改修をおえた、東京都美術館のエル・グレコ展。
昼下がりにできた時間を利用し、再会ができた。
彼が活躍したスペインのトレドの街を訪れたことがあります。
ヨーロッパ中世の風情をそのままに、強い日差しをかわした
彫りの深い細い路地を散策するだけで、じつに心地よかった。
異端者の彼が、安住の地にしたのも わかる。うらやましい。
エル・グレコの絵画に思うのは、その オリジナリティー。
ゴッホやモネの絵が、その作者のものと誰もがわかるように
ああ、これグレコの絵ね。…と 彼の絵も分かりますよね。
それも20世紀じゃない、日本では戦国時代当りの中世の時代
当然、絵の主役は題材であって、描写はそのテクニックのみ
をとわれたはずの宗教絵画に、作家性を埋め込んだ。
すごいことかも。もしや、異端者だからできたのか。
どす黒い赤や青の衣は、血液や血管の象徴ではないだろうか。
(…わたしは、かってにそう解釈しちゃってます。)
デフォルメされた、極端に頭部の小さいプロポーションは、
シリアスなドラマ性、劇画性を強調しているのではないか。
(‥ちょっむかしの劇画 北斗の拳 を思い出します。)
帰路、夕暮れせまる谷中から日暮里駅へ。
トレドの散策とはうらに、たそがれ時をいそぎあし。
それでも、墓守のネコに うしろ髪をひかれてしまった。