2015年6月23日火曜日

新国立競技場のこと。ふたたび。

ここにきて、新国立競技場の計画の見直しに、再び注目が集まっています。

先月末、舛添都知事に対して下村文科大臣が持ちかけた『500億円出してくれ!』
のいまさら提案。それも、旧国立競技場の解体工事がほぼ完了し改修計画の案へ
後戻りできなくなった段階で、これを出してくるのが文科省やJSCの姑息なとこ。
いよいよもって、この数日中には、なんらか結論を出さざろうえないのでしょう。

昨年、ザハ・ハディド氏の計画案がコンペで選ばれたことで、巷に物議が生まれ
建築関係者だけでなく、一般の方々にも注目されたことは、よかったと思います。

私もはずかしながら、このBlogに いくつか生意気な意見を言っています。

建物の高さや威圧感を含め景観のこと。五輪後の維持管理や収益性のこと。
ザハ氏の計画案に異を唱える理由の多くは、そこだったと思います。
私は一貫して、建設に係るイニシャルコストの問題だと書いてます。

ザハ氏の計画案はカッコイイし、東京にできたらいいなと、私は素直に思えます。
ただ、コンペで要求された計画案の要件は1300億円の予算でつくれること。
もちろん、建設費をピタリ予算の的に納めるのは現実的ではないし、意味も薄い。
ただ、1300億 が 3000億 とは倍以上。これでは全く違う建物と言えます。
〝競技場〟の計画なのに〝美術館〟を計画してきては、それは 失格 でしょう。
もちろん、計画の実現にとらわれず、自らの主張として計画案を提案することは、
建築家としては、ありでしょう。それ自体は非難されるものではないと思います。
かつて都庁舎のコンペで、あえて低層の計画案を提出した磯崎新氏のようにです。

ようは、ザハ氏の計画案が最終的に選出されるにあたり、計画案の建設費見積が
コンペ主催者側から審査員にきちんと開示され、選考に加味されていたのか‥?
そこがはっきりせず、たんにザハ氏や安藤氏を非難するのには違和感があります。

最終選考に残った ザハ氏の案以外の計画案の中には
この厳しい予算条件を意識し、1300億に納めた計画案もあったかもしれません。
もし、一から選考をやり直すということであるならば、これらの案から選ばれる
べきでしょう。(いまさら現実的ではありませんが。)

尊敬はしていますが槇文彦先生のザハ案への非難にも、私は違和感があります。
建築家たるもの、反論には自らの対案の計画をもってしてするべきでしょう。
まして、槇先生はブリツカー賞受賞者として、コンペ案が提出できたはずです。
そうしていれば‥ で、私の計画案は1300億で納まりますが、なにか‥? と
この一言で、いまごろ全てのゴタゴタが片付いていたかもしれません。


さて 建築専門誌『日経アーキテクチュア 2015.6-10号』 に
新国立競技場見直しに関する 興味深い記事がありました。メからウロコです。
自民党の牧原代議士提案の、ある民間企業による新国立競技場建替計画案です。
神宮外苑の再整備計画と絡めて3ステップに分けて整備していく計画案ですが、
このごにおよんで、現実的ではありません。注目は 建物ではなく おカネ!

この計画では、スタジアム運営の年間収支を
プロスポーツなどの施設利用料で 年間50億のプラス と見積もっています。
(JSCの見込みは 3億のプラス)
そして、おそらくJSCは考えもしなかったでしょう、投下資金の回収見込みが
民間運営により 25~30年で回収 とあります。これは、五輪後におこなう
スタジアムを開閉ドームに改修する工事費:350億円の回収のことでしょうが、
維持費が収益に対してプラスかマイナスか、といった議論をしているところ、
お金を回収する という発想。 さすがの民間企業さんです。

かりに、このイニシャルが 500億円 だとしたらどうでしょう。
年間50億の収益、というなら 実質利回り10% です。
40億になっちゃった としても 8% です。 それでも優良事業でしょう。

つまり、都は国に500億出してあげるバーターとして、五輪以降特定の期間
スタジアムの運営権と命名権をいただいちゃいましょう。(競技場の名称は
東京国立競技場か グーグル・スタジアムか、アップル・スタジアムか‥)
運営する代理店は入札で決めるのでしょうが、プロスポーツだけじゃなく、
ポールもサザンもドームではなく、こっちで演ってもらいましょう。
国やJSCが使いたいというなら、逆に使用料貰えることにもなります。

都にキャッシュがないなら、銀行融資を受けましょう。なにせ担保の不動産
は国の所有です。規制があるのなら、都民債みたいなものもありでしょうか。

投資やファンドで儲けるのと違い、スポーツ・文化の促進事業でもあります。
たとえば、東京マラソンの スタート・ゴールはこのスタジアムになります。
(五輪と同じコースでしょう。)ここでの広告収入も期待できますね。

もしも 実現できるのであれば
500億円 安くない? > 舛添さん。