2011年10月26日水曜日

長い坂の絵のフレーム



じつは 井上陽水 の大ファンです。

70年代から 
どこか 攻撃的で ヒニク混じりで 
ときに哲学的であるよな、ナイよな
作品の印象が つよいのですが
こんな 黄昏どきを感じさせる大人
の おちつきも あります。


私も
こんなふうに歳をかさねていきたい。
まだ 修業 が 足りないか。

階段


ひきつづき 設計監理中の集合住宅の現場より。

ものづくりの現場は、かかわりをもつだけでも
楽しい。ただ、立場上 それに浸ってられない。
現場に赴くたび 難題のハードルが待ち受ける。

設計の想定より 床の仕上厚が増すことになる。
無垢材のフローリングによるためで、そのこと
自体は よい方向性なのだが‥
さて 内部階段 の納まりだ。
いっそ このまんま に しておきたい心境。

建築家の実力は 階段のディテールに現れる。
我が師匠 の 口癖が 頭にもたげてくるなり。



2011年10月19日水曜日

なにも加えない。という デザイン

ひきつづき 設計監理中の集合住宅の現場より。
型枠の解体から内装がはじまり、カタチが現れてきます。
監理や確認、図面の承認など いそがしくなります。

住宅建築とは いはば 料理を盛りつける皿ではないか。
現場で そんなふうに 考えるときがあります。
料理。つまり主役は 住み手の方々の生活や人生であり
建築とは、そのステージをつくることなのだ、と。

そのため、おしつけや奇抜な デザインをこのみません。
無論それは 手をかけない、ということでもありません。
ああ そうそう 自然にそうだよね、と思わせるような
造形や空間であることを 目標にしています。

できるだけ、なにも加えない。Less is More


2011年10月17日月曜日

コンクリート打放し仕上の風合い


建築のコンクリート打放しの風合い、好まれる方も多いです。
私も その ひとりです。

型枠のパネル目地やピーコンの穴、面の微妙な色の濃淡など
工業製品の仕上材の均一感 とちがった 手づくりの痕跡を
残すところが、ひとつ魅力にあるのでは と感じています。

それは たとえば 煉瓦積みの風合い にも同じ。
煉瓦 もよく見れば、傷や色あいなど ひとつひとつ微妙に
違いがあるはずです。煉瓦ひとつの大きさは、ちょうど人が
作業して積むのに ほどよい大きさ、重さになっています。
私たちが 煉瓦積みの風合いに どこか暖かみを感じるのは、
その 手づくりの痕跡 を無意識に感じているからでしょう。

ただ コンクリート打放し仕上の場合
ほんとに、生コンクリートを打設した そのまんま‥とは
なかなかいきません。現実の打設作業をご覧いただければ
理解いただけるように、ピンポール(表面の細かい穴)や
多少のジャンカはいたしかたない部分もあり、ある程度の
補修は 不可避です。外壁面では 撥水処理も 必要です。

わたしはこの補修の工法では、基本的に元請け業者さんの
意見を尊重するようにしています。
補修と撥水処理を同時に行なう業者さんもおります。
補修工事の金額を見積経常しない業者さんもいます。
‥そのかわり型枠大工さんの単価が、ちょっと高い。
 大工さんの腕前や打設作業に相当自信があるのでしょう。

最終的な仕上りのテクスチュアは サンプルや試し施工を
くりかえし、建て主の方と相談しながら きめていきます。

できるだけスッピンのままに!という方
均一感をだして、とリクエストされる方。 いろいろです。
私的には スッピン系かな。




2011年10月16日日曜日

まつり



川越まつり
山車 くらづくり‥
こんでいて 見上げるのみ。


2011年10月9日日曜日

下町ロケットとiMac


直木賞受賞作『下町ロケット』がよかった。涙した。

元宇宙航空技術者である主人公・佃航平が、実家である大田区の町工場、
佃製作所のあとを継いだところからはじまる。

じつは、私も大田区の町工場の出身である。
大田区の小さな町工場、といっても本社を中原街道周辺の池上に構えた
売上げ100億近い精密機械メーカーは、ここ糀谷の界隈でキリコと油に
まみれたルーティーンの作業を見てきたものからすれば、じつは羨望だ。
それでも、家業を継続できなかった、いくばくかの負い目があるぶんで、
私は主人公の佃より 帝国重工の財前部長に、感情移入ができた。
(大企業の重役というポジションとのちがいは さておき‥。)

佃製作所は、ロケットのエンジンのコア・バルブシステムの特許をもつ。
民間のロケット打上事業を押し進める帝国重工は、この技術開発の面で
大田区の町工場に先をこされてしまう。
大企業である帝国重工が、取引もない(彼らからすえば)いち零細企業
に特許使用を申し出でるのだが、佃はその申し出を拒否し部品そのもの
の製造納品にこだわる。ロケットの製造に関わるという、彼の夢からだ。
そのことが、社の内外で軋轢をうむ。

作者からの問いかけだ。 さあ あなたなら どうする?

もちろん、
自社の特許使用料を得ることも立派なビジネスであり、ロケット開発の
一翼を担う名誉なはずだ。ただ、佃はメーカーであることにこだわった。

ふと、あることと だぶった。

90年代。経営危機に陥っていたアップル社は、“三顧の礼”をもってして
創業者スティーブ・ジョブスを招き入れた。
彼はMac OS 使用のライセンスを売るんじゃないか‥。私は思っていた。
OSのインターフェイスのスマートさだけでも、Windowsよりはるかに
優れている。Mac  OS を載せたいPCメーカーは、きっと多いはずだ‥。
ちがった。私は、あさはかな凡人であった。

はたして あらわれた製品が iMac であった。
Macは高機能のPCではなく、生活や仕事のスタイルそのものである。
その意味で “パソコン”と呼ばれることに違和感があるのは、ユーザー
であれば、だれしもであろう。
スタイルとは ハードとソフト がひとつとなって はじめて像をなす。
iMacもインテリア的デザインに、スマートなインターフェイスが絡んで
生活や仕事の場面に、ひとつのスタイルをつくっていったとおもえます。


スティーブ・ジョブス さん。
今を 未来を ありがとう。

作者の池井戸潤さんはじめ 下町ロケット 関係者のみなさま
ネタバレ すみませんでした。
映画化のさいには、
佃製作所に竹内結子さんのような、素敵な女性社員をいれてくださいね。

2011年10月3日月曜日

上棟


なにげなく 記録として写したもの。

不穏なる空模様のもと 打設したばかりのスラブが輝く。
コンクリートは打設から 硬化の過程で熱をはっします。
それが 雲 をよぶわけでもあるまいに。