2015年12月6日日曜日

『下町ロケット』と水木しげるさんの幸福論

日曜のTVドラマ『下町ロケット』が人気です。毎週、私も楽しみにしています。
原作は池井戸潤さんの直木賞受賞作、受賞直後にも書込みした覚えがありますが
じつは 私も東京大田区の小さな町工場の出身です。

私の親父が経営していた小さな町工場では、厚版の溶断をしていました。
22mm厚以上の鋼板を厚版といい、それを火口から出るアセチレンと酸素で切断
加工します。製品は次の工程の工場に納品され、最終製品は何かはわかりません。
ですので、ドラマの舞台・佃製作所が、エンジンを作ったり、燃料バルブの特許
を持っているとは(そんな最先端の工場もありますが)少し羨ましいところです。
親父の引退後は会社法人を引き継ぎ、建築設計事務所に看板を掛け替えちゃった
親不孝者の私ではありますが、同じく“ものつくり”に関わるものとして、ドラマ
には郷愁を禁じえないところもあります。

もうひとつ。毎週日曜日、楽しみにしているものがあります。
毎日新聞の日曜版に連載中の、医師・海原純子さんのコラム『新・心のサプリ』
本日のコラムのお題が、この『下町ロケット』でした。
「ただ生活するためだけの仕事、ただ金を得るための仕事はつまらないだろう。
 夢がなければ‥」
ドラマの中で、主人公・佃航平たちが頻繁に使う この“夢”というキーワード。 
この“夢”とは何か。
海原さんが、心理学者マズローの欲求論から、ロジカルに説明されていました。
人間はまず、生理的欲求、安全欲求、愛と所属の欲求が満たされると、つぎに
社会承認欲求を求めるようになる、というのです。
称賛されたい、社会の中で場を築きたい、お金を儲けたい‥ということですね。
多くの人たちは、その欲求で人生を終えるそうです。
ただ、中には、人に評価されたり、お金を儲けることが目的ではなく、
目的に向けた努力そのものを楽しみ、しないではいられない、という人もいる。
ごく少数の 自己実現願望を目指す人たちです。

そう。ドラマの中の敵役は前者。社会承認欲求のみで生きる、しかも成功者。
佃航平たちは後者。そして、その後者に多くの視聴者が共感しているのです。

奇しくも、先日亡くなられた漫画家・水木しげるさんの 人生哲学 です。
ネット内で拡散している、この幸福の7か条に全く同じことが語られています。
(あえて、そのまま転写させていただきます。)

第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
第二条 しないではいられないことをし続けなさい。
第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。
第四条 好きの力を信じる。
第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
第六条 怠け者になりなさい。
第七条 目に見えない世界を信じる。

他者から評価されたい、お金を儲けたい‥。
人を貶めたり傷つけたりしない範疇で、そんな欲求もエネルギーになるのなら
あり だと、私は思っています。(一部 敵役の境地ですね。)
ただそれは、仕事そのものが楽しめていればこそ。です。
また、それを許される環境にあることにも、感謝しなくてはならないでしょう。

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