東京側、大田区には
こんな チャーミングな水門もあります。
六郷水門
2010年8月30日月曜日
2010年8月27日金曜日
多摩川河口の水門
昨晩いっしょだった若い監督さんとこの水門が話題になった。奇遇だな。
多摩川河口川崎側にある、この洒落た建造物は、mixiのプロフィールにも
載せているくらい、私も愛でていたものだ。
1928年 当時の内務省土木技師・金森誠之というお役人さんの設計
だということだけは、以前、新聞から知っていた。
ほかにも、この近辺には ちょっと 気になる構築物は多い。
タモリ倶楽部 の 気分で 散策 おすすめだ。
2010年8月25日水曜日
高気密家族 <Fiction> あとがき。
熱帯夜の中、うなされていて浮かんできた おとぎ話です。
以前、私の小説をみて
“これって ホントは ホントのことでしょ?” と
よく言われました。 ホントにホント、フィクションです。
33歳のボクは、40代の後半のワタシとは ちがいます。
きびしい現実と向き合う中
たまには ウソの世界に 浮かんでみましょう。
高気密家族 <Fiction>
あつい。
よりによって熱帯夜が14日もつづくさなか、頼りのエアコンが故障している。
事務所を兼ねた15坪ほどのボクのこの部屋は、灼熱の夜が数日間続いている。
作業を一段落させ、ペンたてから なにげなくひろいあげた うちわ。
数年前 大手住宅メーカー『ヒガホーム』が住宅展示場で配っていたものだ。
『 自然にやさしい 家族にやさしい エコ住宅 』
キャッチコピーの手前では、ドラマで馴染みの俳優に売出し中のアイドルが
家族にふんし、記念撮影よろしく、こちらに向かって微笑みかけている。
そして、ボクの今の仕事がこの『ヒガホーム』の下請け図面屋というわけだ。
始めたのは5年前の春、一級建築士事務所として独立してからすぐだった。
企画営業部のフクニシが、『ヒガホーム』に住宅建築を依頼してきた建て主
から要望を聞き、それを図面にする。ボクが建て主と顔を会わすことはない。
長期優良住宅申請と建築確認申請のための図面もつくる。申請作業そのもの
と構造計算は、また別の外注先があるようだ。
CADは専用の汎用CADで、7年間のローンを組まされている。逃げられない。
___________________________________
From: bokuchan※※※@gmail.com
Subject: Re: F様邸・平面詳細図-1
Date: 2010年8月24日 22:53:36:JST
To: fukunishi@higa※※※.com
___________________________________
ご指示の平面詳細図の修正、送信いたします。
添付です。
‥return!送信完了。
今晩の仕事はここまでとしよう‥。缶ビールのプルトップに指をかける。
久しく開けたことがない窓からの風。外はまだ暑い。ただ、意外なほど静かだ。
もとより二世帯住宅として建てられたこの住いには、この時間にはボクの他に
もうひとり、そう父が居るはずなのに‥
□□
5年前の春
『ヒガホーム』の下請けの仕事を取ってきたのは、他ならぬボクの父だった。
父は大手住設l家電メーカー『ハルピオン』の営業部課長。贔屓の得意先である
『ヒガホーム』の専務に、建築家としてまだ仕事もないボクを売りこんだのだ。
「住宅メーカーの下請け仕事だなんて‥。」
内心抵抗もあったボクとはうらはらに、自らの営業手腕で大手の仕事を息子に
発注させた父は、得意げだった。
母が亡くなってから、まだいきつけないスーパーでワインを買ってきてくれた。
「‥どうだ、なかなかだろ。」
普段は無口な父の笑顔に、ボクもいつしか付き合っていた。
『ヒガホーム』での、はじめての仕事は、新婚ご夫妻の新築住宅だった。
意気込みもあったボクは、大岡山にある30坪程の計画地に足をはこんでみた。
すでに更地になっている敷地の東側隣地に、立派な桜の大木が咲き誇っている。
越境した枝振りを借景として、住宅の内部から見せない手はないな…。
施主が希望として方眼紙に描いてきたスケッチをもとにした計画・A案と共に
ボクが独自に考えてみた計画・B案も一緒に、担当のフクニシさんに送信した。
B案は、汎用CADでなく、Vector Works をpdf変換したものとした。
フクニシから返信があったのは、翌週の月曜日だった。
___________________________________
From: fukunishi@higa※※※.com
Subject: Re: H様邸・計画案
Date: 2005年4月※※日 13:12:11:JST
To: bokuchan※※※@gmail.com
___________________________________
明日午前10時、当社東京支社までおこしください。
おはなしがあります。
□□□
フクニシとともに、社で待ち受けていたのは、企画営業部長サワタリだった。
恰幅のあるダブルのスーツ。名刺には一級建築士・管理建築士とある。つまり
ヒガホーム東京支社の設計・施工の物件はすべて、建築確認申請上の設計者は
この サワタリ ということだ。
初対面の挨拶も早々にソファアに腰をおろすと、サワタリの表情が一変した。
「フクニシによるとさ。お姑さんがえらい気ぃわるくしちゃったそうじゃない。」
「‥は?」
「自分たちの要望、聞いてくれないんじゃないかって。
いいのよ、嫁さんの言うように和室と収納、たっぷりつくってあげりゃあさ。」
「‥でも、せっかくの桜が。」
「桜はさ、フクニシが交渉して切ってもらうことになってるの。超えてる部分。
だいたい花弁どうすんの。ドレンが詰まってメンテがどれだけたいへんか…。
それと、この大開口。Low-E のペアガラスでいくらすんの。困るのよウチの
規格部材でやってくれなきゃ。カネ決まってんのよ。契約も。」
‥なさけなかった
ボクが、じゃない。
この会社では、お客さんにたいして管理建築士が重要事項説明もおこなわずに
契約まで全部、営業に丸投げしているのだ。この サワタリ という人物には
技術者としての自負はないのだろう…。
サワタリ部長との一件は、その日の晩には、すでに父の耳に届いていた。
当番の食事のあとかたずけをしていたボクの背中に、父がつぶやいてきた。
「どうなんだ‥。」( ‥せかく紹介した得意先を、なぜさかなでするんだ。)
父の真意はわかっていた。ただそのとき、ボクには反論する情熱がうせていた。
すれちがったまま、ボクは玄関脇のボクの部屋のトビラをパタンと閉じた。
それから まる5年。
ボクと父は 全く顔をあわせていない。
□□□□
父がこの二世帯住宅を建てたのが11年前。やはり『ヒガホーム』のシリーズだ。
当時のうたい文句が 『高気密・高断熱』。二世帯はライフラインの計量も別。
戸境壁にはご丁寧に、遮音シートまで仕込んでプライバシーが確保されている。
3年前にはボクは事務所もここに移した。
ふたつの住居を隔てるトビラの前には、いま、複合機が置かれている。
父はどうしているだろうか。もう定年退職は、しているはずだが‥。
ちっりん ちりっん りりん‥
風鈴かぁ めずらしいな。
意外なほど静かだ、と思っていた、都会の夜にどこからだろう…。
たまには、窓をあけてみないと わからないこともあるもんだな。
mail がとどく。
エアコンのことお願いしていた業者さん『空調王国』のカメナリさんからだ。
___________________________________
From: kame_san@qoochou※※※.com
Subject: Re: エアコン工事のけん。
Date: 2010年8月24日 23:49:36:JST
To: bokuchan※※※@gmail.com
___________________________________
やっはり、取替だね。
『ハルピオン』の製品がいいとおもうよ。
見積添付しました。請求は事務所宛かな。
工事は明日です。
明日から、また快適な晩がすごせますよ。
おわり。
この文章はフィクションです。
登場人物、設定は全て架空のものです。
2010年8月20日金曜日
顔を洗う?手を洗う?
乃木坂 TOTOさん のブランド セラのショールームへ。
同ビル上階にある ギャラリー間の展示とともにたちよる。
浴室 洗面・脱衣 トイレ が ひとつのスペース にし、
たとえば パウダールーム などと 呼ぶことがあります。
小さなスペースでも、水廻りをコンパクトに納め、しかも
広く見せるのに有用ですね。私も計画した経験があります。
省スペース のながれのなか
手を洗う器と水栓 と 顔を洗うための器と水栓
シンプルに ひとつのものと考える。そんな商品開発かな。
ショールームには
ハンスグローエのブランド AXOR のシャワー水栓も展示。
先日、新装なった同社高輪のショールームでも見かけたもの。
機能やデザインも充実してる。
がっつりバスルーム でも 高性能のシャワールームでもと、
これもまた ひとつは 省スペース からの発想かな。
写真は、許可にて撮影しました。
2010年8月18日水曜日
真昼の月
‥こんな粋なハンドルネームのかたへの返信から 考えてました。
たしかに真昼でも この灼熱の空を見上げると 月 が見える‥。
月を観ながら お風呂にはいりたい。
そんな建主のかたからの リクエスト で住宅をつくりました。
夜間、室内の照明さえ点けなければ ガラス張りの浴室の湯船
は明るい月を楽しめるという嗜好。いはゆるステージ効果です。
ただ、ここのところの この酷暑。
行水しながら 月を愛でるとすると どうしよう。
ガラスの物理的効果によらず、建築的な計画としてどんな方法
あるだろう‥ と、めぐらしてみるのであります。 暑い‥。
2010年8月17日火曜日
地質調査 うわものあっては‥。
昼間の最高気温の更新かとおぼしき、灼熱のお盆休みあけ。
建物の建替工事にさきだつ 既存建物の解体作業がつづく。
職人さんたちには、ほんとに、ごくろうさま である。
この既存建物。15坪あまりの敷地に ほぼ目一杯建ってる。
この状態では、ボーリングなど地質調査は現地では不可能。
その地質調査の報告書の添付が義務づけられた 建築確認。
そう
更地にして、地質調査して、それから設計しろよ ってか?
その間、建て主は ずーっと引っ越してろ ってことなの?
‥耐震偽装事件を端した、設計者性悪説 の発想のツケだ。
お役人さん にも さすがにあんまりだ ということでか
建築確認済証 は いただき、着工までに地質調査報告書
をキッチリ提出するとのことで、落着。
基礎は、近隣の地盤データの中で最悪の状態を想定し設計。
設計変更は、少なくとも補強の方へは出ないはずだ。
あとは、
設計者である私と、パートナーである構造設計者との責任。
これが、本来のことじゃ、ありませんか。
※所管の特定行政庁により、対応が違うことがありますので
実際の場合は、そのつど確認のこと。
2010年8月15日日曜日
江戸東京博物館 に ひさしぶりに行ってみた。
史実、とりわけ近代史への興味は トシのせいか、龍馬伝 の影響なのか‥。
理科系の高校生には、授業ではしょられぎみであったこと。いとおしいかな。
江戸から東京へ、時代の変遷とともにうつりゆく街並のジオラマが すごい。
ただ仕事がら 江戸東京博物館 の 建物としての計画には やはり疑問符。
あの 巨大ピロティは なんだろう。
せっかくならストリート・パフォーマーに解放するなど、なんかあるでしょ。
都がもってる せっかくの空間。もりあげればいいのに‥。
2010年8月11日水曜日
効率化の牙城・建築工事の見積書
工事の請負業者さんの決定は、まずは候補の数社から見積書をいただき
私の方でチェック。その後、建主と相談のうえで決定、という流れです。
私の見積書チェックは、独自の方法によります。
工事項目ごとに、全体の金額に対する パーセンテージ を出します。
経験的に、この割合は、どんな計画でもだいたい同じだと知ってます。
ぎゃくに、そこから突出した割合の項目は 要・確認となるのですね。
この工事見積書。
じっつに 見づらい。いまだに慣れません。
共通仮設工事、建築工事、電気工事、給排水設備‥と 大項目があり、
その後ろに 内訳がある。それも、一連の箇条書き。
まずは 建築基準法の法令集のように、インデックスをつけて整理。
また、それも分厚い。
pdf でも見づらいので 結局 全て打出し。 紙 もったいない‥。
iPad の普及が待たれる、一番手の分野じゃないかな。
2010年8月8日日曜日
2010年8月7日土曜日
ポータブル <縁側> スペース
電車の中で、飲んだり食ったりする人 よく見かけるようになりましたね。
新幹線や長距離の電車じゃない、山手線などの ふつうの通勤電車でです。
‥ふと。
マナーの云々はともかくも、都会人の意識が変わったな‥と感じるのです。
日本人の 場や空間、形態の様相を
真(しん)・ 行(ぎょう)・ 草(そう)という三段階で 表します。
カチッと丁寧に書く 『真書体』
くだけてフランクな 『草書体』
その中間に 『行書体』 という 中間 が存在するという考え方ですね。
たとえば 生活空間のあり方で いえば、
庭など外部 パブリックな空間 が 『真の空間』
完全な室内 プライベート空間 が 『草の空間』
その間をつなぐ緩衝帯としての役割の 縁側 が『行の空間』といえます。
もちろん、密集地の都会で、むかしながらの縁側を実現するのは物理的に
大変ですが、生活空間の中には緩衝帯としての『行の空間』はあっていい。
そのひとつが 電車内 となってきたのでは‥ と。
たしかに せいぜい本や新聞を読むくらいであった まさに 『真の空間』
であった 電車内 でも、可能なことが 格段にふえました。
手紙を書く、音楽を聴く、TVやゲーム‥ 携帯端末の進化のご利益ですね。
空いている電車内では よく となりをあけて座ります。
空間ごと持ち運んでいるようにも見えることから、ポータブル・スペース
と 呼ばれる と 聞いたことがあります。
この ポータブル・スペースに 半パブリック/半プライベート な意味
合いが生まれてきた ということに なるのかもしれませんね。
新幹線や長距離の電車じゃない、山手線などの ふつうの通勤電車でです。
‥ふと。
マナーの云々はともかくも、都会人の意識が変わったな‥と感じるのです。
日本人の 場や空間、形態の様相を
真(しん)・ 行(ぎょう)・ 草(そう)という三段階で 表します。
カチッと丁寧に書く 『真書体』
くだけてフランクな 『草書体』
その中間に 『行書体』 という 中間 が存在するという考え方ですね。
たとえば 生活空間のあり方で いえば、
庭など外部 パブリックな空間 が 『真の空間』
完全な室内 プライベート空間 が 『草の空間』
その間をつなぐ緩衝帯としての役割の 縁側 が『行の空間』といえます。
もちろん、密集地の都会で、むかしながらの縁側を実現するのは物理的に
大変ですが、生活空間の中には緩衝帯としての『行の空間』はあっていい。
そのひとつが 電車内 となってきたのでは‥ と。
たしかに せいぜい本や新聞を読むくらいであった まさに 『真の空間』
であった 電車内 でも、可能なことが 格段にふえました。
手紙を書く、音楽を聴く、TVやゲーム‥ 携帯端末の進化のご利益ですね。
空いている電車内では よく となりをあけて座ります。
空間ごと持ち運んでいるようにも見えることから、ポータブル・スペース
と 呼ばれる と 聞いたことがあります。
この ポータブル・スペースに 半パブリック/半プライベート な意味
合いが生まれてきた ということに なるのかもしれませんね。
2010年8月5日木曜日
高気密住まい
住いの空間は ますます高気密に、つまり クローズ する方向へ。
金利や税制で有利な『長期優良住宅』で要求される断熱基準からも
わかります。室内の空調効率を高めるため、という目的とのこと。
たしかに、このところの 酷暑 では うなずけてしまう。
縁側で団扇片手に風鈴‥ そんな風情 は もうむかし。
もちろん、密集した都心の住いでは 物理的には無理もありますが
人間的な 風通し くらいは大事にしたいじゃないですか。
プライバシーだ 個人情報だあ もちろん 極めて大切な権利では
あるけれど ある程度のことを許容する アバウトな空間や関係性
があっていいと思う。
クローズした住い、空間、家族‥
そして、子供の虐待、所在不明のお年寄り‥
昨今話題の陰惨な事件の要因と、なにか かぶるように見えるのは
文字通り 私個人の 老婆心 であってほしい。
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