またしても 設計監理中の集合住宅の現場より。
同じような Photo がつづきます。
造作工事の壁面や、打放し部分の塗装仕上のサンプルを作成。
現場の壁面に直に(実際には隠れてしまう部分にて)施してみる。
これから 検討へ。
‥断熱とか結露とか、どうなんでしょうねえ。打放しの場合。
現場の定例会議で 監督が、ぽつりと つぶやく。
聞けば、他の現場で なにやら論議になっている、とのこと。
これまで この問いかけには、もう何度も出くわしてきましたが。
そもそも、私はコンクリート打放し御用達の建築家じゃない。
今年はRC造の外断熱にも初挑戦したし、木の風合いだっていい。
ただ、打放しを トレード・マーク のようにいわれちゃあもう、
しょうがない。
コンクリートの躯体そのままより 断熱材を施したほう、それも
外断熱構法であればなおのこと、室内の断熱性はよくなります。
熱伝導率など物理的数値から、それは明らかですね。
ただ、内外ともコンクリート打放し仕上の住宅であったとしても
(個人差はあれ)生活に支障のない程度の温熱環境は実現する‥
とうのが、私の考えです。
肝要なのは、コンクリート壁の 厚さ。
ラーメン構造(柱・梁構造)であれ壁式構造であれ、22cm以上
の壁厚は確保し、最上階の天井、最下階の床下の断熱材は必須。
よく誤解されるのは、
コンクリートの硬化にともない発生する湿気による現象です。
打設された生コンクリートは、長い時間をかけて硬化していく
その過程で湿気を吐いていくのですが、それが、結露や雨漏りと
間違われることが、あります。
ただそれも、だいたい竣工から一年程度で症状はおさまっていく
というのが、私の これまでの 経験則で あります。
‥‥‥
長期優良住宅 という 住宅の基準があります。
長持ちする住宅は、金利優遇など メリットをつけましょうという政策。
いいことですね。
主な基準は4項目。
構造(耐震性)・劣化軽減措置・維持管理の容易性・そして温熱環境。
温熱環境とは、(平べったくいえば)断熱材の施されたかということに
なるのですが、たいがい 木造住宅に比べ、RC住宅は計画はたいへん。
断熱材の空白地帯(ヒートブリッジが発生する納まり)が、どうしても
生じやすいのです。
これは、木造住宅よりも(大地震による)火災に強いRC住宅のほうが、
長期優良住宅へのハードルが高い、という 矛盾 ともとれます。
いや そもそも、温熱環境 って 建築物だけの評価なのでしょうか?
もちろん、エネルギー消費の効率性という物理的評価もありましょう。
ただ、おおよそ工業製品であろう断熱材の設置基準のまえに、住い手
の方々の ライフスタイル の評価であるべきじゃないだろうか‥。
エネルギーそのものを、なるべく使わない。
暑さ・寒さは 通風や採光計画に加え できるだけ衣類で調整する。
これから求められてゆくであろう、そんなシンプルなライフスタイルは、
木の温もりであれ コンクリートの質感であれ、ありのままの素材を
受け入れる、という思想にも 通じては いないだろうか‥。
ちょっと
大上段な おはなし になりました。