2017年9月30日土曜日

2つの動画

この9月。
2つの YouTube動画 が巷を席巻しました。

どちらも
突然、センセーショナルにUPされたようでいて
そのじつ 周到な準備のうえに製作されたもの。

どちらも
歩く人物の後ろ姿を捉えたもの。
主役の顔を あえて見せていない。

なにかを暗示しているかのようで、印象深い。


新しい地図
希望の党


2017年9月17日日曜日

『関ヶ原』

関ヶ原の戦いがあったのは旧暦で 9月15日 とのことで。
原田眞人監督の『関ヶ原』を観ました。
『クライマーズ・ハイ』を観て以来の、原田監督作品のファンであります。
‥『クライマーズ~』は、1985年の日航機墜落事故を題材の横山秀夫原作作品
出てくる登場人物の殆どのキャラを立たせた巧みな演出に感動するだけじゃなく、
堺雅人、尾野真千子、(今回は秀吉役の)滝藤賢一といった、若手俳優さん達が
ブレイクした作品でもありました。 佳作です。おすすめ。

『関ヶ原』も、司馬遼太郎原作ということで期待もありましたが‥ 正直、残念。
やはり、いっぱい出てくる武将それぞれのキャラを立たせているところは流石で
興行的にも成功しているようですが‥、私的には イマイチ感で もやもや。

では そもそも なにがイマイチ感なのか‥。

1. 何をテーマにしているのか イマイチわからない。
関ヶ原の戦いは、ダレとダレが戦って ダレがどんな立居振舞いをしたのか‥。
学校の教科書からTVのドラマから、日本人ならだいたいみんな知っています。
それを丁寧に舐めただけでは、伝わるものは少ない。
原田監督の思い入れが、よくない方に向いちゃったように思います。

2. 有村架純ちゃんの とってつけた感が 半端ない。
女忍者がこの時代に活躍していたのかもしれないが、物語と絡んでいない。
旬で勢いのある若手女優さん 出さないと観てくれないんじゃないか、という
なんらかの力学が働いたのでしょうか。
だったら、架純ちゃん目線の一人称の語口でも面白かったかも‥。

3. 合戦シーンに もやもや‥。
合戦シーンは迫力があってよかった。
きっと たくさんの方々が本当に尽力されたことだと思います。 が。
やはり日本人である以上 黒澤明 という名がどしても よぎってしまいます。
『乱』 『影武者』 『七人の侍』 ‥
かけた予算も時間も違うでしょうから、あんに比べるのは失礼とは思いますが
見劣りしてしまうことも確か。
人間ドラマの方に、より重点を置いてもよかったかも。

作った方々には失礼ながら、自腹の入場料分だけ不満を述べました。
それでも、お釣りは充分あり。ご覧の価値は ありますぞよ。 大一大万大吉。


2017年9月13日水曜日

『既存住宅状況調査技術者』中古住宅市場に必要とされる建築士

『空家』の増加が、社会問題となっています。
総住居数はすでに総世帯数を超えており、総住居数に占める空家の割合である
『空家率』は、平成25年度の時点で13.5%(7~8戸に1戸は空家となります)
これが、確実に年々増加していくことになるわけです。

住宅のマーケットにおいて、新築住宅より中古住宅の流通を活性化させるべく
昨年の宅建業法の一部改正により生まれた制度が『既存住宅状況調査技術者』

来年4月より、既存住宅の売買には、既存住宅状況調査技術者による調査報告
が必要となります。消費者に安心感をもってもらおう、ということでしょう。

既存住宅状況調査技術者 になれるのは
登録機関による講習を受けた 建築士 に限るとのこと。
大きな変革であることは明らかです。私も講習会に参加することにします。
講習会を申し込んだ登録機関は、所属する東京建築士会。
ほぼ丸一日をかけた、かなりのボリュームがある講習と考査となりました。

既存住宅の調査は、基本的に目視によるもの。
調査方法も、足場を掛けたりする必要がない比較的簡易な方法がおもです。
調査対象の住宅が、設計図書通りであるか、建築基準法に適合しているかを
調査するものでもないそうです。

少なからず 疑問が湧いてきました。
当然のことながら、どの調査技術者も同じ結論を目指すことになります。
それでは、仕事の内容(調査や報告書のクォリティー)での調査技術者間の
競争は生まれません。むしろ、調査やその報告書が綿密であればあるほど
商品(住宅)の価値を下げることになりかねない、という皮肉も感じます。

調査報告書(概要)の説明も、
既存住宅状況調査技術者自身ではなく、宅建士が買主におこないます。
これでは、プレゼン力においても個々の調査技術者の差別化はできません。

では、どういった基準で
この業務は この調査技術者さんに お願いしよう‥ となるのでしょか?
料金です。料金だけです。
‥どの調査技術者が もっとも安いのか?
これでは建築士にとって、健全な業務 とならないでしょう。

不動産の売買において、業者さんの手数料基準は厳格に決められています。
既存住宅状況調査技術者にも、厳格な報酬基準は必要ではないでしょうか?

かつて 耐震偽装事件がきっかけでなされた建築基準法等の改正のさいも
あまりにも早急な改変は、矛盾と混乱をうみました。
いましばらく この制度を見守りましょう。

初秋の木陰にて。