『あいちトリエンナーレ2019』での企画展『表現の不自由展・その後』が中止になった。
韓国の反日運動の象徴『平和の少女像』などの展示で、抗議や脅迫があったからとのこと。
たしかに自由な表現活動に対して、お上がトヤカクいってはいけません。
ましてや公金(税金)出資を口実に圧力をかけてくる首長は、いかがなものかと思います。
ただ
表現の自由があるとはいえ やってはいけないことがあることも知っています。
数年前、ある女性アイドルグループがドイツのナチズムを連想させる衣装で歌い踊るMV
が一斉に批判を浴びたことがありましたが、この批判を批判する人はいませんでしたね。
今回のことで 私は ある作品のことを思い出しました。
『ゲルニカ』 パブロ・ピカソ
31年ほど前、マドリードの(たしか)プラド美術館で はじめて対面しました。
戦争の悲惨を抽象的に、迫力を持って表現され、心に突き刺さりました。
ただモチーフはスペイン内戦時の『ゲルニカ』の街の空爆という、現実の出来事からで
特定の政治思想が読み取れるのでしょう。テロ対策から防弾ガラスで囲まれていました。
不勉強な私は、それを全く理解していませんでした。それで、よかったのかもしれない。
『ゲルニカ』はすでに 反戦争 への普遍的なメッセージとなっていたからです。
では
『平和の少女像』は 戦時下の性暴力に対する普遍的なメッセージと言えるでしょうか?
・作品としてのクリティーに感銘を受けない。
・像が少女である。(戦時下の性暴力は、女性に対するものだけとは限らない。)
・いで立ちが、特定の民族しか想起できない。
これではメッセージを持ったアート作品ではなく、単なる プロパガンダ ですね。
表現の自由は、大切な権利だと思います。暴力や理不尽な公権力に屈してはいけない。
ただ、そもそも『平和の少女像』はアート展にそぐわなかったと、私は考えています。
※画像は検索から使わせていただきました。
パブロ・ピカソ『ゲルニカ』