口でおこなえるもの。この場では、マナー違反です。
お役人さん達にも ご苦労があることは 理解します。

パブリックコメント
私も提出するつもりです。
このblogでもオープンにする予定です。

2014年10月27日月曜日

ホーム・カミング・デー

昨日は 母校の東京理科大学・ホームカミングデー2014 ということで。
数年前に完成した葛飾・金町の新キャンパスへ、はじめて足をはこびます。
広いキャンパス、大きくかっこいい校舎、まあ びっくりです。

ちょうど30年前 私が卒業したのは神楽坂の校舎ででした。
その工学部建築学科も、この新葛飾キャンパスに移転となった、とのこと。
キャンパスは心地よくても、通学はきついな。卒業は昔でよかったのかも。

届いていた 懇親会の案内状 には 
卒業50・40・30・20・10周年の皆様 へ とあります。
30周年のテーブルに懐かしい顔があり、しばしのタイムスリップを楽しむ
ことができました。10年に一度の再会の場。ということでしょう。
10年に一度といえば、携わっている中学・高校のほうの同窓会実行委員も、
卒業年度の末尾の数字ごと、10年ごとの期の持ち回りです。奇遇なような‥。

催し物も 楽しめました。
杉田二郎・庄野真代のスペシャルライブ。『戦争を知らない子供たち』に
70年代じゃない、いまだからこそあるメッセージを感じます。
数学者・秋山仁先生の記念講演。理科大在校中の劣等生ぶりは、同じように
劣等生であった自分が救われたような気持ちになれました。

年を重ねることも、あながち悪くないね。

2014年10月24日金曜日

ザハ・ハディド

東京オペラシティ アートギャラリー にて開催の 『ザハ・ハディド展』へ
ザハは、新国立競技場の設計から、日本で一般に知られるようになりました。
斬新な近未来感覚の造形が特徴の建築家(‥というか、デザイナー)です。

“展示物が、ところどころ尖ってますので お気をつけください。”
というモギリの女性に、じゃあ養生しろよ。‥などと反論してはいけない。
そこが ザハ・ハディド の造形の真骨頂。

SF映画に描かれている未来の都市が、そのまま実現したような感覚です。
もう、近未来でも、フィクションでもない。
作品の造形のかっ飛び方は、たとえばかつての丹下健三氏の作品のように
コレコレこーゆ理由で こうなりました‥ といった論理性は見えない。
(あるのかもしれませんが。)そういったことは超越したパワーです。

展示スペースの最後は 建替え問題が話題となった 『新国立競技場』

予算の削減から大幅に修正された基本設計の案は、なんともオトナしい‥
削ぎ落とされた造形は、まさに、丹下氏の論理的整合性の造形であり、
コンペの当選案とは、別の計画案だ。ちょっと、さびしい。
リーゼントでツッパりかました学生が、就職先でスーツが似合う営業マン
になっているような感覚です。(…うまく例えられませんが。)

最後の 展示パネル に苦笑してしまった。
この新国立競技場 と 現在の国立競技場(改修した場合も含めて?)
の 収容人数や設備、国際基準などを 並べて、性能をアピールしている。
この建物に建替えることは正解だよ。という、やんわりとした主張である。
(この展示の主旨は、そうゆうことなのね。)

私は コンペで選ばれた当初の ザハ・ハディドの計画案は大好きです。
こんなの東京にできたら カッコいいな‥と素直に思いました。
景観の問題で反対されている方々には違和感があります。
(当選案が決まってから、反対することではないでしょう。)

ただ、予算を大幅に逸脱した計画案で当選を勝ち取った。ということには
異議があります。計画そのものも、大きく舵を切るチャンスでした。

ザハ・ハディドは、建築家ではなく デザイナーだと思っている所以です。


2014年10月22日水曜日

建物の高さ制限は変わるべき。

『建築物の高さに関するルールの変更を進めています。』
朝の新聞折り込まれていた 都内大田区の区報 です。

都市では、多くの建物の形状や街並が、斜線状に高さの制限を受け歪な姿です。
許容された床面積を、高度に活用することを要求される都市の建築計画に対し、
建物の高さの規制が、うまくリンクできていないことから発生する弊害です。
都心で住宅や集合住宅を計画する者として、この弊害とずっと戦ってきました。

この大田区のルールの変更が、都内他区にも影響していくことも考えられます。
ルールが よい方向に変更されるのであれば 歓迎 です。


都市部での、中小規模の建物の計画で おもに影響を受ける高さの斜線制限は
建築基準法における道路斜線制限(敷地前面の道路幅から算出されるもの)と
今回、大田区でルールの変更を進めているという、高度地区ごとに設定された、
敷地の真北方向から発生する高度斜線制限(建築基準法にも敷地真北方向から
の斜線制限もりますが、まず、この高度斜線制限が厳しいです。)があります。
‥他にも、基準法に規定された隣地境界からの斜線制限もあります。
 よく誤解されますが、基準法の日影規制は、建物高さの制限ではありません。
 一定の高さ以上の建物の場合。発生する日影のエリアを規制するものです。

道路斜線制限のほうは
私が卒業した頃では、単に敷地の前面道路の対面からの倍率(1.25 や 1.5)と
杓子定規な規制でしたが、計画建物の道路からの離隔距離が道路幅に考慮され
るようになり、ついで天空率という概念も導入され、規制緩和がすすみました。

高度斜線制限のほうも もっと現実的なものになるべきです。

郊外で、広い敷地が充分に確保できる住宅の計画なら、採光も十分に取れます。
都市は、広い敷地を確保することはままならず、充分な採光はなかなか難しい。
しかし都市はインフラも整備され、情報も集まりアミューズメントも沢山です。
都市には都市なりの、生活の豊かさがあるのです。
そこに、郊外の豊かさまで個々の住宅に求めようとする所に矛盾が生まれます。

機内で知り合った邦人の住まい。
NY・マンハッタンの中心にある、高層ビルの住宅を訪ねたことがありました。
いはゆるスチューディオ・タイプの部屋には、日中あまり光はさしません。
こんな住宅で住み心地はいいのかな‥、という疑問は休日になって解けました。
晴天のセントラル・パーク に 余暇を楽しむ人々が溢れているのです。
ここが、いはば 公共の庭 となった様相です。

東京でも、生活スタイルへの意識から、変えていく必要もありましょう。
そこは、空家問題の解決にも通じるところ。

区報の内容は、大田区としての第一次素案で、パブコメの前段階のようです。
具体的な規制の数値がはいっていません。
私は、絶対高さ制限のみの指定でいい。ドラスティックな変革を支持します。


2014年10月20日月曜日

六本木・うららか展示会めぐり

六本木『六本木アクシスビル』にて アクシス フォト マルシェ vol.1
各ギャラリーが、若手や新人写真家の作品など 掘り出し物を出展。
なるほど、まさに写真作品のマルシェ(市場)といった感じである。

友人の大阪の写真家・多田ユウコさんの さわやかな作品
楽しませていただいた。
写真とは、被写体を写すという行為を借りて、じつは撮影者自身の
感性や主張を映し出しているところが、面白い。


その足で 東京ミッドタウン『ガレリア・コートヤード』にたちよる。
この夏、ゴジラがいたところだ。展示会があることは知っていたが
そうか、この時期この場所だったのか‥。
SE構法(株式会社 エヌ・シー・エヌ)による新たな取り組みの展示。
パーツ化された規格寸法の木材で実現する7組の住宅のプロトタイプ案。
一般の人にもわかりやすい。住宅をつくる、ということの楽しさがある。
顔馴染みの担当者とご挨拶。


21_21近くの遊歩道『ミッドタウン・ガーデン』のせせらぎ では
八郷瓦(茨城県の旧八郷町につたわる瓦)と笠間焼 といった陶器の作品展
せせらぎの水の底に、デザイナー達によるそれぞれの作品群が涼しげだ。
“気に入った作品に投じてください。” とコインを渡された。
わたしは、笠間焼の湯たんぽのひとつに一票。
よく見ると、本物のコインも投じられてる。トレビの泉のようなご利益は?

うららかな 休日でした。


2014年10月14日火曜日

映画の一部となる建築

台風の影響もあって、先週末の連休は、BSでも映画を観ていました。

渡辺謙さん出演『明日の記憶』 はじめてラストシーンまで観て知ったのですが、
若年性アルツハイマー病の主人公(渡辺謙)が自ら訪れる療養施設という設定で
安曇野の『ちひろ美術館』(設計:内藤廣) が 使われていました。 

私も一度、訪れたことがあります。
背後の北アルプスの尾根と形状を同じくし、自然の風景と溶け込む静かな佇まい。
単に絵(いわさきちひろ)を鑑賞する美術館というより、ゆったり時間を過ごす
設えが施設の随所にあり、この映画の、この設定にピッタリだ。と感心しました。

映画の中で 印象に残る役回りの建築 というのは他にもいろいろあります。

伊丹十三監督の 『マルサの女2』では
大胆にも『ヤマトインターナショナル』(設計:原広司)が国税局の建物として
登場します。普段目にできない内部でロケもされていて、そこだけでも興味深い。

名匠リドリー・スコット監督 松田優作の遺作となった『ブラックレイン』では
かつて道頓堀の戎橋の袂に君臨していた『キリン・プラザ』(設計:高松伸)が
なにわのブレードランナーよろしく、近未来感満載に輝いていました。

こういった いはゆる名建築 と言われるものではないにしろ
建築空間は 作品としての映画表現の 重要なファクターになることが多いです。


先日 このコラムにupしました 『ふしぎな岬の物語』
(大変に申し訳ないのですが‥)ほんとーに つまらない作品でした。
舞台となる主人公(吉永小百合さん)の喫茶店は、せっかく風光明媚な岬の突端
にありながら、薄暗い室内に丸見えの厨房。海を眺めることもできないようです。
少なくとも、村の人々がコーヒー1杯目当てに集ってくるとはとても思えません。

たとえば、この喫茶店が
天井の高い、普段は燦々としたオープンテラスのお店
掃き出し窓を開けると、バルコニーの突端は海と一体‥
そんな お店だったらどうでしょうか‥?
物語のキーとなる虹の絵は、海に背を向けて掛けられていて、ある席に座ると
背後の風景と重なり合うのです。その席が、亡きご主人の特等席‥。

なあんて設定だったら どうでしょうかね‥?

この映画、ひとつ ご覧になってみてください。

2014年10月13日月曜日

ダーティー・ハリーとサユリスト

『ふしぎな岬の物語』
吉永小百合さん自らのプロデュースという期待は(大変に申し訳ない‥)肩すかし。
物語に深みもない、例えば、雄大な大自然やスタイリッシュなインテリアといった
オリジナルな見所もない。ひたすら、小百合さんの神々しい存在感に頼ってるだけ。
ただ きっと
出演者の方々は、役柄そのままの小百合さんの丁寧な依頼を快諾されたのでしょう。
皆さん楽しんで演技をされている現場が思い浮かび、不思議と入場料が損ではない、
まさに “ふしぎな” 映画でありました。

『ジャージー・ボーイズ』
50年代に活躍した男性ボーカル・グループ『フォー・シーズンス』を主人公にした
軽いタッチのプチ・ミュージカル風、男の友情物語。
背景とした楽曲が皆素晴らしい。それでいて、アナ雪のように押し付けてこない。
さあここで泣いて!といった過度の演出も(ラストシーン以外は)抑えられている
ところは、クイント・イーストウッドの映像らしさ全開。そこが胸を熱くします。

ピュアな母性に満ちた 静の映画
ヤンチャ系軽音男子の 動の映画

2人の往年(失礼かな)の銀幕スターのコントラストが面白い。




2014年10月12日日曜日

建築家紹介サイトにいくまえに。

『建築家』に、進行中のプロジェクトにマッチした『工務店』を紹介しましょう‥。
先週、事務所にこられた一生懸命な営業ウーマンの方には、申し訳ないとこですが
このようなビジネスモデルは もはや 成立しません。
“無料で紹介” とは、紹介する『工務店』からマージンを得ているということです。
そのマージンは、そのまま工事金額に上乗せになることは、誰にでも理解できます。

情報革命(IT革命)といわれて、もう久しいです。
『工務店』を探すのなら、ネットで検索できます。
そして、『工務店』を選ぶ基準は、金額だけではありません。
得意分野、実績や技術力、仕事に対する考え方や情熱など、実際に責任者や担当者
と直接会って話を聞いてみないことには、判断できない部分がほとんどです。

“建築家を紹介します” というビジネスモデルにも、全く同じことがいえます。
『建築家』を『建主』に。『工務店』を『建築家』に。置き換えればそのままです。

インタネットに限らず、展示会などで“無料で建築家を紹介”というのも同様です。
紹介される側(建築家や工務店)からのマージンが発生していることがあります。
もちろん、回り回って知らず知らずに、無料で紹介された建主の負担になるのです。

じつは、私もこういった紹介サイトや紹介ビジネスには、多数登録しております。
それは
『建主』の方に、無料で紹介してもらうためではありません。
『建主』の方に、直接 私(SOCIUS)を見つけてもらうためです。

住宅や集合住宅の計画をお考えの方々には ぜひ
気になった建築家をみつけて、紹介会社を介さず、直接会いにいってみましょう。

大きな病気になったとき、信頼できるお医者さんを探すことと似てると思います。
病気を克服するのには、信頼できるお医者さんと二人三脚で取り組むのと同じく、
建主と建築家との関係にも、信頼と共感が大切だと思っています。
敷居は高くありません。

2014年10月11日土曜日

ノーベル平和賞

発表直前、憲法9条の受賞を危惧してか首相の『結構、政治的ですよね。』発言が
ネットに出まわってましたが、こういった発言そのものが政治的で、センスがない。
ただ(もちろん違った意味で)ノーベル平和賞の中に政治的なメッセージは明らか。

受賞者おふたりは、女性や子供達の権利を守ろうとする共通の志の同士。 ただ
イスラム教徒 と ヒンドゥー教徒 という異教徒同士。
インド と パキスタン という紛争当事者の国民同士。
17歳の少女一人に荷が重すぎないようにしたダブル受賞。
『政治的』 も よいではないですか。

マララ さんは 有名な人なので わかるのですが
インドで不幸な子供達を救う活動をされてる、カイラシュ・サティアルティ さんも
立派な方のよう。こういった方々を知ることができるのも、賞の意味でしょうか。

新聞やネットによると、サティアルティさんは
活動に反対するものに襲われ頭や足、背中を負傷したこともあるそうな。
活動家仲間の中には狙撃されたり、殴り殺されたりした者もいるという。

サティアルティさんの言葉
‥もし攻撃されるなら、我々は正しい道を歩んでいると分かる。
 私たちは社会悪と戦っている。
 悪魔が復讐してこないようでは、我々の活動が悪魔を脅かしていないことになる。

先日
渡航してイスラム国に入隊することを画策してた学生のことが報道さていました。
シリアの別の過激派組織に入って、戦闘行為に加わっていていた経験を告白する
別の学生が、TVのインタヴューを受けていました。

紛争地域で戦闘行為に加わり、命のやり取りをしてみたい、というのであるなら、
インドへいって、このサティアルティさんの用心棒をしてあげては どうなんだ。
よっぽど 世のため 人のためだぜ。

2014年10月10日金曜日

ノーベル文学賞

ノーベル賞 には
平和賞の他 物理学賞 化学賞 経済学賞 医学生理学賞 そして文学賞があります。
平和賞は別にして、文学って 他の賞のように 学術 といえるのであろうか‥。
学術は真理の追究をもってして、社会に貢献するものですね。LEDなどさえたるもの。
ただ文学(小説)は、真理とは逆の、いはば虚構の構築という作業ともいえるのでは。
常々こんな疑問を抱いている私は、心底 ヘソマガリ者 であります。

村上春樹さん。残念ながら、今年も受賞を逃しました。
村上さんの作品は 縁あって蜷川演出による『海辺のカフカ』の舞台を2回観ました。
それを機に、いくつかかじり読みをしてみたのですが、私には ちょっと合わないな‥。
やっぱり ヘソマガリ者 なのでしょうか。

文学(小説)には エンターテイメント という側面もあります。
問題発言もあってかもしかして、もう候補からはずれてしまったのかもしれませんが
ノーベル賞文学賞には ぜひ BOB DYLAN (ボブディラン) を 私は推したい。

ためしに 60~70年代の彼の詩を(出来れば原文で)読んでみてほしい。
例えば Blowin’ in the Wind (風に吹かれて)、I want you、Forever Young‥
The time they are a-change メッセージ・ソングの元祖です。

70年代には Hurricane という詩で
無実の罪で10年以上投獄されていた黒人プロボクサーを解放させています。
(映画にもなりましたね。)

エンターテイメントの賞よりも、ノーベル賞が相応しいと思ってます。

2014年10月6日月曜日

『空き家問題』を新たな住宅スタイルを造るきっかけに。

昭和30年代のいはゆる高度成長期に区画分譲されたのであろう、住宅団地があります。
整然と戸建住宅が並び、生活感がただよっているようでいて、よく見ると空き家も目立ちます。
空き家の中には解体され、更地になった場所に、また同じような新築住宅が造られていく‥。
という、見方よっては不思議な光景も目にします。

しかし、放置された空き家は、火事や倒壊・犯罪の温床にもなり、もっと深刻です。

都内大田区にある事務所の近くにも、長らく朽ち果てた木造アパートが放置されていました。
自治体の空き家に対するケーススタディーとして、メディアでも大きく取り上げられましたが、
結局、大田区による行政代執行で解体されたようです。周辺の方々には、ひとまず安心です。

昨今、新聞やTVでも大きくでも取り上げられるようになった、全国に広がる 空き家問題。
今後、とてつもなく大きな社会問題になってしまうのでは、と危惧しております。

□□□

この7月 総務省の発表では。
全国の空き家は820万戸。総住宅数に占める割合13.5%と、ともに過去最悪だそうです。

先日の野村総研の発表では、2023年の空き家率は 21.0%にも上ると予想されています。
…ただこれには2つのシナリオがあるようです。
 単独世帯が増えて世帯数の増加スピードが高まると、逆に空き家率の増加が鈍化します。
 現在の13.5%という空き家率から、増加が鈍化した場合は2023年の空き家は13.7%。
 ただ、2020年ピークに世帯数は減少に転じます。
 世帯数減少を考慮し、住宅の除却・減築を進めなければ21.0%。5軒に1軒は空き家。

□□□

空き家は、積極的に活用しようとする取り組みもあります。
使われなくなった空き家を、借り上げた自治体や、空き家の持ち主本人が大家さんとなり、
基本的に、原状回復の義務なしで賃貸するという方法。入居者はDIYでリフォームします。
空き家にとっても、入居者にとってもハッピーでユニークな賃貸借住宅で、いいですね。

ただこれは、いまある空き家の利用方法で、直接的に空き家を減らす手段にはなりません。

□□□

空き家が増えていく メカニズム はわかっています。
税制や人口減少などの要因もありましょうが、ようは住宅を造りすぎているのです。

住宅の生産は
家電や自動車と同じく、我が国の産業構造の中にガッチリ組み込まれてしまっています。
造りつづけていないことには、経済が回らないのです。それは、景気状況の判断として
住宅着工数の推移や比較が取り上げられていることからもわかります。

日本の住宅政策で、住宅総量目安にて、毎年の住宅着工数をコントロールしては‥。
という考え方もあります。 (※参照:『「空き家」が蝕む日本』長嶋修 ポプラ社)
無計画に、住宅はとにかく造らんかな売らんかな‥ではなく。西欧の多くの国のように
10年間の住宅需要や住宅建設見込みを推計し、10年間でどれくらいの数の新築住宅を
建てるのかといった、大まかな計画をたてるのです。
かりに、10年で世帯数の10%分の住宅を造ることにすれば(人口動態などを考慮せず
単純に計算すると)100年で全世帯分の住宅ができることになります。
住宅の寿命を100年程度とすれば、そのサイクルと一致するというわけです。
もちろん、住宅の寿命や割合をどのように設定するかは、各国の判断で決められます。
合理的で、よい考え方ですね。

ただ(住宅産業界の肩を持つわけではないのですが‥)
現時点で、この手法をそのまま我が国にあてはめるのには、違和感もあります。

たとえば、都市部でも防災の観点から不燃化建築への建替えが急務な木造住宅群や、
地方にいけば、通柱も筋交いもない粗悪な建築群。つまり(いやな言い方なのですが‥)
淘汰されるべく住宅建築も、悲しいかな沢山あるのも現実でしょう。
長持ちする良質な新築住宅であるのなら、まだまだ造りつづける必要はあるはずです。

そして、長持ちする良質な住宅を新築していこう。という取り組みの政策もあります。
住宅性能評価制度をベースとした 長期優良住宅 の制度です。
これは、新築住宅一辺倒であったこれまでの住宅市場に、中古住宅も流通させてよう、
という不動産業界の改革とリンクするもので、これも基本的に支持できるところです。

ただ
私には、住宅の『長期優良』とするべく基準項目には、まだ検討の余地があるように思えます。

□□□

空き家を減らす。
そのためには、新規住宅着工数は徐々に減らしつつ、出来上がった住宅は長持ちをさせること。
それには政策や産業構造の改革ばかりでなく、私達の価値観も変化していかなくてはならない。
私は、そう考えています。 
必要なことは 2つです。

ひとつには
古いもの、または古いものをアレンジして使う。ということの価値を、もっと高めていくこと。
せっかく造った住宅建築は、出来るだけ次世代に引継ぐことを“カッコよし”とする価値観です。

住宅建築は、建主個人の資産であることと同時に 社会全体のインフラでもあるはずです。
そう考えると、2020年東京五輪のメイン会場となる新国立競技場建設が、多額の予算(血税)
による建替新築工事ではなく、現・国立競技場の耐震補強と改修の計画でカッコよくできれば、
逆に象徴的存在となりえたかもしれません。象徴とは、斬新なデザインだけではないはずです。

もう ひつとは 
『新築持家ステップアップ思考』と並ぶ、『住宅に対する新たな基軸』をつくっていくこと。
『新築持家ステップアップ思考』とは、私が勝手に考えてた造語です。
賃貸住宅→分譲や新築住宅。と、人生のステージと共に住宅もステップアップさせる考え方。
くれぐれも、誤解なきようにお願いしたいのですが。
私はこの『新築持家ステップアップ思考』はダメですよ‥。といっているのではありません。
建築家にとっても建主の方との新築住宅の計画は、アグレッシブでやりがいのある仕事です。

ただ、住宅のあり方がこの選択肢だけ、というのも またつまらない。
建築家をはじめとする住宅を造る側の者は、建築を計画する前に、ライフスタイルのあり様
も提案し、選択肢をも示す義務もあるのではないだろうか‥。そんな思いもあるのです。
豊かさとは、選択肢の多さ(…多すぎるのは、よくありませんが)だと考えるからです。

たとえば、(これは私の抱く、まだ おぼろげながらのアイディアではありますが。)
『長期定住型賃貸集合住宅』
入居者の生活スタイルや家族構成の変化に対応した、終の住処となるプライベートスペース。
コミュニティーが付加価値であり、入居していることにステイタスのある賃貸式の集合住宅。
庶民的なレベルで、こんな21世紀の『同潤会アパート』のような住宅ができないだろうか‥。

空き家問題 は ネガティブで深刻な問題ではありますが
見方を変えて、新しい住宅のあり方や価値観を考えてみる、きっかけとするべきでしょう。

2014年10月5日日曜日

雨とキャンプとゲートブリッジ

昨晩は 東京ゲートブリッジの袂
若洲海浜公園にて 学生時代の仲間とキャンプ。
楽しいひととき でした。

台風18号の影響が出始めた、この朝は早々に撤収。
この前のBBQも雨。雨男は わたしかもしれない。


2014年10月3日金曜日

情報収集・木造耐火建築物の仕様



先日 UP いたしました、木造耐火建築物の仕様とする外壁の認定工法のけん。
そこに付け加えるかたちで、UP いたします。

・内壁は、(基本)強化石膏ボード(21mm) の2重貼 
・外壁は、ALC版(35mm以上) に 指定の(窯業系)サイディング(15mm以上) 
これは、木造住宅産業協会(木住協)が取得している大臣認定の仕様なのですが、
どうも、このALC版に代わり(内壁同様に)強化石膏ボードの2重貼でいける‥
という仕様があるという情報は、得ておりおりました。
なにしろ新しい基準です。いろんな仕様のバリエーションが出てくるのはいいこと。
こちらも情報収集と勉強は、怠らないようにしないといけない。まだまだ修行不足。
石膏ボードのメーカーに(吉野石膏さん)に、単刀直入に問い合わせをしてみると、
丁寧なショールームの案内と説明をいただきました。(‥このコラムはそのお礼。)

聞けば
すでに日本ツーバイフォー建築協会では、そのような大臣認定を取得済みとのこと。
たしかに、吉野石膏さんには その仕様に準じた商品があります。
それに かぶさるように
今年2014年8月22日(大臣認定ではなく)国交省の告示(861号)が施行されます。
これで、ツーバイフォー工法ばかりでなく、在来やSEなど軸組工法でも使えるように
なったとのこと。

これはいい
仕上材の選択肢も、窯業系サイディングばかりでなく、ガルバリュームなど金属板や
ジョリパットなどモルタル塗装やしっくいなど、湿式の表現もいけそうだ。

あとは コスト。
コの字型のプランは、どしても外壁の施工面積が大きくなります。
当然、全体のコストに中でも外壁施工費の割合は大きくなります。
大きな設計のポイントとなりそうです。

TG1-Project


最も早い流行語大賞候補予想

10月になりました。
今年も残すところ あと 1/4 あまり。 年を取ると、じつに早いです。
冬季五輪やW杯開催など、本来ならば、はなやかな話題の年となるところ、
海外では紛争、国内では自然災害など、暗い報道ばかりだった気がします。

そこで 毎年恒例の 流行語大賞。
つれづれに私が思う 今年の候補となるであろうコトバを考えてみました。

ゴーストライター、レジェンド、マイルドヤンキー、二刀流、妖怪ウォッチ、
STAP細胞(はあります。)駆け込み需要、自分たちの○○ができなかった、
ありのままの‥(アナ雪)、セクハラ野次、号泣県議、危険ドラッグ、
デング熱、吉田調書、ダメよ~ダメダメ。空家問題、老後破産 

海外版でいきますと
セウォール号、エボラ出血熱、イスラム国

そして、清水寺で書かれる 今年の漢字は 『誤』 ではないかな。
佐村河内氏の事件、STAP細胞の嫌疑、朝日新聞社の問題 などからです。

やっぱり 暗い世相 かな。
個人的には 忘年会 に期待をかけますか。

2014年9月30日火曜日

木造耐火建築物の住宅・現場見学

SOCIUSが計画する住宅や集合住宅の、工事発注予定の工務店さんには
かならず前もって、他の施工中の現場を見せてもらうことにしています。
施工中の現場を見れば、施工精度がだいたい想定できます。

有名建築家の物件を多く手がけることをウリにする、とある工務店では
監督が、電話で親方にハッパをかけています。職人を入れろということ。
一見、熱血漢でカッコいいのですが、ようは自身の段取りが悪いのです。
施工精度も推して知るべし。私は、ふれこみで工務店を判断しません。

耐火建築物とした、小規模の3階建木造住宅の現場。
工事部長と現場の監督が、丁寧に案内してくれます。恐縮です。
きちんと大臣認定の木造耐火仕様で出来ているか、の確認も必要と思い
上棟後、仕上げ工事が入る前にとリクエストしておりました。

床のPB(21mm2重)を敷く前に、大工さん達はしきりに清掃してる。
定型に細かく加工されたPBが、整然と積まれている。階段用とのこと。
整理整頓がいい。施工精度ばかりか、これなら事故も起きにくい。
(‥ウチの事務所も見習わなくては。)

木造耐火建築物にするための、各部位の認定構法は、かなり複雑。
外壁でいえば( 基本的な納まりですが。)
柱から 外側に向かって
構造用合板_通気層(胴縁)_ALC版(35mm)_サイディング(15mm)
で、かなりの壁厚になりますが、ではそれにサッシをどう納めるのか‥。
部長、監督と議論になります。

内部の壁、床、天井も、(基本的に)PB(21mm)のダブル張りです。
天井は
梁の下端に野縁を一本流してPB か、梁の下端に直接PB か。
前者は天井高さを(野縁ぶん)いじめることになるのですが、施工は楽。
天井の電気配線(Fケーブル・CD管)も、梁にスリーブを開けずに可能。
いずれにしても、室内と外壁では梁寸法が違う。配線が壁に落ちない‥。
耐火仕様の壁内配線は、壁面のスイッチ・コンセントの位置に影響する。
これは始めから、このことを意識しておかないと いけない。

‥なにやら 部長、監督がキョトン としてる。
まだ基本設計の段階から、ここまで考えてる建築家は、はじめてだと。
じゃあ、現場がはじまってからどうすんのよ。困るのは現場でしょう。

現場で、私は 煙たがられてるのか、有り難くおもわれてるのか‥。
気にせず、自分の仕事をするとします。

2014年9月28日日曜日

渋谷 これからの都市事情

午前中、渋谷はLOFTの反対側。Hikarie 8/ にて、クライアントと打ち合せ。
眼下の駅周辺は再開発のまっただ中。解体工事がすすみ、以前の面影はない。
まずは数年後、ここに Hikarie よりも高い、高層ビルが出現する。
若者カルチャーの発信地 というよりも ビジネスの拠点といった色合いが
ますます強くなりそうだ。

そのまま田園都市線で 用賀 までは約20分。それから徒歩で 約20分。
仲間の建築家が設計した、住宅の完成オープンハウスへ伺う。
用途地域は第一種低層住居専用地域。都市の喧噪とは無縁だ。
敷地は、地主さんが事情で手放されたのか、元は大きな土地であっただろう
約27坪の竿状の一区画。若い建主は、土地の購入から始め実現させたのだ。

住宅の間取は、階段を中心にした3LDKのオーソドックスなゾーニングだが
斜線制限を逆手に取った吹抜空間に階段が絡んで開放感がある。

これからの 渋谷 という都市に絡んだライフスタイルをも 見たのかな。


2014年9月27日土曜日

笑顔でいよう。

あまりのキッたなさに敬遠していた 事務所近くの定食屋。
チラリと覗くと、店内綺麗にリフォームされてるじゃない。
期待して入店してみるが、
店主の無愛想ぶりまでリフォームするのは、難しかったか。
せっかく安くて旨いのに。笑顔に仕込みはいらないはずだ。

建築家のHPの顔写真って、どうして みんな怖い顔なんだ。
斜に構えたり、そっぽ向いたり、考え込んだり、睨んだり。
『建築家は写真では笑おう運動』を展開しようではないか。
先日の同業者との宴席で、盛り上がった話題である。

買物で立寄った 渋谷のLOFT
気がつけば店頭に、繁華街にはそぐわぬ 童のお地蔵さま。
どんな由来だろうか。笑っているようである。




2014年9月23日火曜日

季節のうつろい ふたたび

曼珠沙華 は 彼岸花 とよばれます。
そして今日は そのお彼岸の中日です。

2014年9月22日月曜日

季節のうつろい

夏を思わせる 昼間の暑さも
見上げる空は どこか涼しげ

ひまわり から コスモス へ


2014年9月21日日曜日

気がつかない共同体意識

『‥結婚することになりました。』
事務所の近くにお住まいの、知人のCAの女性から丁寧な挨拶をうけました。
祝福です。誠実な人柄の彼女は、きっと幸せな家庭を築くのでありましょう。
国民的女優さんやら、人気の女性キャスターやら、東国原さんやら‥。
巷を賑わすオメデタい話題が、身近にも起きたような微笑ましいエピソード。
そこにケチをつけたくなる、まったくもって心底ヒネクレ者の私であります。

‥結婚することに『なりました。』 は、おかしい。
‥結婚することに『しました。』  と、いわなきゃ‥。

こういった受動的な物言いや思考は、じつはそこかしこにあります。例えば、
‥就職することに『なりました。』 ‥入学することに『なりました。』 
といった挨拶に、私たちは全く違和感を感じませんね。

物言いの裏側には
日本人の持つ『謙虚さ』という美徳であるの同時に、共同体への『依存心』
があるのでは、と思えてくるのです。
四方を海で囲まれた島国で、侵略もなく永らく平和に暮らしてきた日本人の
『和をもって尊しとする。』とした知恵であり、共同体意識なのでしょう。


先週。四方を海で囲まれた島国という、日本と同じ地理的状況にある英国にて、
ひとつの地域であるはずのスコットランドが、英国からの独立を可否を決める
住民投票を行いました。
我が国でいえば、(すこし強引な言い方ではありますが)たとえば
‥独立するか否か。東北地方が住民投票で決めることにしました。
といった状況でしょう。日本人には、誰しもピンとこないとこだと思います。

これは、ひとつには
‥英国に併合されることに『なりました。』
となった、数百年前にスコットランドが経験した受動的にして過酷の状況が、
きっと、共同体から受けるような仕打ちとは全く違うものだったのでしょう。

そして、もうひとつには( 住民投票では、惜しくも否決となりましたが。)
‥英国から独立することに『しました。』
と言おうとしたところには、依存的共同体意識とは違う、主体的な自立心や
民主主義が、しっかりと存在しているのだということ。

地理的状況が似ていても、日本と英国との違いでしょう。

日本に住む日本人の社会には
きっと他国にはない、独自の潜在的な強い共同体意識が存在している‥。

ささやかな幸せのエピソードから、大それた認識となってしまいました。

2014年9月12日金曜日

家賃保証とコスト意識

集合住宅の建設を発注いただければ、30年間全室を一括借上げいたします‥。
このような謳い文句をウリにする建設会社さん、TVCMでもよく見かけます。
私自身も、こういった集合住宅の基本計画をお手伝いすることもあります。

一括借上は『家賃保証』(サブリース)ともいいます。
一括借上げた建設会社は、今度はその部屋を一般のテナントさんに賃貸し、その差額を得るわけです。
30年とは、発注者(オーナー)が建設資金の借入返済にかかる時間として設定されているのでしょう。
オーナーからすれば借入返済期間内に空室が発生しない、という安心感はありますし、建設会社には、
特命で集合住宅の建設を受注できるというメリットがあります。ひとつの『ビジネス・モデル』です。

否定するものではないのですが
ご自身の土地をこのビジネスに託そうされるオーナーの方々には、ひとつ認識が必要かもしれません。

『家賃保証』とは
『家賃』を毎年特定の金額支払う、ということを保証するものです。

オーナーは、この家賃収入から建設のための借入金の返済をして、その他メンテや光熱費、税金等
経費を支払い、残りが余剰金です。この余剰金が『収益』となるわけです。

この『収益』を毎年特定の金額保証する。
と 謳っているわけではない、ということ。

賃貸集合住宅の経営はビジネスであり、収益を追求することが目的です。(ドライな言い方ですが)
そのために 建築計画 に求められることがあります。
 どれだけ 高い家賃と低い空室率 を確保できるか‥
  ‥これはつまり、テナントさんにどれだけ魅力的な空間を提供できるか、ということです。
 どれだけ 建設にかかるコストを抑えて実現できるか‥
  ‥コストを抑える工夫は、かえって建築に個性や魅力を与えるきっかけにも、なりえます。
このふたつこそ、オーナーの方々が求めるところであり、私もその期待に応えた仕事をしています。

ところが、家賃保証のビジネス・モデルの建設会社さんの建設する賃貸集合住宅。
仕事がら、時々建築中の現場を観察してみるのですが、気がつくことがあります。

 この規模の建物で、これだけの基礎工事が必要なのだろうか‥
 こんなに整然とした足場や仮設、広告板が必要なのだろうか‥
 この空間を確保するのなら、もっと躯体はコンパクトにできるだろうに‥

構造強度や工事の安全を確保することは当然ですが、それ以上に、あきらかに過剰工事なのです。
設計を詰めていく段階や施工の段階で、どうやってコストを抑えるかの発想や工夫がないのです。
設計も施工も、特命で受注できてしまうからでしょう。
工事費は、(賃料保証を条件に)言い値でオーナーが支払って(借入れて)くれるわけですから、
どうしてもコスト意識は気薄になりましょう。(勿論、悪意があるわけではないのでしょうが。)

空室発生の心配はない、という担保はあっても
オーナー側からすると、事業として利の薄いものになっていく、ということです。

賃貸集合住宅を成立させるひとつの選択肢として、このビジネス・モデルも否定はできませんが、
事業意識を持ち、経営そのものを楽しもうとするオーナーの方々には、きっと向かないでしょう。
‥私も含め。

2014年9月11日木曜日

伝承と家相

また全国で大荒れの天気のようです。

先月、強烈な豪雨により甚大な被害を受けた広島市八木地区。
ここは本来『八木蛇落地悪谷』という地名であった、ということを知りました。
土砂災害が起こるよ。という戒めが地名に込められ、伝承されていたのでしょう。
その先人達からの伝承が、活かされていなかったことは明らかで、残念です。

伝承の意義といことで、私は『家相』のことを思い出しました。

我国に伝わる『家相』とは、住宅をつくるさいに頼りにされてきた伝承です。
間取りは “こうしてはいけないよ” という、いはば禁じ手集といえましょう。

たとえば
長方形や正方形などの四角形から、角の部分が『欠ける』平面構成になる間取りは
家族や財産も『欠ける』とされ、家相では忌み嫌われます。
角が欠けた平面構成では、横方向から受ける応力は均等に分散せず、四角形の間取り
よりも構造的に不利なります。
こういった間取りの住宅で、地震や台風の災害時に大きな被害が出てきたのでしょう。

あるいは
裏鬼門(南西)の方向にあたる部分に『火』を設けてはならない。とも聞きます。
『火』のひとつは炊事場、つまり台所です。
台所に置かれた食品(なまもの)が西日に当たり腐ることを避けることを目的です。
これは、冷蔵庫など食品保存の技術が発達した現代では、意味をなさなくなりました。

このように、家相には
根拠を突き詰めれば、統計や理論など客観的な裏付けがあるものが少なくありません。
きっと、家相に限らず、伝承されている事柄の多くに言えることです。
その客観的な裏付けを、現代の目で冷静に見つめ直すことができれば
言い伝えを無下に扱ったり、逆に、いたずらに恐れたりする必要もなくなるはずです。

先人の知恵や経験を活かす。とは、そうゆうことだと考えています。

2014年9月7日日曜日

土曜は寅さん!

毎週土曜日の夕方 BSジャパン放送 土曜は寅さん!
ご存知 渥美清さん の『男はつらいよ』。ほぼ毎週、楽しみにしています。
つねづね 思っているのですが、
日本人の、ことのほか男子にとっての最大限の幸せの理想型が この寅さん。
ふらふら旅に出て、帰ってくる場所があるわけですからねえ。ウラヤマしい。
リアルな昭和の時代の人情や息づかいも温かい。

昨年秋から始まって、全48作を一本づつ。
昨晩は第46回(寅次郎の縁談)。なにか、カウントダウンのようで感慨深い。
ということで、検索してみると、公式サイトがまだあったとは知らなかった。
作り手側からの情報ですから正確で、内容も豊富。楽しめました。 ひとつ。

2014年9月6日土曜日

超・変則地でのタウンハウス(長屋)計画

都内住宅地・約140m2(約42.42坪)の敷地での集合住宅。
4m道路の突き当りのみに接道する超・変則地での計画です。
東京都安全条例による規制から
共同住宅ではなく、タウンハウス(長屋)として計画します。

可能な限りの最大限の床面積と住居数を確保します。
20~28m2 が8住居の計画。木造での可能性も検討中です。

Octy と 同等の 厳しい条件での計画です。


2014年9月4日木曜日

みなとみらいのレトロな写真展に


午前中の早い時間に品川で打合わせがおわる。
案内をいただいていた、安川千秋さんの写真展に足を運ぶことにする。
安川さんは建築写真家で、私も竣工写真をたびたびお願いしている仲。
以前の作品展では、古びた造船所の佇まいのある情景が印象的だった。
場所は 横浜とある。 品川から便がいいな。

みなとみらい線・日本大通り駅を降りると横浜の港町らしい洋館が並ぶ
左手に赤レンガ倉庫をのぞむ、象の鼻パーク。はて、ここでいいのかな‥。
見回すと、何ともレトロな面持ちのビルの入り口にポスターをみつける。
入ると、あれ!写真展の会場。レストランだったのか‥。
作品は、横浜や本牧の日常の風景。佇まい という表現がぴったりだ。
ちょうど お昼時。
ワンプレートの和風のランチも、ヘルシーでなかなかだ。

ここまでのストーリーが、全て写真展となっているようでした。



2014年9月3日水曜日

賃貸住宅における敷金とDIY

先月、来年改正が予定される民法に、賃貸住宅の敷金に関して明文化される、との記事がありました。
賃貸住宅を借りるテナントさんは、入居時に一定の敷金を家主に収めます。退室時に家賃の未納部分(もしあれば)と室内の(入居時への)原状回復のための費用を差し引いた分を返却されます。
その原状回復の費用が妥当かどうかを廻る、家主とテナントとの間のトラブルを防ぐことが目的でしょう。

原状回復の義務が発生する項目には『通常の使用による損耗や経年変化は含まない』とあります。
この議論。今回の民法改正の以前から、ずいぶん尽くされていたように思います。
特定の室内の損傷がどんな基準をもってして『通常の使用による損耗』や『経年変化』となるのか‥。
具体的に例を取り上げた解説も目にしたこともありましたが、私は経験から、実際の個別の全てのケースを判別することは不可能ではないかと、感じています。

じつは、私が家主をする SOCIUS SOHO でも
当初、あるテナントさんと、退室時にこのようなトラブルになりかけたことがありました。
これがきっかけで、仲介管理を当時のお願いしていた業者さんから、リネア建築企画さんに変更しました。
リネア建築企画の仲介では、テナントさんが退室時に償却する敷金は(基本的に)一律1ヶ月分と決め、賃貸契約書にも明記しています。退室後、私(家主)はその1ヶ月分の敷金をもってして、室内のクリーニングをおこないます。テナントさんによっては、退室時に実に奇麗に清掃していただく方もおりますが(‥それはそれで有り難いのですが)やはり、清掃のプロには敵いません。排水管内の清掃やエアコンの内部洗浄、便器の消毒など含め、新築時のような状態にもどす清掃費用が、ちょうど、ほぼ1ヶ月分の敷金の費用となります。
この方法の賃貸契約、なかなかいいな。と私は考えています。
テナントさんも、入居時点で退室時の費用を想定できて安心でしょう。
退室時のトラブルはなくなりました。

さて、ここで ちょっとイジワルな仮定ですが。
テナントさんは室内に棚を設置すれば、退室時には『原状回復義務』により、それを撤去しなくてはなりません。
撤去された棚のあとにはビス穴が残り、『経年変化』で一様に日焼けされるはずの壁紙は、棚のあった部分だけ白いままです。棚があった壁は全面、やりかえ工事となり、前記の1ヶ月分の敷金以上の金額をいただかなくてはなりません。そして、撤去されたボードもクロスも、おそらくは棚板もゴミとなってしまいます。
次に入居されたテナントさんが、同じ位置にまた棚を設置すれば、また同じことの繰り返しです。

そもそも
この『原状回復義務』という制度そのものが、不条理で無駄の多く、考える余地のある制度じゃないでしょうか?
そして いま
その『原状回復義務』が(原則)免状されるDIY(Do It Yourself)賃貸住宅が注目されています。
どこまでDIYが許されるかは、特定の物件ごといろいろありましょうが、基本的に入居したテナントさんが、その部屋を自ら自由に模様替できて、退室時は(原状回復せず)そのままにできる、というもの。

テナントさん自身の嗜好を存分に表現することができます。

じつは 私の SOCIUS SOHO の ネゾネットの101号室も。
建設当時は、まったく想定していなかったのですが、自然発生的にDIY賃貸住宅となっていきました。
はじめは ほとんどスケルトンであった空間。
最初に入居されたテナントさんは 浴室と湯沸器 を自費で設置されました。
テナントさん たっての希望で、退室時にはそのままでと、入居時に取り決めました。
つぎに入居されたテナントさんは、それに加えて自ら造作して手すりを設置します。
つぎに入居されたテナントさんは、それに加えて防音のためのカーペットと木製建具の間仕切りを造っています。楽器の演奏が趣味だったのですね。
こんなふうに、テナントさんが入れ替わるたび、部屋はヴァージョン・アップしてきました。

これは
テナントさん夫々、自身のライフスタイルにこだわり、SOCIUS SOHO という建物を気に入って長く住んでくださるからであり、家主としては、なんとも楽しい成り行きであります。

ところが 
本来そういった賃貸住宅のニーズに、真っ先に応えるべきであろう、建築家の賃貸集合住宅(いはゆる『デザイナーズ・マンション』)には、全く逆の方向性を示すものが多いように思います。
デザインや工夫を凝らした造り付けの造作や可動式の収納など、それこそ『通常の使用による損耗』が絶えないんじゃないのか、と思える設えが、テンコ盛りになっています。

建築家の自己満足なのでしょうか。
家主さんも、予めいろいろ設えがあるほうが部屋は埋る。 と思われるのでしょうか‥。
ニーズに応える、ということでいえば、まったく逆効果だと思っています。

私が計画する賃貸集合住宅の空間は
予算も機能も、できるだけシンプルでフレキシブルなものになるよう、心がけています。


2014年8月31日日曜日

『捨てる』ということを実感。

週末を過ごす川越市に、ゴミ処理施設に隣接したプールの施設があります。
ゴミ処理のさい発生する焼却熱を利用した施設で、私もよく利用してます。

この日、施設の片隅に、新品同様で破格の安値が付いた椅子をみつけます。
一目で気に入りました。捨てられたもので、これから競売されるとのこと。
競売を仕切るのは、隣のゴミ処理施設の資料館とのことで、行ってみると
あの展示品の抽選はまだ未定と‥。まんまと誘導されちゃった気分ですが、
ではせっかくなので、と資料館から直接渡り廊下で繋がるゴミ処理施設の
見学コースを巡ってみました。

コースは
市内で回収されたゴミを 集積‥細かく裁断し‥焼却して熱を回収する‥
という一連の流れが、ガラス越しに見て取れます。
うぉ~ と 思わず声を上げてしまったところが 巨大なゴミ集積場です。
主に家庭からの回収ゴミは、回収車から、まずこの巨大な釜に落とされ、
巨大UFOキャッチャー(‥名前を聞き忘れました)にて、細かく裁断する
隣の釜へ移されていきます。近未来SF映画の、いち場面のようです。
この巨大UFOキャッチャーが掴めるゴミの量は約4トン とのこと。
回収車による回収量は約1.3トンで、その3台分。ゴミの量を実感します。

ゴミ処理の一端ではありますが、
目の当たりにすると、事実を現実として受け止められるようになります。

市のパンフなどから
順調に減っていた回収ゴミが、平成22年度を境に鮮明なV字カーブで再び
増えていっています。景気が上向いたことも、要因として考えられます。
そして、これは家庭などから排出されるゴミのはなし。

都内では、2020年五輪を目指して、そこかしこで道路や施設の建設など
大型プロジェクトの計画、工事が進行中です。
造る、建替える。ということは、壊す、捨てる。ということと表裏一体。
経済効果は、産業廃棄物というゴミをも、増やしていくことになります。
造る側にいる者としては、意識していなくて なりますまい。

大人の 夏休みの宿題レポート です。

2014年8月25日月曜日

赤レンガの建築

この朝の毎日新聞のコラムに目が止まりました。
日本人はなぜ、赤レンガの建築が好きなのか‥
今年亡くなられた建築史家の鈴木博之氏の解析が、興味深い。
ひとつは、縄文土器以来、瓦など焼き物が生活の原風景にあること。
もひとつは、レンガ建物の多くがルーツをもつ英国への憧れからと。

私は、もうひとつ。
手作業の建築工程への郷愁があるのではないか、と感じています。
レンガの大きさは、ひとつづつ、職人ひとりで積み上げていくのに
ちょうどよい寸法、重さでできています。赤レンガの建築を見ると、
実際にレンガを積み上げる作業は見えずとも、本能的にその手作業
をイメージしているのではないでしょうか‥。
そこに、人の佇まいや温もりを感じとっているのでは、と。

いまでは
窯業系サイディングなど、赤レンガを模した工業製品が主流です。
本物の赤レンガではなく、赤レンガのフェイク(うそ)の建材では、
佇まいや温もりもないことを、これまた本能的に感じ取っています。
工業製品に埋め尽くされた住宅メーカーの商品のTVCMが映し出す
一見、幸せそうな家族像に、ほんとは、そんなのウソだろう‥。と
内心、さめちゃうところと、根っこは同じかもしれません。

2014年8月24日日曜日

表現の自由と NHK‥ですから。

愛知県の美術館が警察の指摘から、展示作品の一部を覆い隠したという。
作品が『わいせつ』という匿名の通報に警察がやむなく動いたようです。

表現者には
つねに作品が批判にもさらされ、それを受け止める覚悟が必要です。
ただ、作品の作者・鷹野隆大氏が自らの名の下に表現しているからには
批判をする側も、氏名と所属(批判に利害関係がないこと。)くらいは
詳らかにすることは、マナーでしょう。その上で、通報するべきです。
私も、この作品を実際に見て『わいせつ』だと感じれば(ほんとのそう
感じるかもしれませんが。)そのように、するでしょう。

結果。作者・展示者側は、展示作品の一部を覆い隠した。ということは
暗に権力や批判に屈してしまったのか‥ と思いきや、記事から見るに
どうも、そう単純なものではなさそうです。
屈するのなら、展示作品を撤去すればよいわけですが、そうはしてない。
むしろ
絶妙な覆い隠しは、逆にエロチシズムを際立たせているように見えます。
権力や匿名批判に対する 粋な抗議 となっているようで痛快ですね。


NHKの特定のお笑い番組は、くだらないので止めろ。
匿名とは真逆に、国会議員という権力をもった者が公に発言することも
また、表現の自由の侵害です。(ご本人は後に撤回されたようですが。)
NHK LIFE という、お笑いコント番組で、ウっちゃんこと内村さん達
が じつに絶妙な切り返しの抗議をしていたのを思い出しました。
私も偶然、このコントの ON AIR を観てました。
ココリコの田中が仕切る情報番組のリハーサルで、ひな壇の芸人たちが
ギャクを連発しているところに、ウっちゃん扮するおカタい上司が登場。
‥まずいですねえ。お笑いは民放でやってください。NHK‥ですから!
と、次々に演出をかえて、つまんない番組にしてしまう‥というオチ。
お笑いに対する批判にお笑いを持ってする 粋な抗議 に思わず拍手。

なぜか You Tube で 観られなくなったのは残念ですが。
ありのままで‥ とか、自分たちの○○‥ とかよりも
この NHK‥ですから。 を 今年の流行語大賞に推したい。

2014年8月21日木曜日

建設工事費と事業収支の見積

2020年東京五輪にむけ建替えられる 新国立競技場 の収支。
収入から維持管理等の費用を差し引いた収支が、年間3億以上の黒字になると
先日、日本スポーツ振興センター(JSC)から発表されました。
JSCは、建替事業をやりたい側であります。
事業をやりたい側が一方的に作成した収支事業計画に、ノーチェックで言値の
融資をしてくれる金融機関なんかないわけですから、意味のない数字でしょう。
同じように、JSCが建築5団体へ回答している、改修案に否定的な見解の一つ
の要因に、改修工事費の削減が期待できないというのも、鵜呑みにできません。

新国立競技場の建替え計画の、多くの問題点は他の方々のコラムにお任せして
日頃の業務からコストに敏感な私は、どうしてもお金の話しにこだわります。

そもそも 
発注者や建築家側が 100%建設コストをコントロールできるという発想が
リスキーで、上から目線の、時代にそぐわないものと、私は考えております。
賃貸集合住宅の計画では、設計して見積もったら、予算が大幅にオーバー…
などとゆうことは、許されません。
金額調整のため、仕様だけでなく計画自体にも修正が必要となれば計画変更
(…実質、確認やり直し)となり、融資そのものとて パー となりえます。
私は、賃貸集合住宅の計画では
基本設計の段階から、請負業者さんをある程度決めて、そこからの概算見積
を睨みつつ、計画を進めるようにしております。
この手順であれば、計画段階の予算と実際の建設費の差が殆ど発生しません。
また、建設費とは、請負う側がその品質に責任を持てる金額ということです。
請負業者さん同士の競争の原理も必要ですが、それ以上に、仕事にたいする
熱意や信頼関係が大切なのだ、ということでもあります。

新国立競技場 の 計画
私は いまでも 伊東豊雄氏の改修案を支持します。
伊東氏の試算では たしか 3000億の半額 ということだったと思います。

‥よし!この建築 1500億で請負いましょう!
 仕様や内容は、伊東氏と相談させてください!

そういった セネコン、JV 現れてもいいんじゃないでしょうか。
もし、それができない ルールやしがらみ があるのなら、つまらないな。

2014年8月19日火曜日

賃貸集合住宅 テナントさんもクライアント


SOCIUS SOHO テナントさん決まりました。
入居者の方には、わざわざ挨拶にまでこられ恐縮しました。

私の計画した賃貸集合住宅では、建築そのものを気にいって
入居されるテナントさんが多いのは、素直に嬉しいことです。

賃貸集合住宅の計画とは つまり 事業です。
建設費用は おもに
事業主(建主)の方の、金融機関からの融資で賄われます。
その融資の返済は、賃料収入から支払われていくわけですが、
その賃料は、入居されるテナントさんに支払ってもらいます。
つまり、入居されるテナントさんも建設費用を出費している、
という見方できるわけですね。
‥と、いうことは、計画時点でまだお会いできていなくとも
入居者の方々も、事業主(建主)の方々と、まったく同じく
私の大切な クライアント ということがいえるわけです。

建築を気に入り、こぞって入居していただくテナントさんは
多少お家賃高めでも入居されたり、建物を大切にあつかって
くれたりと、事業主(建主)の方にとってもメリットです。

私も賃貸集合住宅の計画は やりがい を感じるところです。


2014年8月18日月曜日

SITE 軽微な変更

SOCIUS 今日から業務再開します。

お盆の休暇の間
BLOG のテンプレートを変更したのを機に
事務所のSITEにも faviconを設定しました。

このSITEは 開設以来20年
既存のテンプレートは使わず、私自身で手づくりしてます。
CSSjQueryの部分は、さすがに手伝ってもらいましたが
数年前の更新のときも、攻略本のレイアウトを参照しつつ 
なんとか 自分でUPまでしました。
( アプリは GoLive や Dreamweaver を使ってます。)

デザインを生業とするものとして、そこはこだわるところ。
WebDesign のプロの方々には、とてもかないませんが、
稚拙なところは、手づくり感 として受け止めてください。

favicon も作り方検索して 見よう見まねでつくりました。
faviconのデザインそのものには、特に意味はないのですが
モノトーンでシンプルなものをつくりました。

2014年8月16日土曜日

思い出のマーニー

夏休みのジブリの新作『思い出のマーニー』が秀作です。
思春期の微妙な内面を、アニメで巧みに表現できている。
自然の風景描写を、心理描写に利用しているのがわかる。
とくに 水 の表現が素敵。
満ち引きする湖畔 夕日に輝く水面 揺れ動くボート‥

『ディテール(詳細)に神が宿る』
建築の世界の名言ですが、アニメの表現も同じですね。
米林監督は、脱・宮崎監督をそこかしこで語ってますが、
そういった“伝統技”は踏襲していってもよいでしょう。

思春期まっ只中の子供達よりも
思春期を経験してきた、成熟した大人の作品に思えます。


2014年8月15日金曜日

リニューアル

この blog のフォームを変更しました。
アーカイブスのプルダウンは、今までのフォームにもあったのですが
投稿されたコメントが、埋もれていくような感じが気になってました。
これまで投稿してきたコメントのタイトルが、見えるテンプレートが
ありましたので、気分一新、盆休みで時間があるうちに変更しました。

リニューアル以来、ご来店の方が 増えました。
米国からのご訪問の方々も多く見受けられます。
ありがたいことです。

今後とも よろしく おねがいいたします。

2014年8月14日木曜日

トレッキング

‥のぼって
‥のぼって
絶景
‥くだって
‥くだって
一休み






2014年8月13日水曜日

ポケモン・ガウディ・ドラえもん


先日の台風の日曜、立寄った六本木ヒルズは荒れた天気でも
家族連れや子供達であふれている。ドラえもんだらけである。
森タワーの上階では ポケモン展 もあるようだ。
前日の横浜ランドマークタワーもピカチュウだらけだったな…。

そのポケモン展 の となり 森アーツセンターギャラリー
ガウディの建築とともに
SLAM DUNK や バカボンドの 漫画家 井上雄彦のタッチで
ガウディの人となりにも迫ろうとする内容でしたが、井上さん
の絵が、いはば展示物の挿絵のような立場においやられていて
観る側には “迫る” とまではいってないようで、すこし残念。
ガウディの時代年表も、箇条書きで わかりづらい。
プロジェクトマッピングも美しいけど、関連性がうすいような。
せっかくなら、サグラダ・ファミリア教会の建設の過程だけに
的を絞った展示でもよかったように思えました。
カサ・ミラの模型とサグラダ・ファミリアのCGは圧巻でした。

私がバルセロナでガウディの建築に触れたのは、もう26年前。
グエル公園も、カサ・ミラも改修工事をしていて、残念でした。
カサ・ミラ1階のバーで知り合いになった、日本人の女学生と
コロニアル・グエル内の教会にいってみると、偶然にも結婚式。
式にまざって、新郎新婦にお米をかけてきたのが 思い出かな。

2014年8月12日火曜日

自分撮りと権利


うちのネコはサルではない。この写真はネコでなくワタシが撮った。
しからば、まぎれもなく 著作権 はワタシのモノだ。

では 肖像権 はどうなるのか?
著名人や芸能人の肖像は、そのものに商業的価値があり、むやみに
扱えないことは知っている、ただ うちのネコは芸能人じゃないな。
ただ、無断で公表されたり利用されたりしないように主張する権利
はありそうだ。(Wiki より。)
彼女に確認しなくてはなるまい‥・。 ニャ~ア。

2014年8月7日木曜日

自然体で純粋な建築のありよう



乃木坂 TOTOギャラリー・間
酷暑の中、所用の帰り。ミッドタウンのゴジラから梯子見学。

ノルウェーを拠点に活動する2人の若手建築家ユニットです。

東南アジアのアレた地域で、現地の仕材、構法、そして住民をも
巻き込んだ、手作り感覚満載の建築群には、本気で感動しました。
建物が生まれ行く過程を大切に、そして作り手皆で楽しんでいる。
本来 建築 とはこういうものか。

アンドレア・G・ゲールセン、ヤシャー・ハンスタッド
2人の若者には野心がない。
自分達のスタイルを実現させたい、という、建築家の根源的欲望
(‥ポジティブに作用するなら、それもエネルギー)が見えない。
現場でつくる、という作業に徹する自然体の姿が嬉しく映ります。

ゴジラもギャラ間も お金はかかりません。
ご家族でもよいと思いますよ。



2014年8月6日水曜日

ゴジラ出現!

六本木ミッドタウン の ゴジラ は ちょっとすごかった。
見てない方には一度いってみて!ライトアップも観てみよう。



2014年8月5日火曜日

匠でなく建主のための Before/After


都内のとある旧道沿いに佇む、間口2間ほどのシャレた店舗兼住宅です。
おしゃれな改装したんだなあ‥と
ながめていると、中から女将とおぼしき中年女性が現れ、睨みつけてきます。
ぎょ!としつつ、自分が建築家であることをつげると、店内へ誘われました。
それから小一時間 彼女の愚痴を聞かされるはめになりました。
やあれ
 かってに作られた。使いづらい。頼んでもない、いらないものがある。
 いらないものは、けっこう捨てた‥。
聞けば
『匠』と称する建築家が古屋を大改造するTV番組 Before/After で改修
してもらったのだそうです。
私の知人にも、この『匠』を演った者もおります。番組で改修された全てで
こんなトラブルがあるとは限らないのでしょうが、いやはや、参りました。

これは、数年前にあったエピソードです。
と、あるネット上のコラムの論争を読んでいて、ふと思い出していました。

元フジTVアナウンサー 長谷川豊氏 『テレビがつまらなくなったわけ』
対するは 企画家・片岡英彦氏『テレビがつまらなくなった(本当の)わけ』

個人的な非難や批判は本意ではないのですが、このやり取りに関してだけは
もの(番組)づくりへの真摯な対応を訴える 片岡氏に 一票投じたいです。

片岡氏の曰く、テレビというメディアはインタラクティブ(双方向性)が弱い。
伝える側として、作る側として、どうしても一方的な立場になります。
これが知らず知らず、TV関係者を上から目線にしてしまうのかもしれません。
長谷川氏の草なぎ君(さん)の会見質問の一件などが、まさにそれでしょう。

インタラクティブ(双方向性)
大改造にしろ新築にしろ、設計者と建主との関係でも大切なものだと思います。
 ‥ここは こうゆうふうにしたな! ‥こんなアイディアはどうでしょう?
設計者と建主とお互い、いろんな意見や想いをぶつけ合うこと。そこが楽しい。
ただらいいものが出来上がる、と思うのですが、Before/Afterではそれがない。
『匠』からの一方的な作品提供です。まさにTV的な発想といえましょう。

『匠』はともかく、私もTV番組からいろいろ依頼をうけたことがあります。
お固いインタヴューもありましたが、恣意的な演出もあり、もう受けません。
‥こういった設計趣旨の住宅。至急紹介してください!
制作会社の若い方から、すがりつくような電話が掛かってきたこともあります。
取材はお住まいの方々にご迷惑をかけることになりますので、遠慮しています。

TV関係の方々には、無愛想で恐縮であります。








2014年8月3日日曜日

ゴジラ “God”zilla 

日本の男子たるもの、夏休みには『怪獣映画』を観なくてはいけません!
ハリウッド版 『ゴジラ』  よかった、拍手。

昨年夏のハリウッド版怪獣映画『パシフィック・リム』でも触れました。
終盤の 怪獣(KAIJU)とジプシー・デンジャーとの海底での格闘シーンが
初代ゴジラ(1954年公開)のラストシーン‥
‥孤高の独眼竜科学者・芹沢(平田昭彦)がゴジラと共に自爆する場面。
にそっくりであること。
エンドロールにあった 作品を捧げる と記された 本多猪四郎 とは
この日本版初代『ゴジラ』の監督であったこと。
ギレルモ・デル・トロ監督の 日本版初代『ゴジラ』へのリスペクトに
胸が熱くなったことを覚えています。

この『ゴジラ』2014 でも 
主要人物の博士(渡辺謙)の名が 芹沢猪四郎 であることからも
製作陣の日本版初代『ゴジラ』への思いは理解できます。

その芹沢博士の 劇中での台詞
 『人間がごう慢なのは
  自然は人間の支配下にあり、その逆ではないと考えている点だ。』
 ( web_siteより )
この “支配下” という言葉は コントロール という単語でありました。
これは、我が国の首相が五輪招致のプレゼンで事故後の原発を語った台詞
 『状況は完全にコントロールされています。』
を “完全に” おちょくった かたちです。

『ゴジラ』とは万物摂理を司る、いはば 神 “God”zilla であるという
コンセプトを理解し、受け入れてもらっているところが嬉しいのですが、
それでいて、やらた家族(Family)が強調されていたり、映像の随所に
( ‥あれ、このシーン まんま どっかで観たぞ?)といった部分が
ご愛嬌だったり、ハリウッド映画のエッセンスも忘れられていません。

おすすめ。

続編も決まったそうですが
つぎは 宿敵『キングギドラ』と戦ってほしいね。


2014年7月29日火曜日

木造耐火建築物による都市型集合住宅計画

メンブレン耐火構法による木造耐火建築物の共同住宅計画。
大臣認定構法により主要構造部に耐火性能を持たせる構法。
木造軸組はSE構法を予定しています。

この構法の場合、設計者や施工者は
大臣認定を持つ木造住宅産業協会のセミナー受講が必須です。
私も受けました。
施工は非常に難儀です。設計上の制約もいろいろあります。
それでも、RC造よりコスト・コントロールはできています。
挑戦するに あたいします。 


2014年7月28日月曜日

なんちゃって・世界ネコ歩き


この時期でも、公営プールの夜の部がお休みとはこまった。
体力づくりの習慣にしてる水泳は、今日はウォーキングヘ。
道すがら ネコたちに挨拶。
食事はあげないことにしているが、その心配はなさそうだ。



2014年7月27日日曜日

『デザイナーズ』なんて、いらない。


埼玉県立近代美術館での企画展
戦後日本を代表する16人の建築家とその住宅作品を紹介した企画展です。
東孝光氏の『塔の家』や、安藤忠雄氏の『住吉の長屋』といった、すでに
一般的にも知られた住宅作品も、たくさん紹介されています。
全て90年代のネット革命以前に建築された作品であり、それぞれの住宅に
単なる表層のデザインとは言い切れない、哲学があることはわかります。

ネットによる情報活用が普及した90年代、建築家が住宅や集合住宅の計画
をおこなえるチャンスは増えました。(私も、その恩恵を受けてきました。)

そんな住宅や集合住宅作品に 『デザイナーズ』 という枕詞がつきました。
たとえば、この『デザイナーズ』を付加価値として差別化された集合住宅が
『デザイナーズ・マンション』といわれました。
賃貸集合住宅の市場に新たに生まれた需要のように捉えられていましたが、
実際には潜在的にあったニーズが、ネットによって詳らかになったものです。
2000年前後 私も『デザイナーズ・マンション』を手がける建築家、として
主に雑誌媒体から沢山の取材を受けました。それ自体は、ありがたいことと
感じていましたが、同時に なにか違和感 も覚えていました。

『デザイナーズ』を簡単にいってしまうと、個性的 ということでしょうが、
別に、個性的な集合住宅を作ろうと設計していたわけではありませんでした。

与えられた条件のもと、可能な限りの事業性・効率性を突き詰めて計画する
ことで、結果的にそこに個性が生まれ、付加価値となっていっただけでした。
事業性を突きつめると、住宅メーカーの規格品のような商品にはなりません。

あるいは
『デザイナーズ・マンション』の代名詞のように扱われた、コンクリートの
打放し仕上げにしても、そのテクスチャーとしての好みというよりは
(もちろん、入居される多くのテナントさんも私も、大好きな素材ですが。)
コストの関係から、むしろ、やむなく選択する素材 とした意識でした。
『塔の家』や『住吉の長屋』のコンクリート打放しも、同じ発想でしょう。

こうなると、個性 とは、本当はなんなのか。考えてしまいます。

養老孟司氏の新書「自分」の壁 でも、個性とは何か。語られています。
伝統芸能の世界に入門した弟子は、とにかく師匠の真似を強いられます。
10年、20年‥。
それでも師匠のクローンにはならない。どこかがどうしても違ってくる。
それが 個性 である、と。
‥なるほど。

個性とは
単に付け加えるものではなく、研鑽や修練の末に生まれるもののようです。
『デザイナーズ』という言葉で個性を表現すること。もう、やめませんか。


2014年7月25日金曜日

戦後日本住宅伝説

埼玉県立近代美術館にて。 
戦後日本を代表する16人の建築家とその住宅作品を
作品写真や図面、映像、模型などで紹介する企画展。

住宅建築を すまい という観点で眺めますと‥
住人(家族)の成長や生活の変化の 見える変遷と表現されたり
 清家清 私の家
 増沢洵 コアのあるH氏の住まい ‥など
外界と切り離された 非日常なアミューズメント空間 としたり
 原広司 原邸
 石山修武 幻庵 ‥など
切り口は多彩で、面白い。

メタポリスム運動のハタデともいえた お二人の作品が対照的だ
 黒川紀章 中銀カプセルタワービル
 菊竹清訓 スカイハウス
メタポリスム、とは新陳代謝。変化に応じて、建築も変化・成長
していくことを目指したものだったと理解しますが。
中銀カプセルタワービルでは、結局 住居ユニットが交換される
ことはなかったんじゃないかな…。
スカイハウスは 家族の変化に応じて増改築のストーリーを提示
できている点、成功といえるのかもしれません。

戦後の住宅作品 といいいながら
気がつくと 最新作でも1978年作(宮脇檀 松川ボックス2期)
バブルも IT革命も未経験の、いはば古典の作品集ともいえます。
それでもインパクトが色あせないのは、建築家がつくる住宅作品
には、普遍的なメッセージがあるからでしょうか。
とくに
 東 孝光 塔の家
 安藤忠雄 住吉の長屋
今では誰もが知るこの住宅は、まだまだ私の目標です。

埼玉県立近代美術館のある 北浦和公園の一角に
中銀カプセルタワービル の住居ユニットが置かれています。
アートのようでもあり、惑星に降り立った宇宙船のようでもあり
かわいらしい。

蛇足ながら
黒川紀章氏設計の この埼玉県立近代美術館。
もすこし メンテナンスしてあげてほしいな。


2014年7月23日水曜日

情景

旧東海道沿いの すずしげな品川寺
夕方は提灯の灯り 華やかだろうか。


2014年7月21日月曜日

『ロー・コスト住宅』 ってなんだ。


『ロー・コスト住宅』 という言葉があります。
計画段階の住宅や集合住宅の、カテゴリーのひとつですが
私はつねづね、この専門用語に 違和感 を覚えています。

特定の条件で、特定の性能や規模の住宅を計画するうえで
コストをローに(低くするように)努めて計画することは
言わずもがな の 必須の条件だと考えているからです。
それが証拠に
『ロー・コスト住宅』の反意語として『ハイ・コスト住宅』
なんて言葉 は ありませんよね。

一般的にいわれる 『ロー・コスト住宅』 とは、いはば
『ロー・スペック住宅』 ということでしょう。
この 物言い のほうがスマートです。

コストをローにするための工夫(‥コスト・コントロール)
私は こんなふうに考えています。

A という商品があります。 価格は 50万円 です。
B という商品があります。 価格は 50万円 です。
A と B をひつつづつ 買ったらいくら? ‥100万円ですね。
では ここで
A と B をひつつづつ 買うのをやめて
A  をふたつ買うことにしたら いくら? ‥100万円?ブー!
100万円 以下にできます。これが コスト・コントロール。
ちなみに
A は、モノとしての商品に限らず、構法、人件費(人工)など
コストの関わるいろいろな事項に置き換えることができます。
数量ではなく 項目を減らすのです。

100万円 から 実際にどれだけリーズナブルにできるか、は
工事を請負う施工業者さんそれぞれの 腕の見せ所。
そして
この A をいかいに多く作れるかが、我々建築家の腕の見せ所
であり デザイン という作業の一部であると考えています。

コストをさげる工夫 というのは
なにかを犠牲にする ということでは、ないはずです。

『Less is More』(より少ない は よりゆたか)
建築家 ミース・ファン・デル・ローエ の思想です。


2014年7月20日日曜日

腕時計とウェアラブル端末


‥ところで、腕時計って どうッスか?
馴染みの理髪店で 若い店主から ふられた。

‥この話題に食いつく男子、けっこういるんスよね。
散髪中のお客を楽しませる話題作りは、サービス業としての心得。
ただ彼の場合、自身の興味ごとしか話さない、商売っけのなさが
好感のもてるところ。

‥ ・・・いやぁ。オレは だめだなあ。
この話題には、まったくひっかからない。腕時計はしない。
理由はふたつ。
長袖シャツの袖口がいたむことと、キーボードなどPCの操作の
とき、腕に重さを感じるため。

むかし、懐中時計 は使っていました。
西部劇によく出てくる、丸くて片手でパカッと蓋を開ける代物。
ジーンズ党の私は、右手側のちっちゃいポケットにしのばせて
チェーンをベルトに巻きました。真偽の程は別に、このポッケ。
本当に懐中時計のためのものだったと、聞いたことがあります。
時間を確認するたび、C.イーストウッド になった気分でした。
ただ 残念ながら
イーストウッド氏はまだまだ現役であっても、私の懐中時計の
ほうは、携帯電話の出現で、あえなく隠居の状態にあります。

‥ロレックス とか オメガ とか、日本人だけらしんスよ。
 ○○ ってメーカー とか、いいらしんンスよねえ。
聞けば
自身でも奮発して 海外の腕時計を 買っちゃったということ。
うらやましい と思いました。
高級品を持っている。ということではなく、夢中になれるモノ、
こだわりが持てもモノがある、ということに‥。

さて
こんなやり取りがあって 数日のち。
私が腕時計をしない。という もう一つの理由が浮かびました。
『時間』からの “拘束感” です。
 つまり、時計という『機械』ではなく 
『時間』そのものに 手首を掴まれている。 という感覚です。
そんな無意識を、片方の無意識が拒絶しているのではないのか。

スマートフォン の次ぎにくる ネット端末(デヴァイス)が
メガネ型、腕時計型、といったウェアラブルなものになること
は わかっています。
これまでのような “インターネットへの依存”という領域から
“インターネットからの拘束” という意識へと(わるい意味で)
ヴァージョン・アップしてしまうのではないのか‥。
そんな よからぬ想像をしてしまいました。