2016年1月31日日曜日

やっとのことで フォースの覚醒

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』
今更ながら、公開からひと月以上も経ちようやく鑑賞です。素晴らしかった!
作品の出来栄えとともに、我々の世代には ノスタルジー感満載!でしたね。

『スター・ウォーズ』
エピソード4~『新たなる希望』(…公開当時は、副題はありませんでした。)  
公開は1977年であったとのこと。
当時、私は高校生。有楽町の日劇(現在のマリオン)で観た 記憶があります。
エピソード5~6『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』 は
大学近くの佳作座(今はもうパチンコ屋さんになってしまった。)にて。
授業をサボって‥。
エピソード1~ 『ファントムメナス』のシリーズ3作は、小学生の甥っ子の
おモリを兼ねて‥。
自分のこれまでの時間と、ソロやレイア、ルークが歩んできたであろう人生
とを重ねてしまうのかもしれない(‥大げさでしょうかね)。だから、もう
ミレニアム・ファルコン号が画面に現れた瞬間、すでに涙腺が緩んでしまう。
きっと 初めて『スター・ウォーズ』の世界観に触れる若い世代の方々とは
大いなるギャップはありましょう。

気になること もあり。
これまでの『スター・ウォーズ』へのリスペクトが 過ぎるんじゃないのか?
シリーズの世界観を壊すまいと、おっかな・びっくり で作られているよう。
エピソード4~のシリーズからの引用部分が あまりにすぎてしまっていて
見ていて次の展開が 見えてしまう。
これからのシリーズの展開も おおよそ察しがついてしまっています。

脚本も監督さんも、次回作は選手交代だそうですから
いい意味 期待を裏切るストーリー展開を期待したい。
テーマは不変なのですから。

怒りの感情に染まった『ダーク・サイド』に身を委ねることなかれ。
家族の元へ帰ろう。
『ダーク・サイド』は 私たちのこの惑星にもあるようだ。


2016年1月29日金曜日

いざ鎌近。神奈川県立近代美術館鎌倉・最後の日々


神奈川県立近代美術館鎌倉が今月末で閉館になる。
ル・コルビジェの日本人のお弟子さんのひとりである 坂倉準三氏の設計。
終戦間もない1951年に建設された、近代建築の傑作のひとつ。まぎれもない。
『日経アーキテクチュア』最新号の特集に急かされ、昨日改めて見学しました。

敷地は鎌倉・鶴岡八幡宮の境内。
閉館は、宮との借地契約によるところだそうで、1966年に増設された新館と
学芸員棟は取り壊されるも、本館の建物そのものは残されるそうだ。嬉しい。

平家池を取り込む形にせり出すピロティーと列柱は、やはりル・コルビジェの
サボア邸を思わせる発想に加えて、水面の光の反射を利用した幻想的な演出も
素晴らしい。建設当時の、厳しい物資や予算の中で絞り出されたアイディアで
あったのであろう緊迫感が、空間全体の緊張感へと伝わっているかのようだ。

私は、建物全体のプロポーションが好きです。
(『日経~』の記事内容と多少 かぶりますが。)
プランニングは 対称性をすこしずらした 微妙な非対称性を持っています。
法隆寺の伽藍配置に代表されるように、絶対的なシンメトリー構成を目指す
西洋建築とは違い、シンメトリーに 若干のくずし を加えることにイキを
感じる、我が国独特の美意識です。
生花で言うところの 『しん・そえ・とめ』『天・地・人』 という発想。
これは、この建築のプランニングにとどまらず、鶴岡八幡宮の境内における
配置にも見て取れます。 源平池に浮かぶ 旗上弁財天社 と 近代美術館。
新・旧施設が 左右両外に並ぶ 境内のレイアウト。
その意味でも、本館の建物は残されるべきなのでしょう。

コレクションも 良い。
松本竣介、佐伯祐三‥ なぜか、若くして世を去った画家の作品が多かった。

たくさんの来館者。
別れを惜しんでいるようだ。
愛された建築。幸せな建築。






2016年1月26日火曜日

地名、坂道、動物たち。とある東京見聞。

狸穴 と書いて まみあな と呼びます。
麻布界隈にある地名で、母校の近くということで、地名は知っていましたが
立ち寄ったのは、初めてでした。
近くに 東京タワー をのぞむ、閑静でいて何気に緊張感のある いっかく。
ロシア大使館、アメリカン・クラブが近接し、警備の警察官の こんにちは‥
という穏やかな挨拶の顔は、それとなく私の首実検をしているのが、わかる。
ちなみに この2棟。冷戦時代から密かに地下道で通じている、という噂も。

狸穴坂 という坂 があり。
立札に曰く。
‥まみとは雌ダヌキ ムササビまたはアナグマの類で、昔その穴が坂下にあったという。
なるほど、本当にタヌキがお住まいになりそうな、茂みもまだ残っている。

東京は、ことのほか 坂の町でもあります。
他の坂道にある立札で、鼬鼠(いたち)坂・鼠坂 といった地名もあるようだ。
近くの狸穴公園に祀られていたのは お稲荷様。狐だ。
猫たちも 日向ぼっこをしている。 

動物たちは平和だ。



2016年1月10日日曜日

昭和の香りのリノベーション

建築家・古川泰司さんによるリノベーション住宅の見学会にて。
格安購入の古屋を手直しされ、ご自身の仕事場にするとのこと。

私も一度 ちゃぶ台使って打ち合わせなどしてみたい。
うまくことが運ばなければ、ひっくりかえして星一徹。




2016年1月8日金曜日

恋人たち‥『よしっ!』

気になっていた『恋人たち』。仕事にキリがついた勢いで観てきました。
原作・脚本・監督の橋口亮輔氏は、数年前『ぐるりのこと。』を観てから
タダモンじゃない。とは思ってましたが、この作品も評判通りの佳作です。
(今日の新聞でも、キネマ旬報第1位と。)

橋口氏の説明では、脚本は俳優陣(ズブの素人からベテランまで)との
ワークショップから生まれた作品とのこと。ほぼ無名の役者さんたちの
多くが、本名のままの役名である。リアルな感情をよくぞ引き出してる。

社会の片隅に生きる名もなき人々数組の、機微のやり取りを交互に微妙
に絡めながら 人生の再生 をテーマにしている。

橋口氏は 面白い職業に目をつける。
『ぐるり~』では、裁判の法廷画家の視点で、時代をトレースしていた。
『恋人たち』では、主人公(の一人)アツシは首都高速の橋脚の点検を
行っている。都内の首都高速のほとんどが運河の上部に掛かっているが
その運河をゴムボートで渡りながら作業を行う。
運河の静かな流れやゴムボートの目線から眺める東京が、どこか美しい。
( そいえば、タモリさんのTV番組でも紹介されてたな。 )
そう。東京(江戸)は本来、運河の町であったのだ。
そこに1964年の東京五輪。景観よりも効率性の面で、運河に架けられた
首都高速道路。2020年の東京五輪に向かう 東京の再生 という観点も
かけられているかのようだ。

安直なメッセージが用意されているわけではない。
ただ最後の アツシの『よしっ!』というセリフ。
爽やかな未来を 予見しているようだった。



『ファンタジー住宅建築』はいらない。

計画中の都内狭小地の長屋計画
建築確認の検査機関への事前申請が完了。やっと、新年を迎えられた心境です。
この計画では、東京都の安全条例の規制から、屋根に軒の出が全く作れません。
敷地内通路のためです。(安全確保と何の関係なのかは?ですが、さておき‥)
ここで、計画上ケアが必要なのは、雨水のおダレによる外壁の汚れ対策 です。
ジョリパットなど左官系仕上げでは、雨のたびに外壁が黒ずむ懸念があります。
思案の末、たどり着いたのが、金属系(ガルバリューム鋼板)のサイディング。
これなら、左官系仕上より工程が一つ少ないので、コストも抑えられます。

波型のパターンなら、日光が乱反射して眩しくならなくて、いいですね。
‥と、建主の皆さんにも好評です。試してみると、なるほど確かに眩しくない。
コンクリート(モルタル系塗り仕上)の基礎のテクスチャーとも合わせられる。
こうなったら、屋根のガルバリューム鋼板・アルミサッシ・照明器具も含めて
外装材のテクスチャー全てに統一感を持たせようか。


さて。この『サイディング』という外装材。
建築家が嫌う建材のさえたるものだそうで、メーカーさんから届いたカタログ
・サンプルを見るに、確かに フェイクのテクスチャー のオンパレードです。
木質調あり、タイル調あり、かたや石積調、レンガ調‥。正直、あまりに陳腐。

もともと、フェイクの建材への物議は、関東大震災の時代にさかのぼります。
(大学時代、卒論作成のため調べたことがありました。)
煉瓦積みが構造体としてではなく、RCの外装材として用いられるようになり
煉瓦の代用品としてタイルが用いられるようになり、やがてタイルはタイルと
して、ひとつの外装材の地位を確立していきました。

ただ今日、建売住宅などで頻繁に用いらているサイディングに見るフェイクは、
意味合いが違うのでしょう。つまり‘作り物’であることを、住み手も造り手も
すでに受け入れてしまっているのです。
例えば『東京ディズニーランド』のシンデレラ城もアトラクションの山も海も、
ハリボテの‘作り物’であることは、皆知っています。ただ、その場の非日常性
に浸かると、その時は確かに楽しい。ファンタジー です。
そのファンタジーを、日常空間である住宅建築に持ち込んでいるのでしょう。
そんな意識は、私には違和感があります。

木は木だし、コンクリートはコンクリート。鉄は鉄。アルミはアルミ。
素材のありように素直な、お刺身・住宅建築 でいきたいですね。


2016年1月1日金曜日