新国立競技場計画。隈研吾氏のA案に決まり、一週間ほど経ちました。
この計画案。私的にまだ、ちょっと腑に落ちないところがあります。
今月。JSCより候補のA案・B案2案のパースが発表されたおり、私は
A案の方は伊東豊雄氏の案だろうな、と考えていました。この10月、
都内で開催された伊東豊雄氏の講演で紹介されていた、シンガポール
で建設された氏の設計による超高層ビルを思い出したからです。
全体を自然の樹木で包まれた、高層オフィスタワーでありました。
建物(ましてや高層建築)に自然の緑をほどこせば、メンテナンスの
費用が当然掛かります。その費用を差し引いても、建物の付加価値が
上がり、賃料や入居率の面で収益性が高くなるだろう‥という建主の
判断があったのでしょう。ビジネスです。明快ですね。
民間の環境への貢献は、事業性と両輪をなしていなくては続きません。
かたや 新国立競技場 は公共事業です。
限られた1500億あまりの予算の多くは、税金(血税)です。
もちろん、都内に緑が多いことは、素晴らしいことだと思います。
ただ、都内に緑を増やすのであれば、都の条例等を改正して設置義務
の建物を増やせば、予算を掛けずにできることです。
スタジアムに緑がなくっても、競技はできます。五輪も開催できます。
〝いや、それでも競技場の予算で緑を植えることは必要なのです!〟
隈研吾氏には 必ず その信念があるはずです。建築家ですから。
そのメッセージ。そして、それに対する賛否に対する議論があって
初めて 選ばれるべきなんじゃないでしょうか‥?
建築学科の学生か作った課題への採点表のようなものなら、不要です。
建築を作る、ということは、建主の要求や予算と向き合うことです。
公共事業であれば、建主は、回り回って納税者となるはずです。
私も建主の一人として、現状のプレゼンでは、建築家に言うでしょう。
〝 緑はやめて、その分予算を抑えてください。 〟 と。
作品に込められたメッセージ。
まだ、いまいち伝わってない。