2019年6月23日日曜日

計画変更と樹木希林さんの言葉


現在、設計監理中の新築集合住宅 SK2-Project
地中埋設されている既存杭の影響で、新設の杭工事に影響がでている事。
先日このblogでも触れましたが、事態はさらに深刻になっておりました。
根伐工事によって確認できた新設杭の位置を、構造の石和さんと協議し
てみると、上部建物の形状も一部変更する必要が出てきてしまいました。

変更とはいえ、融資の関係から 述床面積や建築面積は変えられません。
工事を止めるわけにはいきませんが、もはや『軽微変更申請』では済まず
『計画変更申請』が必要という事で、構造再計算と申請作業とで時間勝負
の連続も、ここにきて、ようやく目処が見えてきました。

工事が進むと、思わぬ障害や不可抗力で、なかなか設計図書通りに仕事
がすすまないことはあります。工夫して難題を乗り越えたり、あるいは
発想を変えたり、それもひとつの建築計画の醍醐味だな、と考えてます。
ただ、必ず顛末は 『災い転じて福となる』
もちろん、それは 建主皆さまの信頼と理解があるからこそ です。


昨年 亡くなられた女優・樹木希林さんの書籍のひとつに 似たような
エピソードが載っていたことを思い出しました。
家の設計をお願いした建築家に、間違えて穴を開けてしまった‥などが
あったら、そのままにしていておいて欲しい、と。現実的には、そんな
ミスは起こりようもないのですが、予定通りにいかない事を面白がって
しまおう、という希林さんの遊び心に共感します。

人生、思い通りにいかないからこそ面白い。

『樹木希林120の遺言』には、もうひとつ。
建築家に出した要望が書かれおり、これもとっても気に入っています。
‥石は石、木は木、真鍮は真鍮、硝子は硝子という、その良さをただ
 活かすことを考えて欲しい‥(一部の引用お許を。)

TVで見る希林さんの御宅、室内外ともコンクリートの打放しでしたね。
コンクリートは、コンクリートらしくね。