2019年2月18日月曜日

高架送電線のこと



トラブルですか? ‥ちがいますよ。 と 地上の作業員さんが教えてくれた。

何かのアドバルーンが鉄塔に引っ掛かってしまったのかと思いきや、全然違う。
送電線を地上に落とさず、撤去しているところなのだそうだ。
4つのバルーンで送電線を空中に上げ、となりの鉄塔から巻き取って回収する。

お見事!

鉄塔そのものを解体撤去するための作業だそうです。 なるほど。



2019年2月3日日曜日

日日是好日


計画進行の集合住宅 SK2-Project
建替られる既存マンション敷地内にて地盤調査(ボーリング調査)が開始。
工程の関係で、マンション解体工事の前に行うことになるも、作業は順調。
想定通りの深度で支持層の確認。流動化対策のための検査もだ。

状況写真は、あまり美しいものではないなと思い
またまた 映画 のお話をば‥。


前々から気になっていた 「日日是好日」 をようやく鑑賞できた。
監督は大森立嗣氏。まほろ駅前シリーズのジャンキーな世界観とは真逆な
清楚で爽やかな作品。同じ人のメガホンかと思うと、何気に愉快である。

もう何十年かぶりに訪れた「テアトル蒲田」 ここで面白い体験ができた。

物語のほとんどが お茶室でのお茶のお稽古の場面。
お茶席に正座したときの目線を意識してか ローアングルで撮られている。
ローカルな雰囲気のテアトル蒲田の客席には、傾斜がほとんど付いてない。
沈み込んで客席に座ると、ちょうど目線がスクリーンの下端くらいになる。
すると自分も、まるで茶席にいるかのような臨場感。偶然でも痛快である。

移ろいゆく季節感とともに、淡々と日常を描いているのみ。
(以下、公式サイトからの引用お許しを)‥
季節のように生きる。
雨の日は雨を聞く。雪の日は雪を見て、夏には夏の暑さを、
冬は身の切れるような寒さを。五感を使って、全身で、その瞬間を味わう。

高気密・高断熱を目指す、現在の住まいのありようとは 正反対。
省エネ性能を追求することは、地球環境や健康の面から大切でありますが、
季節のうつろいを感じ、味わえるゆとりも必要ではないかと思えるのです。
木造の日本家屋だけではなく、鉄筋コンクリート造の集合住宅ででもね。



2019年1月23日水曜日

建替られる建物からの置き土産


計画中の集合住宅の建替工事。
新築に先立ち解体される 現在の建物には まだオーナーがお住まいに。
今月内には仮住まいへの引っ越しのため、不要な物を処分するとのこと。

『ご自由にお持ちください。』の看板とともに 路上に置かれた品々。
はたして不要な物とは思えぬ 逸品 ばかりです。
私は お重の箱をふたセット いただきました。

構造設計のI先生に見せると、私以上に気に入っているご様子。
大切に使ってもらえるなら、そのほうがよい。さしあげました。

来春 新しく生まれ変わる集合住宅。こちらも大切にされるといいな。
新元号とともに工事がスタートする予定です。


2019年1月18日金曜日

樹木葬


TVのワイドショーを観ていると
亡くなられた女優の市原悦子さんが、樹木葬で埋葬されるとのこと。
樹木の元に埋葬する樹木葬は、生前のご本人の希望なのだそうだ。

河瀬直美 監督の『あん』
昨年亡くなった樹木希林さんの親友役で市原さんが出演されてますが、
物語の終盤、樹木さんが亡くなり、桜の木の元に埋葬されるところを
思い出しました。おふたりの繋がりを感じます。合掌。

私個人の考えですが
人も亡き骸は土に帰るべきなのかなと、思うときがあります。
ただ、私はまだまだ先の予定。 生きることにはどん欲でありたい。



2019年1月3日木曜日

ボヘミアン ラプソディ


昨年、見のがしていた話題の映画数本。
このお正月休みの間に堪能しています。

フレディー・マーキュリーと QUEEN の音楽の映画『ボヘミアン ラプソディ』
同じように、バントの歴史やメンバーの葛藤や絆も描いている。ということで
クイント・イーストウッドの『ジャージー・ボーイズ』を連想してたのですが
正直言って、映画そのものの出来栄えとしては 遠く及ばず。
面白くなかった。と言われる方々がおられるのも よくわかりました。

ただ、そんなことは も どーでもいいです。 大興奮!
Seven Seas of RHYE、Killer Queen が流れた瞬間。私の涙腺は一気に崩壊。


QUEENの初来日公演のとき。私は武道館にいました。
中学2年生か3年生でしょうか。ライブ初体験でした。
ブレイク間もない彼らのヒット曲は 『キラー・クイーン』
『オペラ座の夜』というアルバムは まだ発表前じゃなかったかな。
当時は照明や映像の演出もなく、PAも音が割れてて いい音ではありません。
警備の体制もノウハウがなかったのか、アリーナの客が前に押し寄せてきて
フレディーがしきりに Sit Down! と叫んでいたのを覚えています。
(いまのライブやフェスじゃ 考えられない光景でしょう。)

イケメン担当のドラムのロジャー・テイラーは、私と誕生日が同じでした。
当時 文通していた他校の女学生との そんなやり取りを思い出しました。
思春期の甘酸っぱい思い出です。(ちなみに7月26日は、ミック・ジャガーも)

QUEENに夢中だった当時の私と、同じような世代の若者たち。
ストリーミング世代の彼らも あいみょんや米津玄師のように 彼らの音楽も
受け止めているのであれば、それはそれで嬉しい。

祝 大ヒット
合掌 フレディー・マーキュリー



2019年1月1日火曜日

2018年12月31日月曜日

この1年


2018年は 公私とも あまり良い年ではありませんでした。
それでも少し ヒカリ の見えた年でもありました。

印象に残ったライブ は 年末の 宇多田ヒカル Tour2018
( ヒカリ と ヒカル の ひっかけね。)
ツアータイトル が 『Laugher in the Dark
絶望の中の笑い、ユーモア、希望この言葉にも惹かれました。
125日:さいたまスーパーアリーナ
シンプルなステージ。意表を突くビデオ。繊細な人柄が表れたMC 
セットリストに『Beautiful World』がなかったのだけ残念かな。

チケット が また 最先端。
デバイスからアカウント内を表示させ、かつ顔認証で本人確認。
絶対転売できません。ただ手元に紙チケットが残らない違和感。
ペーパーレス化、キャッシュレス化へ進む近未来を思わせます。

来年は
たくさん仕事して たくさん遊ぼう。



2018年12月30日日曜日

この30年



『平成』という時代が始まる前年、1988年。
西欧の建築を、時間をかけて見てまわりたい。そんな我儘を聞いてもらい
私はBさんの事務所・B建築設計を辞めさせてもらった。26歳の時でした。

Bさんとの出会いは その2年ほど前。
大手建設会社の現場監督の仕事に嫌気がさし、私は転職先の設計事務所を
探していました。そんな矢先、地元では有名なBさんに声をかけられます。
大酒飲みで女にだらしなく、胡散臭い人物との付き合いもうかがえます。
仕事といえば、建売業者の下請や建築確認の代願まで、拘りなくなんでも。
二の足を踏みましたが、飛び込んでみることにしました。大正解でした。

ネットもPCもCADもない時代。作図作業はもっぱら製図台とドラフター。
フォルダー一本で描くBさんの図面は、まるで水墨画のような濃淡が付き繊細、
大胆な構図は説得力に満ちている。Bさんは技術者としては、正に一級でした。
叩き込まれました。ただ、技術が自らの血肉になっていく実感は楽しかった。
私は一級建築士の資格を取得できました。


時代は『平成』へ
私も独立し、インターネットのおかげで、多くの仲間や仕事を得てきました。
ただ、『昭和』の匂いのするBさんのような建築屋はもういません。
(ちなみに Bさんのカラオケのオハコは 千昌夫の『味噌汁の歌』)


先日
建主の方から、とある名前を聞きました。その方から住設器具を入れたいと。
B建築設計時代の協力業者さん、Bさんの仲間のおひとりです。
その仕事、なんと電気設計をお願いする予定の業者さんもB建築設計時代の
仲間だったとわかり、思わず打合せでは当時の苦労話しに花が咲きました。

時代はかわれど
人との繋がりの大切さ、感謝の気持ちを忘れないでいたい。
空の上へ。 ありがとうございました。生きています。


2018年9月1日土曜日

池袋大仏



池袋大仏 手を合わせます。

打合せの帰り道、池袋駅のほど近かく。
建て替えられた 先行寺 の内部におられました。
池袋の新名所、ということで 建物外には行列が‥
と思いきや、それは隣のミニシアターへの入場者。

大仏さまの御前は じつにおごそかな雰囲気です。
都市の喧騒からひととき 離れられた瞬間でした。

ところで 昨日のNHKの 「チコちゃん」 では
大仏さまの 眉間 にある丸いモノが出題されてましたね。
この大仏さまの眉間にも 確かに!
私も ボ~ッと 生きて いませんので。



2018年8月7日火曜日

田中一村 作品と生涯


田中一村 という画家の名前を初めて聞いたのは 昨年の秋。
母校(中学高校)の同窓会大会でのOB・N氏の講演にてです。
N氏はTVでお馴染みの著名人。
レギュラー番組の裏話を期待されたところ さらに大先輩の
画家・田中一村の生涯のお話をされたのでした。

母校卒業後、東京芸大に進学も事情ですぐに退学したこと‥
生前は画壇から評価されず、一度も展覧会を開けなかったこと‥
晩年、奄美大島に移住し、貧困の中、独身の生涯を終えたこと‥
N氏の巧みな話術から、逆にネガティブな印象を持っていました。

田中一村 の作品に触れたのは 先週末のNHK「日曜美術館」
ビビットな色彩。大胆な構図と繊細な描写。 虜になりました。

作品から受ける印象とは、こうも違うものなのか。
きっと 充実した生涯を全うされたことでしょう。

一度 奄美にある「田中一村記念美術館」を訪れてみたい。

2018年8月2日木曜日

住宅性能評価と木造住宅


当方が設計監理する木造住宅の工事が、現在進行しております。
この住宅は、住宅性能評価の項目・構造性能で 等級3 を目指しています。

住宅性能評価 とは
住宅に求められる性能‥例えば、構造性能、空気環境、音環境や防犯対策など
10項目があげられ、それぞれの項目で 
等級1(建築確認が取れている)から、上位性能‥ 等級2、等級3 というように
性能を評価し、それを表示しようという制度です。

例えば学校で、選択できる受講科目が10科目あり、その科目ごと単位(評価)
を取得するようなイメージでしょう。

この計画では、構造性能 のみを選択しようとしたところだったのですが
構造性能に加え、劣化対策・維持管理・温熱環境 の4科目は必須とのこと。
これもまた、学校の科目のようですね。
(劣化対策・維持管理・温熱環境は それぞれ等級1で、と申告しました。)

新築の場合、住宅性能評価は
設計段階の設計住宅性能評価 と 
工事段階の建設住宅性能評価 の 段階に分かれます。
今日はその建設住宅性能評価 の3回目・仕上げ直前の検査ということで、
酷暑の昼間 検査に来られた民間検査機関の方には、ご苦労様であります‥
と(心の中で)申し上げた次第です。 検査は、無事終了。あとは竣工時。

2018年7月28日土曜日

家族の肖像・『未来のミライ』と『万引き家族』


『家族』をテーマにした 話題の2本の映画。
描かれた家族像が対極にあることに気がつき、面白いです。

「何があっても 遠くだけを見る‥」
福山雅治のカッコいい台詞と、細田守監督作品ということにひかれ
『未来のミライ』 昨日鑑賞してきました。
4歳の男の子・くんちゃんと そのおとうさんとおかあさん一家に
ミライちゃんという女の子が生まれたとこから 話ははじまります。

くんちゃんが時空を超え、過去や未来の家族と触れ合うという物語。
ここは予告編のお約束通り。
映像表現や音楽も素晴らしい。なのに、いまいち感情移入できない。
‥何故なんだろう。

おとうさんとおかあさんは、横浜の閑静な住宅地に住んでいます。
いわゆる中流より、ちょっと上の夫婦のように思えます。
子育てに奮闘するおとうさんは、おそらく監督ご自身の姿なのでしょう。
ただリアルなのはそこだけ。カネの話も男女の生々しいやりとりもなし。
まさに アニメならぬ絵に描いたよなホームドラマの世界感。
そして時空を超えて出てくる家族は みんな血の繋がりを持つ血縁者。
家族が、いはば『縦の関係』のみで描かれていることに気がつきます。


カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』
是枝裕和監督が描いた家族も、お父さん お母さん 兄 妹 の四人。
しかし 彼らには 血の繋がりはありません。 いはば『横の関係』
貧困や犯罪といった不条理な現実に喘ぎながら懸命に生きる、こちらの
家族のほうに 私はより強いメッセージを感じます。

家族の有り様は すでに多様化しているはずだ、ということでしょうか。

ところで
『未来のミライ』
くんちゃん・ミライちゃんのお父さんは建築家。 私と同業者です。

Mac Book でVectorWorksを操り、3Dのレンダリングまでしちゃう。
バウハウスやザハ・ハディッド、清家清の作品集が本棚に並んでいる。
設計した自邸は、実在するか、少なくとも実際に実施設計されている。
建築家の実務がリアルに描かれているようでいて、私はここにも違和感
を 覚えます。

クライアントとの打合せ、役所との折衝、現場でのやりとり‥。
実際の建築家の仕事の多くは、他者とのやり取り、いはば『横の関係』
の部分で成り立っています。
仕事を家庭でしているというのであれば、家庭以外の部分が描かれて
いないことも、逆に家族のリアル感を薄めているように思えるのです。

『万引き家族』では同居するアキ(松岡茉優)が風俗店で働いています。
この風俗店内の非・日常的な雰囲気が、日頃この一家が暮らしている
汚ったない家の中と対比しています。 ハレ と ケ の関係です。

家庭以外での存在をはっきり持っていてこそ
家庭の中で 家族 を意識できるのもなのではないのでしょうか。

いろいろ いっちゃいましたが
『未来のミライ』と『万引き家族』 
どちらも劇場で観るべき作品でしょう。 おすすめ。



2018年5月9日水曜日

工場再生 つづき。



2月に報告いたしました 工場のリニューアル工事のその後です。
確認検査機関による『遵法性調査』が完了。工事が本格化しています。


本来 新築された建築物は建築確認のとおりに完成されているかどうか、
完成時に完了検査を受け検査済証の交付を受けていなくてはなりません。

現実的には 数十年も前に建てられた建築物の中には
この検査済証のない(完了検査を受けていない)建築物も多くあります。

勿論、建築確認の通りに完成し、各種法令にも叶った建築物であっても、
例えば、建物登記にしろ、金融機関から建設資金の融資を受けるにしろ、
検査済証の必要性は薄かったから という当時の背景もありました。

ただ、こういった建築物の増改築をするとなるとなると問題が起きます。
基本的に、新築時の検査済証は必須となります。
それじゃあ増改築は諦め、やむなく解体して新築するか‥というのでは
古い建築物は出来るだけ活用しよう、という時代の潮流に反します。
そこで救済措置として登場したのが、既存建物の調査ということです。
『建築基準法適合状況調査』(ガイドライン調査)や『遵法性調査』です。

昭和40年代に完成したこの工場にも 検査済証 はありませんでした。

ただ、この工場のリニューアル工事の場合は、
増改築の確認申請は必要ありません(大規模修繕模様替)でしたので
『遵法性調査』の方を、確認検査機関にお願いしたところであります。

はたして現地調査に来られた検査員は お二人。
新築当時の建築確認概要書と私が作成した現状図面を元に、実測調査。
屋上に残ったガラス張温室や 後から設置された固定式オーニングまで
床面積の対象となるので 撤去 と指導されるとは 意外と厳しい‥。
それでも 是正報告の後には 立派な報告書をいただけました。

古くなっても再生して活かせる建築物は、もっと増やせるのではないか。
と 私は考えています。



2018年5月8日火曜日

リハビリ・北斎・黄金週間


3月の末。私の不注意から 左手人差指の先を骨折してしまいました。
激痛は数日で治ったものの、添木を当てグルグル巻きにされた包帯は、
なかなか外せず、運動不足もあいなってブルーな気分で過ごした先月。

このGWは もっぱら 心と体のリハビリテーションにとあてました。
読書 は1冊
『不死身の特攻兵』鴻上尚史
  9回の出撃から生還した特攻隊パイロットの実話。当時の歪んだ官僚
  主義が、現代の日本の社会の在りようにも重なるようだ。乞う映画化。

映画 は2本
『パシフィック・リム:アップライジング』
  前作のような深みはない(‥予想通り。)CG満載のアクション。
  最近のハリウッドのSF映画、中国人の主要人物がよく登場する。
  映画製作の世界も国際情勢下ということか。
『ペンタゴン・ペーパーズ』
  私が中学生の時に観た洋画『大統領の陰謀』へと繋がるストーリー。
  これも、たしかワシントン・ポスト誌の記者の活躍だったような‥。

あとは
旧友とビアガーデンで一献。晴れた日のBBQ。
指のあんばいが だいぶ良くなったなと思い、サイクリングの再開。

そして、以前から気になっていた美術館へ‥ 『すみだ北斎美術館
妹島和世氏による設計の、銀色に光る前衛的な造形。
ただゾーニングと動線を考慮した、考え抜かれた造形だ(と思う。)
渾身のディテールが詰まっていつつも、こじんまりした規模で納まるのは
なるほど 葛飾北斎個々の作品が小品であるからか。

『冨嶽三十六景神奈川沖浪裏』 迫力より緻密さと構図の妙に改めて感動。
企画展示は他『諸国瀧廻り』のシリーズなど 水の表現は圧巻。
常設展示はタッチパネルを駆使し、子供達にも親しみやすそうだ。

北斎の母方の血縁に、討ち入りで果てた吉良上野介の家臣がいたそうな。
GoogleMapを見るに、吉良邸跡地はすぐそこだ。帰りがけに寄ってみる。
母校やかつての事務所からほど近い 泉岳寺 には何度も足を運んできた。
ここはやはり、対戦相手にもリスペクトの念を持つべきであろう。合掌。


GWが明け。お医者さんの許可を得て、指先の包帯と添木をはずしてみる。
怪我とは関係なかった第一関節・第二関節が 硬く曲げずらくなっている。
なるほど、人間、体は絶えず動かしていないといけない、ということか。

このBLOGも、しばらくUPしないでいると、急に筆が重たくなるようです。
頭の中にも 何か鈍ってしまうものがあるのでしょうか。
これからは たえずアクティブにいるよう 心掛けたい。