『ロー・コスト住宅』 という言葉があります。
計画段階の住宅や集合住宅の、カテゴリーのひとつですが
私はつねづね、この専門用語に 違和感 を覚えています。
特定の条件で、特定の性能や規模の住宅を計画するうえで
コストをローに(低くするように)努めて計画することは
言わずもがな の 必須の条件だと考えているからです。
それが証拠に
『ロー・コスト住宅』の反意語として『ハイ・コスト住宅』
なんて言葉 は ありませんよね。
一般的にいわれる 『ロー・コスト住宅』 とは、いはば
『ロー・スペック住宅』 ということでしょう。
この 物言い のほうがスマートです。
コストをローにするための工夫(‥コスト・コントロール)
私は こんなふうに考えています。
A という商品があります。 価格は 50万円 です。
B という商品があります。 価格は 50万円 です。
A と B をひつつづつ 買ったらいくら? ‥100万円ですね。
では ここで
A と B をひつつづつ 買うのをやめて
A をふたつ買うことにしたら いくら? ‥100万円?ブー!
100万円 以下にできます。これが コスト・コントロール。
ちなみに
A は、モノとしての商品に限らず、構法、人件費(人工)など
コストの関わるいろいろな事項に置き換えることができます。
数量ではなく 項目を減らすのです。
100万円 から 実際にどれだけリーズナブルにできるか、は
工事を請負う施工業者さんそれぞれの 腕の見せ所。
そして
この A をいかいに多く作れるかが、我々建築家の腕の見せ所
であり デザイン という作業の一部であると考えています。
コストをさげる工夫 というのは
なにかを犠牲にする ということでは、ないはずです。
『Less is More』(より少ない は よりゆたか)
建築家 ミース・ファン・デル・ローエ の思想です。