2021年1月30日土曜日

東京のトンネル

私のiPhoneの中の Photo から。


2021.01.27

渋谷神宮通りから宮下公園へ向かう山手線等の高架下

ドラマの場面にもよく登場する


2020.06.08

高輪ゲートウェイ駅北。第一京浜から旧海岸通り方面へ

タクシーが通るのに難儀するので、通称『提灯ごろし』


2016.03.08

大井町線下神明駅近く。新幹線・湘南新宿ライン高架下

海の中を描いた小学生のスケッチを、壁面に写している


2016.04.05

第一京浜・第二京浜を結ぶ計画道路の歩道部分

戸越公園。都立大崎高校の近く、いまだ建設中


2021年1月28日木曜日

渋谷_新らし風景とそのままの情景。

渋谷での打合せへ向かう午後の「明治通り」を、ひさしぶりに歩いてみた。
再開発が進む渋谷駅の高層ビルが近くにそびえる。
街並みも、ほんの少しの隙に新らしくなっていく。

神宮通公園に 安藤忠雄設計の公衆トイレ「あまやどり」を見つけた。

クリエーターによる公衆トイレを、2021年夏までに区内の公園など17箇所

設置するという『THE TOKYO TOILET』プロジェクトのひとつ、とのこと。

渋谷区と公益財団法人日本財団によるこのプロジェクト。「おもてなし」の

こころを公衆トイレから、とは、面白い発想だ。



この 神宮通公園トイレ

格子を用いたデザインは、解放性と通気性を確保しプライバシーも守られる。

色使いも繊細で『和』の感じ。通り抜けができる動線も明快。サインもいい。

ただ、ネットフェンスに囲まれたような配置は、管理上のことでだろうか‥。

明治通りから気楽にアクセスできた方が、よかったのでは? ちょっと残念。


宮下公園も商業施設と一体で「MIYASHITA PARK」としてリニューアル。

かつての宮下公園に、あまり良いイメージを持っていなかった方々も多いか

と(私も含めて)思いますが、清潔で開放的な空間に生まれ変わっています。




最上階の公園スペースまで 利用者は上がってくるのだろうか?

いわゆる『ヒキ』 デパートでの、屋上遊園地や最上階の催物会場などです。

ただ開放感さえあれば、そんな施設は必要ないようです。

ふと、愛知芸術文化センター前の施設『オアシス21』を思い出しました。

まさに都市の中のオアシスになるのでしょう。



再開発がなされながら

渋谷駅側には昭和の佇まい満載の一角『のんべい横丁』が残っています。

覗けば、一坪ほどの小料理屋が肩身を寄せ合うように軒を連ねています。

カウンターの常連らしき孤独な年配客の相手は、割烹着の女将がひとり。

「MIYASHITA PARK」の1階、渋谷川暗渠上の路地に面した『渋谷横丁』

の、若者達が集う開放的で活気のある大型居酒屋と、あまりにも対照的。



この地域も、一体化して再開発されるべきじゃなかったのか。と思う反面。

いつまでもこのままであってほしい‥。切ない気持ちになってしまいます。

緊急事態宣言が明けたなら、どこか一軒、暖簾をくぐってみようか。




2021年1月10日日曜日

陰翳礼讃:谷崎潤一郎


文豪・谷崎潤一郎による 『陰翳礼讃』(いんえいらいさん) 

1933年。昭和の初期に著されたこの随筆は、建築家の必須科目のひとつと

言われつつも、恥ずかしながら、これまで通して読んだことがありません。

お正月には NHKのETVで「THE 陰翳礼讃 ~谷崎潤一郎と日本の美~」

という番組にも感動。この機に、きちんと向き合ってみることにしました。


陰影、そして陰影の中の仄かな灯の中に佇む美意識。

住居に限らず、食事や衣服、慣習。生活の中に潜む、そのさりげない美学は

現代であって、そこかしこに感じます。精神のDNAのようなのもでしょう。

ただ

独自の文化をもった「東洋」 と それを侵食せんとする「西洋」

美意識を大切にする「文化」 と 利便性のみを追求する「文明」

そんな対峙する関係が強調され過ぎているようで、違和感もありました。


~引用〜

もし東洋に西洋とは全然別個の、独自の化学文明が発達していたならば、どんなにわれわれの社会の有様が今日とは違ったものになっていたであろうか、と云うことを常に考えさせられるのである。たとえば、もしわれわれが、われわれ独自の物理学を有し、化学を有していたならば、それに基づく技術や工業もまた自ら別様の発展を遂げ、日用百般の機械でも、薬品でも、工芸品でも、もっとわれわれの国民性に合致するような物が生まれてはいなかったであろうか。

~引用〜


たとえば、東洋の独自の文化のひとつに「禅」があります。

禅の思想に基づいた「枯山水」の日本庭園は、石や砂によって究極に簡素化

された表現により、自然の風景や宇宙までも象徴させたものです。

この禅の思想に大きな影響を受けた西洋人が、スティーブ・ジョブズです。

彼が作り出したスマートフォン・iPhoneの究極に簡素化された造形・操作性

は、まさに禅の思想によるものです。そのiPhoneは、いまや多くの日本人に

とって必須アイテムとなり、生活環境の一部にもなっています。


90年も前の谷崎が、この状況を見たらどう考えたでしょうか。

未来を予見するということは、かくも難しきことに思えます。























・・・


1988年。ベルリンの壁開放前のヨーロッパをひとり、旅をしました。

オランダのアムステルダムで、ヨスという若夫婦の家で数日を過ごしました。

普段は日本からの留学生が使っている一室での、今で言うところの民泊です。

夕方、彼らの家に戻り、部屋中の照明を付けていくとヨスに言われました。

「へい、タカシ。なんで家中の照明を付ける必要があるんだい?

 僕も日本に行った時、みんなそうしているのに驚いた。変だよ。

 灯はぼんやり、読書ができる程度に灯れば充分じゃないかい?」

たしかに、そのとおりだな。私は言葉がありませんでした。


アムステルダム国立美術館のレンブラントの『夜警』は、大きな絵画でした。

彼の多くの肖像画と同じく、陰影とそこに差し込む光の表現は、まさに圧巻。

そして1600年代に活躍したこの画家は、今もオランダの英雄でいるのです。



・・・


陰影の表現ということで、思い浮かぶことがもうひとつ。

これもまた、建築家としての必須科目のコンテンツです。

1982年公開。リドリー・スコット監督による『ブレードランナー』

酸性雨が降りしきる近未来のL.A. 逆光の照明を多用するR・スコット監督

の演出は、暗黒の都市の喧騒に、深みのあるリアリティーを与えています。

この作品による闇の表現方法は、その後 ジェームス・キャメロンばかりか

多くの映画監督に影響したのではないか、と私は考えています。



陰影とそこに潜む光への美意識。

東洋の独自のものではなく、元来 人間が持つ精神のDNAなのでしょう。

2021年1月3日日曜日

初夢_2021

いま私は、以前設計したあるお宅の3階に来ている。

内部はコンクリートの打ち放し仕上げで西側と北側に大きな開口部がある。

外を見渡すと、水平線が広がる大きな湖。東面にも小さな窓、やはり湖だ。

これほど眺望がよいなら、なぜもっと大きな開口部にしなかったのだろう‥


気がつくと、建物全体がゆっくりと動いている。

よく見ると、観光客と思しき見知らぬ客人達が外を眺めているではないか。

「旦那も、この遊覧船に乗りにきたんで? 天気もよくて、いい眺めだ。」

人懐っこそうな中年男が絡んでくる。すこし煩わしいな。


小一時間の遊覧を終えた船(建物)は湖畔についた。

船着場の料金所の窓口の細面の中年女性に、料金を払うついで聞いてみた。

「ここには何隻の船があるんですか?」

「4隻です。」

「どんな船があるんですか?」


「コンクリートで出来てるのもあるよ。」

こんどは、斜向かいにすわる、意地悪そうな男が答えてきた。

(貴様‥、ヒトのものを勝手に使って商売しているな!)

「なにか、わるいんかい?」

グッとこらえて、ここは苦笑いの大人の対応をしておこう。

訴えてやる。船着場の料金所を出て、住宅街の坂道を上っていく‥。


・・・・・・・・・・

ここまで。

なんだこれは。 「富士」も「鷹」も「茄子」も出てこなかった。

今年は、どんな年になるのやら。




2021年1月1日金曜日