2012年10月9日火曜日

都市型集合住宅計画 共同住宅から長屋へ


現在、準備工事が進行中 O-Project
page 更新いたしました。ご覧ください。
進行状況は 支障なき範囲にて blogでフォローしていく予定です。

敷地の形状が 路地状 といえるのか、否か。
この計画の方向性を決める大きな条件だった。

敷地が 路地状 とされた場合。
東京都安全条例、その十条・路地状敷地の制限 により 基本的に
特殊建築物( 共同住宅も含まれる。)の計画は制限されるからだ。
この 路地状 という規定が じつに曖昧であった。
敷地のある新宿区役所の地域担当者に相談し、区の規定に照らして、
この計画地が『路地状ではない』ことを確認したのは 三月のこと。
その場で 共同住宅として計画中であった計画案の図面をひろげて
共同住宅の窓先空地とその避難経路 ( 安全条例十九条 )
共同住宅の主要な出入口と道路 ( 同十七条 )
等に関し詳細な打合せを行ない、計画案の基本設計をつめていった。

五月。年度がかわり、地域担当者もかわると、
区役所側が、この 『路地状ではない』 という見解を一転させた。
敷地は『路地状であり』特殊建築物である共同住宅の計画は不可と。

当然のこと。建主のかたと共に 区役所審査課に猛抗議にむかう。

前任の担当者も引っ張り出すも、三月に私と行なった打合せ内容を
否定(のちに図面を見てない、と訂正)。記録も取っていなかった。
結局、『路地状ではない』という判断を下していた事実は認めず、
記録を取っていなかったこと以外では、謝罪もなかった。

区役所が こんな重大な見解を覆すとは、思ってもみなかった。

感情をとりなおすのに いささか時間がかかった。
建主のかたと相談し、長屋 という用途となるよう、全体の計画を
大胆に修正していくことにする。前を向くことにしたのだ。
長屋 とは 共同住宅のような共用の廊下・階段のない集合住宅で、
これなら特殊建築物にあたらず、路地状敷地 でも計画可能となる。

それでも 設計者としてのハードルは 高かった。
融資元の金融機関からは、共同住宅計画から長屋計画にかわっても
専有部分、総延床面積のみならず、住居数(8戸)も、減らさない
ことを要求された。収支計画や、担保評価の関係である。
建築確認提出先とした民間検査機関(‥区役所には見切りをつけた)
からは、長屋形式の場合は、3階部分の住居は全て道路に面した
非常進入口(建築基準法上)を確保するよう、指導された。
そして、それらハードルの すべてをクリアした。 

地鎮祭もおわり 工事も立ち上がりつつある。
建主のかたにも テナントさんにも 喜んでいただければ よし。