2016年4月21日木曜日

地盤と基礎工事のこと


熊本県地方で大きな地震が続き、建物の倒壊現場の映像を報道で目にします。
あるいは昨年末に発覚した杭工事の偽装問題から、建物が建つ地盤への関心
は、一般の方々にも持っていただけるようになったことでしょう。

今月 地鎮祭を終えている HN1-Project
地鎮祭に先立ち、既存の建物を解体したさい、地中から、瓦やレンガ辺など
大量のガラが搬出されました。おそらく、この建物の新築で土工事するさい、
この時とばかり、廃棄物を埋め込まれたのでしょう。大量でスキ取れません。

SS(スウェーデン式サウンディング)による地質調査は 敷地内4点で実施。
基準としていた長期許容支持力(30kN/m2)に1点が足りていません。
明らかに、このガラや埋め土の影響です。
それでも、測定4点をおしなべると25kN/m2は確保できているということで
このまま基礎工事を行っても、(工務店が加入義務づけされた)瑕疵担保保険
の加入には問題なく、SE構法の構造設計をお願いしているNDN社のお墨付き
もえられることはできました。

ただ、本当にそれでよいのだろうか。
基礎はベタ基礎で設計しているため、たしかに建物の長期荷重はおしなべて
支持地盤に伝わります。ただ、力は弱い点に集中して伝わる特性もあります。
日頃、構造設計をお願いしている構造設計一級建築士A氏に電話してみます。
この計画は、彼女の構造設計ではないのですが、相談に乗ってもらいました。

結果。何らかの地盤補強工事は必要だろう。というのが、私たちの結論。
追加で負担の掛かる建主の方々にも、ご理解以上の賛成をしてもらえました。
厳しい接道条件と狭い敷地でどういった補強工事が可能か。検討しています。

さて
このように地盤改良工事が必要と考えられても、そんなものは必要ない。と
報告書を上げてきて、何らかの保証もしてくれる、という会社があります。
彼らは セカンドオピニオン と称しているようですが、無責任な話です。
責任が発生するのは、建築確認の工事監理者の欄に名前が記載されている者、
つまり、設計監理を行っている我々、建築士有資格者である建築家です。
昨年末の杭工事の偽装問題における国交省の指導やお達しにも、そのへんの
“交通整理” ができてないんじゃないのかと、思えています。
責任あるセカンドオピニオンを述べたいなら、建築確認の工事監理者の欄に
追記してもらうべきでしょう。建主に変更申請出してもらえば、簡単なこと。
もちろん、建築士有資格者であることは 言わずもがな ですが。