『建築物の高さに関するルールの変更を進めています。』
朝の新聞折り込まれていた 都内大田区の区報 です。
都市では、多くの建物の形状や街並が、斜線状に高さの制限を受け歪な姿です。
許容された床面積を、高度に活用することを要求される都市の建築計画に対し、
建物の高さの規制が、うまくリンクできていないことから発生する弊害です。
都心で住宅や集合住宅を計画する者として、この弊害とずっと戦ってきました。
この大田区のルールの変更が、都内他区にも影響していくことも考えられます。
ルールが よい方向に変更されるのであれば 歓迎 です。
都市部での、中小規模の建物の計画で おもに影響を受ける高さの斜線制限は
建築基準法における道路斜線制限(敷地前面の道路幅から算出されるもの)と
今回、大田区でルールの変更を進めているという、高度地区ごとに設定された、
敷地の真北方向から発生する高度斜線制限(建築基準法にも敷地真北方向から
の斜線制限もりますが、まず、この高度斜線制限が厳しいです。)があります。
‥他にも、基準法に規定された隣地境界からの斜線制限もあります。
よく誤解されますが、基準法の日影規制は、建物高さの制限ではありません。
一定の高さ以上の建物の場合。発生する日影のエリアを規制するものです。
道路斜線制限のほうは
私が卒業した頃では、単に敷地の前面道路の対面からの倍率(1.25 や 1.5)と
杓子定規な規制でしたが、計画建物の道路からの離隔距離が道路幅に考慮され
るようになり、ついで天空率という概念も導入され、規制緩和がすすみました。
高度斜線制限のほうも もっと現実的なものになるべきです。
郊外で、広い敷地が充分に確保できる住宅の計画なら、採光も十分に取れます。
都市は、広い敷地を確保することはままならず、充分な採光はなかなか難しい。
しかし都市はインフラも整備され、情報も集まりアミューズメントも沢山です。
都市には都市なりの、生活の豊かさがあるのです。
そこに、郊外の豊かさまで個々の住宅に求めようとする所に矛盾が生まれます。
機内で知り合った邦人の住まい。
NY・マンハッタンの中心にある、高層ビルの住宅を訪ねたことがありました。
いはゆるスチューディオ・タイプの部屋には、日中あまり光はさしません。
こんな住宅で住み心地はいいのかな‥、という疑問は休日になって解けました。
晴天のセントラル・パーク に 余暇を楽しむ人々が溢れているのです。
ここが、いはば 公共の庭 となった様相です。
東京でも、生活スタイルへの意識から、変えていく必要もありましょう。
そこは、空家問題の解決にも通じるところ。
区報の内容は、大田区としての第一次素案で、パブコメの前段階のようです。
具体的な規制の数値がはいっていません。
私は、絶対高さ制限のみの指定でいい。ドラスティックな変革を支持します。