2014年10月27日月曜日

ホーム・カミング・デー

昨日は 母校の東京理科大学・ホームカミングデー2014 ということで。
数年前に完成した葛飾・金町の新キャンパスへ、はじめて足をはこびます。
広いキャンパス、大きくかっこいい校舎、まあ びっくりです。

ちょうど30年前 私が卒業したのは神楽坂の校舎ででした。
その工学部建築学科も、この新葛飾キャンパスに移転となった、とのこと。
キャンパスは心地よくても、通学はきついな。卒業は昔でよかったのかも。

届いていた 懇親会の案内状 には 
卒業50・40・30・20・10周年の皆様 へ とあります。
30周年のテーブルに懐かしい顔があり、しばしのタイムスリップを楽しむ
ことができました。10年に一度の再会の場。ということでしょう。
10年に一度といえば、携わっている中学・高校のほうの同窓会実行委員も、
卒業年度の末尾の数字ごと、10年ごとの期の持ち回りです。奇遇なような‥。

催し物も 楽しめました。
杉田二郎・庄野真代のスペシャルライブ。『戦争を知らない子供たち』に
70年代じゃない、いまだからこそあるメッセージを感じます。
数学者・秋山仁先生の記念講演。理科大在校中の劣等生ぶりは、同じように
劣等生であった自分が救われたような気持ちになれました。

年を重ねることも、あながち悪くないね。

2014年10月24日金曜日

ザハ・ハディド

東京オペラシティ アートギャラリー にて開催の 『ザハ・ハディド展』へ
ザハは、新国立競技場の設計から、日本で一般に知られるようになりました。
斬新な近未来感覚の造形が特徴の建築家(‥というか、デザイナー)です。

“展示物が、ところどころ尖ってますので お気をつけください。”
というモギリの女性に、じゃあ養生しろよ。‥などと反論してはいけない。
そこが ザハ・ハディド の造形の真骨頂。

SF映画に描かれている未来の都市が、そのまま実現したような感覚です。
もう、近未来でも、フィクションでもない。
作品の造形のかっ飛び方は、たとえばかつての丹下健三氏の作品のように
コレコレこーゆ理由で こうなりました‥ といった論理性は見えない。
(あるのかもしれませんが。)そういったことは超越したパワーです。

展示スペースの最後は 建替え問題が話題となった 『新国立競技場』

予算の削減から大幅に修正された基本設計の案は、なんともオトナしい‥
削ぎ落とされた造形は、まさに、丹下氏の論理的整合性の造形であり、
コンペの当選案とは、別の計画案だ。ちょっと、さびしい。
リーゼントでツッパりかました学生が、就職先でスーツが似合う営業マン
になっているような感覚です。(…うまく例えられませんが。)

最後の 展示パネル に苦笑してしまった。
この新国立競技場 と 現在の国立競技場(改修した場合も含めて?)
の 収容人数や設備、国際基準などを 並べて、性能をアピールしている。
この建物に建替えることは正解だよ。という、やんわりとした主張である。
(この展示の主旨は、そうゆうことなのね。)

私は コンペで選ばれた当初の ザハ・ハディドの計画案は大好きです。
こんなの東京にできたら カッコいいな‥と素直に思いました。
景観の問題で反対されている方々には違和感があります。
(当選案が決まってから、反対することではないでしょう。)

ただ、予算を大幅に逸脱した計画案で当選を勝ち取った。ということには
異議があります。計画そのものも、大きく舵を切るチャンスでした。

ザハ・ハディドは、建築家ではなく デザイナーだと思っている所以です。


2014年10月22日水曜日

建物の高さ制限は変わるべき。

『建築物の高さに関するルールの変更を進めています。』
朝の新聞折り込まれていた 都内大田区の区報 です。

都市では、多くの建物の形状や街並が、斜線状に高さの制限を受け歪な姿です。
許容された床面積を、高度に活用することを要求される都市の建築計画に対し、
建物の高さの規制が、うまくリンクできていないことから発生する弊害です。
都心で住宅や集合住宅を計画する者として、この弊害とずっと戦ってきました。

この大田区のルールの変更が、都内他区にも影響していくことも考えられます。
ルールが よい方向に変更されるのであれば 歓迎 です。


都市部での、中小規模の建物の計画で おもに影響を受ける高さの斜線制限は
建築基準法における道路斜線制限(敷地前面の道路幅から算出されるもの)と
今回、大田区でルールの変更を進めているという、高度地区ごとに設定された、
敷地の真北方向から発生する高度斜線制限(建築基準法にも敷地真北方向から
の斜線制限もりますが、まず、この高度斜線制限が厳しいです。)があります。
‥他にも、基準法に規定された隣地境界からの斜線制限もあります。
 よく誤解されますが、基準法の日影規制は、建物高さの制限ではありません。
 一定の高さ以上の建物の場合。発生する日影のエリアを規制するものです。

道路斜線制限のほうは
私が卒業した頃では、単に敷地の前面道路の対面からの倍率(1.25 や 1.5)と
杓子定規な規制でしたが、計画建物の道路からの離隔距離が道路幅に考慮され
るようになり、ついで天空率という概念も導入され、規制緩和がすすみました。

高度斜線制限のほうも もっと現実的なものになるべきです。

郊外で、広い敷地が充分に確保できる住宅の計画なら、採光も十分に取れます。
都市は、広い敷地を確保することはままならず、充分な採光はなかなか難しい。
しかし都市はインフラも整備され、情報も集まりアミューズメントも沢山です。
都市には都市なりの、生活の豊かさがあるのです。
そこに、郊外の豊かさまで個々の住宅に求めようとする所に矛盾が生まれます。

機内で知り合った邦人の住まい。
NY・マンハッタンの中心にある、高層ビルの住宅を訪ねたことがありました。
いはゆるスチューディオ・タイプの部屋には、日中あまり光はさしません。
こんな住宅で住み心地はいいのかな‥、という疑問は休日になって解けました。
晴天のセントラル・パーク に 余暇を楽しむ人々が溢れているのです。
ここが、いはば 公共の庭 となった様相です。

東京でも、生活スタイルへの意識から、変えていく必要もありましょう。
そこは、空家問題の解決にも通じるところ。

区報の内容は、大田区としての第一次素案で、パブコメの前段階のようです。
具体的な規制の数値がはいっていません。
私は、絶対高さ制限のみの指定でいい。ドラスティックな変革を支持します。


2014年10月20日月曜日

六本木・うららか展示会めぐり

六本木『六本木アクシスビル』にて アクシス フォト マルシェ vol.1
各ギャラリーが、若手や新人写真家の作品など 掘り出し物を出展。
なるほど、まさに写真作品のマルシェ(市場)といった感じである。

友人の大阪の写真家・多田ユウコさんの さわやかな作品
楽しませていただいた。
写真とは、被写体を写すという行為を借りて、じつは撮影者自身の
感性や主張を映し出しているところが、面白い。


その足で 東京ミッドタウン『ガレリア・コートヤード』にたちよる。
この夏、ゴジラがいたところだ。展示会があることは知っていたが
そうか、この時期この場所だったのか‥。
SE構法(株式会社 エヌ・シー・エヌ)による新たな取り組みの展示。
パーツ化された規格寸法の木材で実現する7組の住宅のプロトタイプ案。
一般の人にもわかりやすい。住宅をつくる、ということの楽しさがある。
顔馴染みの担当者とご挨拶。


21_21近くの遊歩道『ミッドタウン・ガーデン』のせせらぎ では
八郷瓦(茨城県の旧八郷町につたわる瓦)と笠間焼 といった陶器の作品展
せせらぎの水の底に、デザイナー達によるそれぞれの作品群が涼しげだ。
“気に入った作品に投じてください。” とコインを渡された。
わたしは、笠間焼の湯たんぽのひとつに一票。
よく見ると、本物のコインも投じられてる。トレビの泉のようなご利益は?

うららかな 休日でした。


2014年10月14日火曜日

映画の一部となる建築

台風の影響もあって、先週末の連休は、BSでも映画を観ていました。

渡辺謙さん出演『明日の記憶』 はじめてラストシーンまで観て知ったのですが、
若年性アルツハイマー病の主人公(渡辺謙)が自ら訪れる療養施設という設定で
安曇野の『ちひろ美術館』(設計:内藤廣) が 使われていました。 

私も一度、訪れたことがあります。
背後の北アルプスの尾根と形状を同じくし、自然の風景と溶け込む静かな佇まい。
単に絵(いわさきちひろ)を鑑賞する美術館というより、ゆったり時間を過ごす
設えが施設の随所にあり、この映画の、この設定にピッタリだ。と感心しました。

映画の中で 印象に残る役回りの建築 というのは他にもいろいろあります。

伊丹十三監督の 『マルサの女2』では
大胆にも『ヤマトインターナショナル』(設計:原広司)が国税局の建物として
登場します。普段目にできない内部でロケもされていて、そこだけでも興味深い。

名匠リドリー・スコット監督 松田優作の遺作となった『ブラックレイン』では
かつて道頓堀の戎橋の袂に君臨していた『キリン・プラザ』(設計:高松伸)が
なにわのブレードランナーよろしく、近未来感満載に輝いていました。

こういった いはゆる名建築 と言われるものではないにしろ
建築空間は 作品としての映画表現の 重要なファクターになることが多いです。


先日 このコラムにupしました 『ふしぎな岬の物語』
(大変に申し訳ないのですが‥)ほんとーに つまらない作品でした。
舞台となる主人公(吉永小百合さん)の喫茶店は、せっかく風光明媚な岬の突端
にありながら、薄暗い室内に丸見えの厨房。海を眺めることもできないようです。
少なくとも、村の人々がコーヒー1杯目当てに集ってくるとはとても思えません。

たとえば、この喫茶店が
天井の高い、普段は燦々としたオープンテラスのお店
掃き出し窓を開けると、バルコニーの突端は海と一体‥
そんな お店だったらどうでしょうか‥?
物語のキーとなる虹の絵は、海に背を向けて掛けられていて、ある席に座ると
背後の風景と重なり合うのです。その席が、亡きご主人の特等席‥。

なあんて設定だったら どうでしょうかね‥?

この映画、ひとつ ご覧になってみてください。

2014年10月13日月曜日

ダーティー・ハリーとサユリスト

『ふしぎな岬の物語』
吉永小百合さん自らのプロデュースという期待は(大変に申し訳ない‥)肩すかし。
物語に深みもない、例えば、雄大な大自然やスタイリッシュなインテリアといった
オリジナルな見所もない。ひたすら、小百合さんの神々しい存在感に頼ってるだけ。
ただ きっと
出演者の方々は、役柄そのままの小百合さんの丁寧な依頼を快諾されたのでしょう。
皆さん楽しんで演技をされている現場が思い浮かび、不思議と入場料が損ではない、
まさに “ふしぎな” 映画でありました。

『ジャージー・ボーイズ』
50年代に活躍した男性ボーカル・グループ『フォー・シーズンス』を主人公にした
軽いタッチのプチ・ミュージカル風、男の友情物語。
背景とした楽曲が皆素晴らしい。それでいて、アナ雪のように押し付けてこない。
さあここで泣いて!といった過度の演出も(ラストシーン以外は)抑えられている
ところは、クイント・イーストウッドの映像らしさ全開。そこが胸を熱くします。

ピュアな母性に満ちた 静の映画
ヤンチャ系軽音男子の 動の映画

2人の往年(失礼かな)の銀幕スターのコントラストが面白い。




2014年10月12日日曜日

建築家紹介サイトにいくまえに。

『建築家』に、進行中のプロジェクトにマッチした『工務店』を紹介しましょう‥。
先週、事務所にこられた一生懸命な営業ウーマンの方には、申し訳ないとこですが
このようなビジネスモデルは もはや 成立しません。
“無料で紹介” とは、紹介する『工務店』からマージンを得ているということです。
そのマージンは、そのまま工事金額に上乗せになることは、誰にでも理解できます。

情報革命(IT革命)といわれて、もう久しいです。
『工務店』を探すのなら、ネットで検索できます。
そして、『工務店』を選ぶ基準は、金額だけではありません。
得意分野、実績や技術力、仕事に対する考え方や情熱など、実際に責任者や担当者
と直接会って話を聞いてみないことには、判断できない部分がほとんどです。

“建築家を紹介します” というビジネスモデルにも、全く同じことがいえます。
『建築家』を『建主』に。『工務店』を『建築家』に。置き換えればそのままです。

インタネットに限らず、展示会などで“無料で建築家を紹介”というのも同様です。
紹介される側(建築家や工務店)からのマージンが発生していることがあります。
もちろん、回り回って知らず知らずに、無料で紹介された建主の負担になるのです。

じつは、私もこういった紹介サイトや紹介ビジネスには、多数登録しております。
それは
『建主』の方に、無料で紹介してもらうためではありません。
『建主』の方に、直接 私(SOCIUS)を見つけてもらうためです。

住宅や集合住宅の計画をお考えの方々には ぜひ
気になった建築家をみつけて、紹介会社を介さず、直接会いにいってみましょう。

大きな病気になったとき、信頼できるお医者さんを探すことと似てると思います。
病気を克服するのには、信頼できるお医者さんと二人三脚で取り組むのと同じく、
建主と建築家との関係にも、信頼と共感が大切だと思っています。
敷居は高くありません。

2014年10月11日土曜日

ノーベル平和賞

発表直前、憲法9条の受賞を危惧してか首相の『結構、政治的ですよね。』発言が
ネットに出まわってましたが、こういった発言そのものが政治的で、センスがない。
ただ(もちろん違った意味で)ノーベル平和賞の中に政治的なメッセージは明らか。

受賞者おふたりは、女性や子供達の権利を守ろうとする共通の志の同士。 ただ
イスラム教徒 と ヒンドゥー教徒 という異教徒同士。
インド と パキスタン という紛争当事者の国民同士。
17歳の少女一人に荷が重すぎないようにしたダブル受賞。
『政治的』 も よいではないですか。

マララ さんは 有名な人なので わかるのですが
インドで不幸な子供達を救う活動をされてる、カイラシュ・サティアルティ さんも
立派な方のよう。こういった方々を知ることができるのも、賞の意味でしょうか。

新聞やネットによると、サティアルティさんは
活動に反対するものに襲われ頭や足、背中を負傷したこともあるそうな。
活動家仲間の中には狙撃されたり、殴り殺されたりした者もいるという。

サティアルティさんの言葉
‥もし攻撃されるなら、我々は正しい道を歩んでいると分かる。
 私たちは社会悪と戦っている。
 悪魔が復讐してこないようでは、我々の活動が悪魔を脅かしていないことになる。

先日
渡航してイスラム国に入隊することを画策してた学生のことが報道さていました。
シリアの別の過激派組織に入って、戦闘行為に加わっていていた経験を告白する
別の学生が、TVのインタヴューを受けていました。

紛争地域で戦闘行為に加わり、命のやり取りをしてみたい、というのであるなら、
インドへいって、このサティアルティさんの用心棒をしてあげては どうなんだ。
よっぽど 世のため 人のためだぜ。

2014年10月10日金曜日

ノーベル文学賞

ノーベル賞 には
平和賞の他 物理学賞 化学賞 経済学賞 医学生理学賞 そして文学賞があります。
平和賞は別にして、文学って 他の賞のように 学術 といえるのであろうか‥。
学術は真理の追究をもってして、社会に貢献するものですね。LEDなどさえたるもの。
ただ文学(小説)は、真理とは逆の、いはば虚構の構築という作業ともいえるのでは。
常々こんな疑問を抱いている私は、心底 ヘソマガリ者 であります。

村上春樹さん。残念ながら、今年も受賞を逃しました。
村上さんの作品は 縁あって蜷川演出による『海辺のカフカ』の舞台を2回観ました。
それを機に、いくつかかじり読みをしてみたのですが、私には ちょっと合わないな‥。
やっぱり ヘソマガリ者 なのでしょうか。

文学(小説)には エンターテイメント という側面もあります。
問題発言もあってかもしかして、もう候補からはずれてしまったのかもしれませんが
ノーベル賞文学賞には ぜひ BOB DYLAN (ボブディラン) を 私は推したい。

ためしに 60~70年代の彼の詩を(出来れば原文で)読んでみてほしい。
例えば Blowin’ in the Wind (風に吹かれて)、I want you、Forever Young‥
The time they are a-change メッセージ・ソングの元祖です。

70年代には Hurricane という詩で
無実の罪で10年以上投獄されていた黒人プロボクサーを解放させています。
(映画にもなりましたね。)

エンターテイメントの賞よりも、ノーベル賞が相応しいと思ってます。

2014年10月6日月曜日

『空き家問題』を新たな住宅スタイルを造るきっかけに。

昭和30年代のいはゆる高度成長期に区画分譲されたのであろう、住宅団地があります。
整然と戸建住宅が並び、生活感がただよっているようでいて、よく見ると空き家も目立ちます。
空き家の中には解体され、更地になった場所に、また同じような新築住宅が造られていく‥。
という、見方よっては不思議な光景も目にします。

しかし、放置された空き家は、火事や倒壊・犯罪の温床にもなり、もっと深刻です。

都内大田区にある事務所の近くにも、長らく朽ち果てた木造アパートが放置されていました。
自治体の空き家に対するケーススタディーとして、メディアでも大きく取り上げられましたが、
結局、大田区による行政代執行で解体されたようです。周辺の方々には、ひとまず安心です。

昨今、新聞やTVでも大きくでも取り上げられるようになった、全国に広がる 空き家問題。
今後、とてつもなく大きな社会問題になってしまうのでは、と危惧しております。

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この7月 総務省の発表では。
全国の空き家は820万戸。総住宅数に占める割合13.5%と、ともに過去最悪だそうです。

先日の野村総研の発表では、2023年の空き家率は 21.0%にも上ると予想されています。
…ただこれには2つのシナリオがあるようです。
 単独世帯が増えて世帯数の増加スピードが高まると、逆に空き家率の増加が鈍化します。
 現在の13.5%という空き家率から、増加が鈍化した場合は2023年の空き家は13.7%。
 ただ、2020年ピークに世帯数は減少に転じます。
 世帯数減少を考慮し、住宅の除却・減築を進めなければ21.0%。5軒に1軒は空き家。

□□□

空き家は、積極的に活用しようとする取り組みもあります。
使われなくなった空き家を、借り上げた自治体や、空き家の持ち主本人が大家さんとなり、
基本的に、原状回復の義務なしで賃貸するという方法。入居者はDIYでリフォームします。
空き家にとっても、入居者にとってもハッピーでユニークな賃貸借住宅で、いいですね。

ただこれは、いまある空き家の利用方法で、直接的に空き家を減らす手段にはなりません。

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空き家が増えていく メカニズム はわかっています。
税制や人口減少などの要因もありましょうが、ようは住宅を造りすぎているのです。

住宅の生産は
家電や自動車と同じく、我が国の産業構造の中にガッチリ組み込まれてしまっています。
造りつづけていないことには、経済が回らないのです。それは、景気状況の判断として
住宅着工数の推移や比較が取り上げられていることからもわかります。

日本の住宅政策で、住宅総量目安にて、毎年の住宅着工数をコントロールしては‥。
という考え方もあります。 (※参照:『「空き家」が蝕む日本』長嶋修 ポプラ社)
無計画に、住宅はとにかく造らんかな売らんかな‥ではなく。西欧の多くの国のように
10年間の住宅需要や住宅建設見込みを推計し、10年間でどれくらいの数の新築住宅を
建てるのかといった、大まかな計画をたてるのです。
かりに、10年で世帯数の10%分の住宅を造ることにすれば(人口動態などを考慮せず
単純に計算すると)100年で全世帯分の住宅ができることになります。
住宅の寿命を100年程度とすれば、そのサイクルと一致するというわけです。
もちろん、住宅の寿命や割合をどのように設定するかは、各国の判断で決められます。
合理的で、よい考え方ですね。

ただ(住宅産業界の肩を持つわけではないのですが‥)
現時点で、この手法をそのまま我が国にあてはめるのには、違和感もあります。

たとえば、都市部でも防災の観点から不燃化建築への建替えが急務な木造住宅群や、
地方にいけば、通柱も筋交いもない粗悪な建築群。つまり(いやな言い方なのですが‥)
淘汰されるべく住宅建築も、悲しいかな沢山あるのも現実でしょう。
長持ちする良質な新築住宅であるのなら、まだまだ造りつづける必要はあるはずです。

そして、長持ちする良質な住宅を新築していこう。という取り組みの政策もあります。
住宅性能評価制度をベースとした 長期優良住宅 の制度です。
これは、新築住宅一辺倒であったこれまでの住宅市場に、中古住宅も流通させてよう、
という不動産業界の改革とリンクするもので、これも基本的に支持できるところです。

ただ
私には、住宅の『長期優良』とするべく基準項目には、まだ検討の余地があるように思えます。

□□□

空き家を減らす。
そのためには、新規住宅着工数は徐々に減らしつつ、出来上がった住宅は長持ちをさせること。
それには政策や産業構造の改革ばかりでなく、私達の価値観も変化していかなくてはならない。
私は、そう考えています。 
必要なことは 2つです。

ひとつには
古いもの、または古いものをアレンジして使う。ということの価値を、もっと高めていくこと。
せっかく造った住宅建築は、出来るだけ次世代に引継ぐことを“カッコよし”とする価値観です。

住宅建築は、建主個人の資産であることと同時に 社会全体のインフラでもあるはずです。
そう考えると、2020年東京五輪のメイン会場となる新国立競技場建設が、多額の予算(血税)
による建替新築工事ではなく、現・国立競技場の耐震補強と改修の計画でカッコよくできれば、
逆に象徴的存在となりえたかもしれません。象徴とは、斬新なデザインだけではないはずです。

もう ひつとは 
『新築持家ステップアップ思考』と並ぶ、『住宅に対する新たな基軸』をつくっていくこと。
『新築持家ステップアップ思考』とは、私が勝手に考えてた造語です。
賃貸住宅→分譲や新築住宅。と、人生のステージと共に住宅もステップアップさせる考え方。
くれぐれも、誤解なきようにお願いしたいのですが。
私はこの『新築持家ステップアップ思考』はダメですよ‥。といっているのではありません。
建築家にとっても建主の方との新築住宅の計画は、アグレッシブでやりがいのある仕事です。

ただ、住宅のあり方がこの選択肢だけ、というのも またつまらない。
建築家をはじめとする住宅を造る側の者は、建築を計画する前に、ライフスタイルのあり様
も提案し、選択肢をも示す義務もあるのではないだろうか‥。そんな思いもあるのです。
豊かさとは、選択肢の多さ(…多すぎるのは、よくありませんが)だと考えるからです。

たとえば、(これは私の抱く、まだ おぼろげながらのアイディアではありますが。)
『長期定住型賃貸集合住宅』
入居者の生活スタイルや家族構成の変化に対応した、終の住処となるプライベートスペース。
コミュニティーが付加価値であり、入居していることにステイタスのある賃貸式の集合住宅。
庶民的なレベルで、こんな21世紀の『同潤会アパート』のような住宅ができないだろうか‥。

空き家問題 は ネガティブで深刻な問題ではありますが
見方を変えて、新しい住宅のあり方や価値観を考えてみる、きっかけとするべきでしょう。

2014年10月5日日曜日

雨とキャンプとゲートブリッジ

昨晩は 東京ゲートブリッジの袂
若洲海浜公園にて 学生時代の仲間とキャンプ。
楽しいひととき でした。

台風18号の影響が出始めた、この朝は早々に撤収。
この前のBBQも雨。雨男は わたしかもしれない。


2014年10月3日金曜日

情報収集・木造耐火建築物の仕様



先日 UP いたしました、木造耐火建築物の仕様とする外壁の認定工法のけん。
そこに付け加えるかたちで、UP いたします。

・内壁は、(基本)強化石膏ボード(21mm) の2重貼 
・外壁は、ALC版(35mm以上) に 指定の(窯業系)サイディング(15mm以上) 
これは、木造住宅産業協会(木住協)が取得している大臣認定の仕様なのですが、
どうも、このALC版に代わり(内壁同様に)強化石膏ボードの2重貼でいける‥
という仕様があるという情報は、得ておりおりました。
なにしろ新しい基準です。いろんな仕様のバリエーションが出てくるのはいいこと。
こちらも情報収集と勉強は、怠らないようにしないといけない。まだまだ修行不足。
石膏ボードのメーカーに(吉野石膏さん)に、単刀直入に問い合わせをしてみると、
丁寧なショールームの案内と説明をいただきました。(‥このコラムはそのお礼。)

聞けば
すでに日本ツーバイフォー建築協会では、そのような大臣認定を取得済みとのこと。
たしかに、吉野石膏さんには その仕様に準じた商品があります。
それに かぶさるように
今年2014年8月22日(大臣認定ではなく)国交省の告示(861号)が施行されます。
これで、ツーバイフォー工法ばかりでなく、在来やSEなど軸組工法でも使えるように
なったとのこと。

これはいい
仕上材の選択肢も、窯業系サイディングばかりでなく、ガルバリュームなど金属板や
ジョリパットなどモルタル塗装やしっくいなど、湿式の表現もいけそうだ。

あとは コスト。
コの字型のプランは、どしても外壁の施工面積が大きくなります。
当然、全体のコストに中でも外壁施工費の割合は大きくなります。
大きな設計のポイントとなりそうです。

TG1-Project


最も早い流行語大賞候補予想

10月になりました。
今年も残すところ あと 1/4 あまり。 年を取ると、じつに早いです。
冬季五輪やW杯開催など、本来ならば、はなやかな話題の年となるところ、
海外では紛争、国内では自然災害など、暗い報道ばかりだった気がします。

そこで 毎年恒例の 流行語大賞。
つれづれに私が思う 今年の候補となるであろうコトバを考えてみました。

ゴーストライター、レジェンド、マイルドヤンキー、二刀流、妖怪ウォッチ、
STAP細胞(はあります。)駆け込み需要、自分たちの○○ができなかった、
ありのままの‥(アナ雪)、セクハラ野次、号泣県議、危険ドラッグ、
デング熱、吉田調書、ダメよ~ダメダメ。空家問題、老後破産 

海外版でいきますと
セウォール号、エボラ出血熱、イスラム国

そして、清水寺で書かれる 今年の漢字は 『誤』 ではないかな。
佐村河内氏の事件、STAP細胞の嫌疑、朝日新聞社の問題 などからです。

やっぱり 暗い世相 かな。
個人的には 忘年会 に期待をかけますか。