2020年1月18日土曜日

パラサイト・家族のあり様


『パラサイト 半地下の家族』 ポン・ジュノ 監督(韓国)
半地下の不潔な住居に住む 下層階級の家族・キム・ギテク一家。 とある切掛で
高台にある高級住宅に住む 上流階級の家族・パク・ドンイク一家 にはいり込み
パラサイト(寄生)していくという、シュールなブラック・ジョークのストーリー。

FMのパーソナリティー や 新聞のコラム が 大絶賛。
カンヌ映画祭『パルムドール』受賞。アカデミー賞有力。こりゃあ 観るしかない。
たしかに完成度の高い佳作。入場料の価値には充分。
ただ、個人的にはモヤモヤ感が どしても拭えない。 なんだ? 

おそらく日本人の多くは 家族の話で『パラサイト』 と聞くと 『ひきこもり』
と連想するのでしょう。昨今では当事者が高齢化し、深刻化している社会問題です。
終身雇用、年功序列という制度に裏打ちされ、直戦的な価値観で生きてきた親世代。
バブル崩壊、就職氷河期を経てもがく子供世代、そんな世代間ギャップが社会背景
にあることは、日本人は、みな薄々認識しているところ。
ときとして、家族という「密室」の中で凄惨な事件にもつながってきました。

それが この作品では
主人公のキム・ギテクご一家。そればかりか、セレブなパク・ドンイクご一家とも
典型的な親子4人家族で、じつに仲がいい。もちろん家族同志では格差という矛盾
はあったにせよ、家族内での世代間ギャップなど皆無です。
一回ひねりで、むしろ健康的な家族の物語にも見えてまう。
韓国社会ではなく、日本の社会問題の深淵を考えさせられた 矛盾 がありました。

You Tube には メイキングの映像などもありました。
いま 韓国と日本との関係は 政治の面ではギスギスしています。
たとえ、映画のプロモーションであったにせよ
出演者が「ニホンの皆さん、観てね~」的に 屈託のない表情を見せているとこは
ほっとします。 少なくとも 文化の面では 仲の良いお隣さんでありたいですね。