都内のとある旧道沿いに佇む、間口2間ほどのシャレた店舗兼住宅です。
おしゃれな改装したんだなあ‥と
ながめていると、中から女将とおぼしき中年女性が現れ、睨みつけてきます。
ぎょ!としつつ、自分が建築家であることをつげると、店内へ誘われました。
それから小一時間 彼女の愚痴を聞かされるはめになりました。
やあれ
かってに作られた。使いづらい。頼んでもない、いらないものがある。
いらないものは、けっこう捨てた‥。
聞けば
『匠』と称する建築家が古屋を大改造するTV番組 Before/After で改修
してもらったのだそうです。
私の知人にも、この『匠』を演った者もおります。番組で改修された全てで
こんなトラブルがあるとは限らないのでしょうが、いやはや、参りました。
これは、数年前にあったエピソードです。
と、あるネット上のコラムの論争を読んでいて、ふと思い出していました。
元フジTVアナウンサー 長谷川豊氏 『テレビがつまらなくなったわけ』
対するは 企画家・片岡英彦氏『テレビがつまらなくなった(本当の)わけ』
個人的な非難や批判は本意ではないのですが、このやり取りに関してだけは
もの(番組)づくりへの真摯な対応を訴える 片岡氏に 一票投じたいです。
片岡氏の曰く、テレビというメディアはインタラクティブ(双方向性)が弱い。
伝える側として、作る側として、どうしても一方的な立場になります。
これが知らず知らず、TV関係者を上から目線にしてしまうのかもしれません。
長谷川氏の草なぎ君(さん)の会見質問の一件などが、まさにそれでしょう。
インタラクティブ(双方向性)
大改造にしろ新築にしろ、設計者と建主との関係でも大切なものだと思います。
‥ここは こうゆうふうにしたな! ‥こんなアイディアはどうでしょう?
設計者と建主とお互い、いろんな意見や想いをぶつけ合うこと。そこが楽しい。
ただらいいものが出来上がる、と思うのですが、Before/Afterではそれがない。
『匠』からの一方的な作品提供です。まさにTV的な発想といえましょう。
『匠』はともかく、私もTV番組からいろいろ依頼をうけたことがあります。
お固いインタヴューもありましたが、恣意的な演出もあり、もう受けません。
‥こういった設計趣旨の住宅。至急紹介してください!
制作会社の若い方から、すがりつくような電話が掛かってきたこともあります。
取材はお住まいの方々にご迷惑をかけることになりますので、遠慮しています。
TV関係の方々には、無愛想で恐縮であります。