2020年2月1日土曜日

『ラストレター』 手紙も図面も まだ手で書けますか?


岩井俊二監督作品『ラストレター』 琴線にふれる秀作です。涙しました。
繊細で瑞々しいタッチで描かれた 初恋 のはなし。
私のような世代の多くは、きっと自らの思い出に重ね合わせるのでしょう。

劇中、やりとりされたのは 手書きの手紙 です。

岩井監督の前作 『リップヴァンウィンクルの花嫁』(これも秀作でした。)
では、SNSを通した人との出会がモチーフ。じつに対照的ではありませんか。

ときめきながら 手書きのラブレターを取り交わす 世代
SNSで 買物をするかのように結婚相手を見つける 世代
 
アナログ から デジタル へ
私たちの職業でいえば、手書きの図面からCAD図面への転換期がありました。
25年前、独立して間もない私自身はうまく移行ができたかなとは思いますが、
製図板で描く、手書きの図面への思いは いまでもあります。
20代のはじめ、ある人に叩き上げられたからです。
大酒飲みで 女関係にはめっぽうだらしがない職人のような建築士。
(『ラストレター』では、豊川悦司さんの昭和版のようなキャラね)
酒の匂いをさせて、ひとたびドラフターに向かえば、水墨画のような図面を
一気に描きあげます。ディテールに意図があり完璧に納っている。 すごい。
この 修行時代のことも 思い出しました。

手で書くこと。大切にしたい。