2017年3月3日金曜日

上棟から木工事へ。設計監理日記

現在工事進行中 木造長屋のシリーズ HD5-Project
先月下旬 上棟に至りました。

今回はSE構法ではなく、通常の在来構法で計画しているため
各コーナー柱は、ホールダウン金物で基礎と直接緊結することになります。
この部分は筋違(すじかい)と絡むことがあり、要チェックポイントです。


とある建売住宅の施工現場で
ホールダウン金物がジャマになるのか 筋違を逆向きに設置していたり
ホールダウン金物そのものをハショっているのを目にしたことがあります。
ダメ ですね。


屋根の野地板が貼られ、内部空間も想像できるようになりました。
寄棟部分の登隅木は大きな部材になるので、そのまま<表し>で表現する
計画でしたが、それに絡む母屋も<表し>にできそうです。発見は面白い。


吹抜け部分もダイナミックです。
北側斜線(高度斜線)制限も絡み、複雑な形状で納めた木造高架を見事に
すずしい顔でやってのける 大工さんたち。さすが。



2017年2月22日水曜日

賃貸住宅の供給過多。それでも必要とされる賃貸集合住宅の条件。


賃貸住宅が供給過剰に陥っている、という警鐘を目にするようになって久しいです。
供給過多ではないのかという実感は、統計的数字以上に、体感的に感じていました。
近い将来、空室の増大などから、大きな社会問題となることを危惧しています。

賃貸集合住宅を造ってきた者として、思うところは複雑です。
プロとして依頼を受ければ、その条件の元、賃貸集合住宅の計画をし実現させます。
ただ、建築家として社会的責務を思えば、発注者からの依頼内容とは違ったレベル
にて、夫々計画はどうあるべきなのか、という意識はつねに持つようにしています。
もちろんそれが、依頼内容を無視する、ということであってもなりません。

賃貸集合住宅の着工数増加の背景のひとつに、相続税制改正が上げられていますが、
個人的な体感からすれば、あまりピンときません。当方へ計画の依頼をされる方々
の多くが、新たに土地を購入し、そこに賃貸集合住宅を建設し賃料収入を得る事業
をしようことからです。いはゆる投資家という方々もおります。
賃貸集合住宅は事業です。収益性の追求という方向性は、決して間違っていません。
ないゆう私自身も、(ささやかではありますが)賃貸集合住宅の事業主であります。

ただそれでも、土地から買って賃貸集合住宅の事業を、という方々の考えの中に、
ときおり(‥もちろん全て ではありませんが)違和感を感じるときがあります。
例えば、賃貸集合住宅を「金融商品」のひとつと、割り切って発想されている方。
あるいは、住み手(部屋の借主)にとっての住心地という観点の発想が気薄な方。
‥住み手にとってのメリットは、回り回って収益性にも繋がるはずなのですが。

あるいは
賃貸住宅を、現在のマーケットでの一般的ニーズからしか考えない方々。
もちろん賃貸集合住宅が事業である以上、ニーズにあった賃料や貸室を企画する
ことは当然です。ただその結果として、金太郎飴の如く、同じ様な間取・スペック
にして狭小の貸室が大量に供給され続けているのが、今の状況です。
この金太郎飴的な貸室が、これからの供給過剰時代では最も厳しい立場となること
は想像されます。待っているのは、賃料ダンピングの消耗戦か、空室の嵐でしょう。


これからの時代、必要とされ生き残っていく賃貸集合住宅の条件とはなんでしょう。

ひとことで言えば、私はそれは「差別化」であると考えています。
「差別化」というと、住宅設備機器をいかに拡充するかを考える方も多いでしょう。
エントランスにはオートロックが設置され、玄関インターホンにはモニターがつき、
それがやがてカラーになり、洗浄便器やWiFiも完備して‥ と、キリがありません。
住環境にはよいことではありましょうが、すぐに一般化し差別化とは言えません。

私が考える「差別化」とは
住空間のそのものの独自性。オリジナリティーです。
そこに、かつてスポットライトが当たった時代がありました。15~20年前になります。
「デザイナーズ・マンション」という呼称で、主に雑誌を中心としたメディアで多く
取り上げられました。当時、私も幾つかメディアの取材を受けたことを覚えています。
例えば、コンクリートの打放し仕上げ、メゾネット形式の住居などの賃貸集合住宅は、
当時としては珍しい物件ではありましたが、けっして一時の流行り物でもありません。
個性的な賃貸住宅へのニーズが、当時から潜在的に既に存在していたということです。
そして、こういったニッチなニーズに応えることができるようになった大きな要因が
黎明期にあったインターネットの環境、ということでしょう。

IT革命は 不動産・住宅業界を大きく変えるんじゃないだろうか。
当時、そんな期待はありました。もちろん、よくなったところもありましょう。
ただ、私が今感じている空気は、25~30年前のバブル前夜の熱狂感に近いです。


賃貸住宅の関する記事です。

2017年2月17日金曜日

基礎工事の設計監理

昨年末に地鎮祭を終えていた 工事進行中計画 HD5-Project
年が明けてからの工事経過を パラパラマンガ風にまとめてみます。

根伐(ねぎり) 基礎工事のため、土を掘り起こすことですね。
建物の位置や高さ関係を示すスミやレベルは、周囲の木枠に逃がして
マーキングしてありますので、そこを頼りに根伐ます。

砕石を敷きます。
この砕石。なぜ必要かといえば、捨てコンクリートが割れないように
するためです。設備配管のため、段差があるがわかりましょうか。

捨てコンクリート打設の前に 防湿シートを敷きます。湿気対策です。

この捨てコン。なぜ必要かと言いますと、スミを落とし込むためです。
捨てコンは スミ出しのためだけのもの。だから薄いのです。5センチ。

捨てコンに スミを出していきます。
建物の位置がはっきりしていきます。

基礎鉄筋の配筋は完了し、耐圧盤の部分はコンクリート打設も完了。
基礎の立上り部分の型枠作業に入っていきます。

立上り部分のコンクリート打設も完了し、型枠をはずしていきます。

基礎の型枠は、通常の木造基礎用で鋼板のものを使いました。
この計画は構造上、基礎の立上り部分が高いので コンクリート打放し
と同様にパネコートを使いたかったのですが、予算に合いませんでした。
残念。お金のかからない部分の精度で、頑張りましょう。

コンクリが黒ずんでいるのは、打設後あまり日が経っていないため。
時間が経ち、硬化していくにつれ、色は白くなっていきます。

基礎の上に土台を敷いていきます。
いよいよ 木造の大工さん達の出番です。

来週は、上棟へ。

2017年1月12日木曜日

テトラポット

大師橋の川崎側の袂のサイクリングで、護岸工事に出くわしました。
なんと
テトラポット(波消しブロック)現地で造っているじゃないですか。
てっきり どこかで造ったものを、運んでくるのかと思ってました。
(…そうゆう方法も、あるのかもしれませんが。)
たくさんの定型の鋼製型枠に、生コンが次々に打設されていきます。
なるほど、一度の打設で形成できる形でもあるわけだ。
知らない事は、たくさんある。

 

2017年1月6日金曜日

勝手に神社巡り

事務所に近い穴守稲荷には毎年 年の初めに2回、お参りをしています。
プライベートで1回、そして仕事を始めるにあたって1回
この3日にお詣りの時と比べれば、さすがに今日の参拝客の出は まばら。
お稲荷さん が 実に凛々しいことに気がつきます。

現場も近い。チャリで帰りがけ確認してから、土手に出ようとしたところ
地図を片手にご年配の方々のご一行が向かっているところに 白魚神社が。
そうか、羽田七福いなりめぐり ということか。

土手のサイクリングコースから産業道路に折れたところに 羽田神社。
ここは お稲荷さんではないようで、いなりめぐりのコースではない。
だた、ここでも別のご年配の方々のご一行が、カメラを手につらなる。
境内でのお焚き上げに一礼しつつ、富士見塚にも参拝。
先の地鎮祭。この羽田神社の若い神主さんの毅然とした振舞いを思い出す。

ほんの一時、巷の喧騒を離れ自らを見つめ直します。
無理難題なお願いは いたしませんので。

2017年1月1日日曜日

2016年12月31日土曜日

仕事おさめ

2016 おしまいにweb-siteの更新。
先日、引渡しを終えた FLAT SETTE のページを加える。
最後に 年を締めくくるにふさわしく 夕暮れの情景を。
多摩川河口からのぞむ 黄昏の富士

みなさま よいお年を。


2016年12月21日水曜日

22坪の敷地に実現できる高層型集合住宅計画



横浜市内・主要駅近くの大きな交差点。
22坪弱の角地に企画中の、高層集合住宅の計画案。
高度地区の高さ制限から10階建とし、計14戸の住居を計画。
横浜市の『ワンルーム形式集合住宅に関する指導基準』では
ワンルーム形式の住居(30m2以下)10戸以上が規制対象。
そこで、30m2以下の住居は1~5階までの9戸としておく。
ただ、これらの住居も将来のニーズに合わせ
2部屋を合わせた部屋にもできるよう、あらかじめ計画しておく。

プランを参考にされたい方は、当方までご連絡を。



奉献酒と地鎮祭


日本中が、一時的にクリスチャンに改宗することになる、その前日。
神道にのっとった 地鎮祭 を急きょ 執りおこなうことになりました。
杖をついた白髪の土地の神様は実際におられるのか、否かはべつとして、
仕事を始めるにあたって、身を引き締めるための行ないは必要でしょう。

新築する集合住宅は、先日完成した FLAT SETTE とは〝兄弟〟の関係。
ひとつのシリーズ化した集合住宅群を形成していければ、と期待します。

昭和の匂いが残る 昔ながらの酒屋さんで 奉献酒を用意します。
奉献 の のし紙の文字は、墨で筆書きでなくてはいけません。
この辺じゃ今年も次々と酒屋さん、やめちゃってね‥。
達筆をはしらせながら女将さんが嘆きます。
残っていってほしい風景です。
ウチじゃあ、地鎮祭なんか ほとんど やりませんよ。意味ないッスよ。
下請けとして扱う建築家のデザインをウリにした、年間400棟もの建売
住宅を建設するある業者の営業マンのセリフを ふっと思い出しました。
どうか、バチが当たりますように‥。



2016年12月9日金曜日

イルミネーション

先週末の内覧会には、床材メーカーのT氏も来られました。
(ご案内していなかったのに、恐縮でした。)
聞けば、今週、ショールームで弦楽四重奏を聞くパーティーがあるんでどお?…とお誘いを受け、南青山のショールームへと。はたして素敵な音楽とワインを堪能させていただきました。
街中はすっかりクリスマス気分一色。
せっかくだからと歩いた艶やかな表参道の一人帰り道、遠い日の想い出がよぎりました。
表参道ヒルズもアップル・ストアもなかった頃。
私も、少しは大人になれている。かな。


竣工写真と写真家


先週末の FLAT SETTE 内覧会には、10組ほどの方々にご来場いただきました。
皆さんとじっくり話を交わすことができて、穏やかで楽しいひと時でありました。
ありがとうございました。

内覧会の時刻に前後して、竣工写真の撮影を行いました。
私も、幾人か建築写真家の方々に仕事をお願いしてきましたが、今回は建主の方から依頼された初めての方。それでも眼力は鋭く、初めて見たはずの建物でも撮影ポイントは的確。
え!そこのディテール狙うんですが‥と、思わず唸ってしまう所もありました。

私も多少の心得はあるつもりですが、やはり 餅は餅屋。技術ではかないません。
でも、それでもやっぱり、当の設計者でしか追わない視点もありますが‥。



2016年11月29日火曜日

多摩川河口 ベンチのある情景

古びたベンチがあるだけで、佇まいを感じます。
誰もいないはずなのに。
この情景は Instagramではなく BLOGにて。

2016年11月26日土曜日

狭小集合住宅・完成内覧会:12月4日

当方で設計・監理を担当しました集合住宅・FLAT SETTE(HN1-Project改め)が完成し、内覧会を開催するはこびとなりました。厳しい接道条件の狭小地(約19坪)に、ロフトを内包した4住居(1R)の重層長屋です。ご興味の方には、お気軽にお越しください。

開催日時:12月4日(日)A.M.11:00〜P.M.5:00
建設場所:東京都大田区萩中1丁目1-10
 ※七辻(日本一のゆずり合いの交差点)のほど近くです。
アクセス:京急蒲田駅・糀谷駅 各 徒歩約8分
主要用途:重層長屋 4戸
敷地面積:64.78平方メートル(19.60坪)
建築面積:40.87平方メートル(12.36坪)
延床面積:81.74平方メートル(24.72坪)※法定延床面積
構造規模:木造(SE構法) 
工事施工:株式会社 伊藤工務店
設計監理:SOCIUS一級建築士事務所 岩間隆司

また、当建物は賃貸物件としてテナントさんも募集中です。入居ご希望の方にも、ぜひどうぞ。4室共、ほどなく入居可能の予定です。


2016年11月20日日曜日

空家、民泊、地域活性、そして分散型宿泊施設。

先週のはじめ、建築家仲間から招待されたパーティーは
イタリアのサルディニャ地方の『アルベルゴ・ディフーゾ』の報告会。
場所は台東区谷中。木造アパートを改装した HAGISO という施設。
ワインと料理でスライドを楽しむ、気さくな会でありました。

アルベルゴ(Albergo)は イタリア語でホテルのこと
ディフィーゾ(Diffuso)は 分散・拡散の意味とのこと
つまり『アルベルゴ・ディフーゾ』とは『分散型ホテル』となります。
私も興味を持ち 少し勉強してみました。

アルベルゴ・ディフーゾは、過疎化高齢化が進みつつある地方集落で
観光によるまちづくりの一環として、発生したシスムテムです。
集落全体をホテルと想定し、滞在施設や受付部分は分散し存在します。
もちろん、施設は空家や使われていない既存の建物を利用するのです。
訪問者(ツーリスト)は、集落の観光客であり住民でもある、という
二面性を持つことになります。

すでに『アルベルゴ・ディフーゾ協会』も存在し、イタリアのみならず
近隣の欧州諸国にも展開しつつあるとのこと。

そして、日本で初めてこの協会に認定されたアルベルゴ・ディフーゾ
が この『HAGISO』と 別館の『Hanare』 だそうです。
HAGISOには 受付やレセプション、レストランなどの施設。
少し離れた場所にある宿泊施設のHanareも、古い木造アパートを改修
してできた建物です。

面白い試みですが、このアルベルゴ・ディフーゾが成立する大前提は、
その地域そのものが、住民や訪問者にとって魅力のある町である必要
がある、ということに気がつきます。

たしかに、この 谷中 という町はとても素敵です。
上野の森から東京芸術大学へとつづくアカデミックな雰囲気のさきに、
手を加えられ、佇まいを残しながらも再生された古い家屋もちらほら。
多くの寺や墓地は都市の喧騒から隔離され、時折墓守の猫が迎えます。

これからの建築家は、『場』を作ることが仕事になるな‥。
パーティーの帰りがけ
仲間内で立ち寄った居酒屋での、そんな会話が何気にひびきました。