2015年5月3日日曜日

五月晴 光琳と燕子花(かきつばた)

尾形光琳『燕子花と紅白梅』

代表作の国宝屏風 2点
同美術館収蔵の『燕子花図屏風』と『紅白梅図屏風』(MOA美術館所蔵)
東西横綱の揃い踏みとあり、新築後まだ訪れたていなかった根津美術館へ。

平成20年代にはいって新装された根津美術館は、建築家・隈研吾氏の設計。
日本の伝統的な家屋を連想させる、深い軒をもつ切妻のプロポーションに
明快なゾーニング。ディテールは計算しつくされて、研ぎ澄まされている。
柱は座屈しちゃわないかと思わせるほど細く、全面のガラスで開放感満開。
一般の来館者の方々には、設計の意図と苦労を悟らせない。すばらしい。
足元にも及ばずとも、こういった作品を目指したい。

江戸時代に活躍した尾形光琳は、300年忌 とのこと。
今の時代のクリエイターのカテゴリーを、あえて強引に当てはめてみると
『グラフィックデザイナー』ということになるのだろうか。簡素化された
造形と限られた色彩、それを構図の妙で魅せつけている。
燕子花図のメロディアスなリズム感。
紅白梅図は、平面的な中央の大河に対し、たらしこみ技法の両側の梅の
立体感の対比が、自然に受け止められるから不思議である。
この作者が、放蕩と女遊びを尽くしたドラ息子だったというから痛快だ。

同館内の庭園では、リアルなほうの燕子花も満開。
南青山。東京の中心地でも、充分に自然と触れ合えるのです。