2014年8月31日日曜日

『捨てる』ということを実感。

週末を過ごす川越市に、ゴミ処理施設に隣接したプールの施設があります。
ゴミ処理のさい発生する焼却熱を利用した施設で、私もよく利用してます。

この日、施設の片隅に、新品同様で破格の安値が付いた椅子をみつけます。
一目で気に入りました。捨てられたもので、これから競売されるとのこと。
競売を仕切るのは、隣のゴミ処理施設の資料館とのことで、行ってみると
あの展示品の抽選はまだ未定と‥。まんまと誘導されちゃった気分ですが、
ではせっかくなので、と資料館から直接渡り廊下で繋がるゴミ処理施設の
見学コースを巡ってみました。

コースは
市内で回収されたゴミを 集積‥細かく裁断し‥焼却して熱を回収する‥
という一連の流れが、ガラス越しに見て取れます。
うぉ~ と 思わず声を上げてしまったところが 巨大なゴミ集積場です。
主に家庭からの回収ゴミは、回収車から、まずこの巨大な釜に落とされ、
巨大UFOキャッチャー(‥名前を聞き忘れました)にて、細かく裁断する
隣の釜へ移されていきます。近未来SF映画の、いち場面のようです。
この巨大UFOキャッチャーが掴めるゴミの量は約4トン とのこと。
回収車による回収量は約1.3トンで、その3台分。ゴミの量を実感します。

ゴミ処理の一端ではありますが、
目の当たりにすると、事実を現実として受け止められるようになります。

市のパンフなどから
順調に減っていた回収ゴミが、平成22年度を境に鮮明なV字カーブで再び
増えていっています。景気が上向いたことも、要因として考えられます。
そして、これは家庭などから排出されるゴミのはなし。

都内では、2020年五輪を目指して、そこかしこで道路や施設の建設など
大型プロジェクトの計画、工事が進行中です。
造る、建替える。ということは、壊す、捨てる。ということと表裏一体。
経済効果は、産業廃棄物というゴミをも、増やしていくことになります。
造る側にいる者としては、意識していなくて なりますまい。

大人の 夏休みの宿題レポート です。

2014年8月25日月曜日

赤レンガの建築

この朝の毎日新聞のコラムに目が止まりました。
日本人はなぜ、赤レンガの建築が好きなのか‥
今年亡くなられた建築史家の鈴木博之氏の解析が、興味深い。
ひとつは、縄文土器以来、瓦など焼き物が生活の原風景にあること。
もひとつは、レンガ建物の多くがルーツをもつ英国への憧れからと。

私は、もうひとつ。
手作業の建築工程への郷愁があるのではないか、と感じています。
レンガの大きさは、ひとつづつ、職人ひとりで積み上げていくのに
ちょうどよい寸法、重さでできています。赤レンガの建築を見ると、
実際にレンガを積み上げる作業は見えずとも、本能的にその手作業
をイメージしているのではないでしょうか‥。
そこに、人の佇まいや温もりを感じとっているのでは、と。

いまでは
窯業系サイディングなど、赤レンガを模した工業製品が主流です。
本物の赤レンガではなく、赤レンガのフェイク(うそ)の建材では、
佇まいや温もりもないことを、これまた本能的に感じ取っています。
工業製品に埋め尽くされた住宅メーカーの商品のTVCMが映し出す
一見、幸せそうな家族像に、ほんとは、そんなのウソだろう‥。と
内心、さめちゃうところと、根っこは同じかもしれません。

2014年8月24日日曜日

表現の自由と NHK‥ですから。

愛知県の美術館が警察の指摘から、展示作品の一部を覆い隠したという。
作品が『わいせつ』という匿名の通報に警察がやむなく動いたようです。

表現者には
つねに作品が批判にもさらされ、それを受け止める覚悟が必要です。
ただ、作品の作者・鷹野隆大氏が自らの名の下に表現しているからには
批判をする側も、氏名と所属(批判に利害関係がないこと。)くらいは
詳らかにすることは、マナーでしょう。その上で、通報するべきです。
私も、この作品を実際に見て『わいせつ』だと感じれば(ほんとのそう
感じるかもしれませんが。)そのように、するでしょう。

結果。作者・展示者側は、展示作品の一部を覆い隠した。ということは
暗に権力や批判に屈してしまったのか‥ と思いきや、記事から見るに
どうも、そう単純なものではなさそうです。
屈するのなら、展示作品を撤去すればよいわけですが、そうはしてない。
むしろ
絶妙な覆い隠しは、逆にエロチシズムを際立たせているように見えます。
権力や匿名批判に対する 粋な抗議 となっているようで痛快ですね。


NHKの特定のお笑い番組は、くだらないので止めろ。
匿名とは真逆に、国会議員という権力をもった者が公に発言することも
また、表現の自由の侵害です。(ご本人は後に撤回されたようですが。)
NHK LIFE という、お笑いコント番組で、ウっちゃんこと内村さん達
が じつに絶妙な切り返しの抗議をしていたのを思い出しました。
私も偶然、このコントの ON AIR を観てました。
ココリコの田中が仕切る情報番組のリハーサルで、ひな壇の芸人たちが
ギャクを連発しているところに、ウっちゃん扮するおカタい上司が登場。
‥まずいですねえ。お笑いは民放でやってください。NHK‥ですから!
と、次々に演出をかえて、つまんない番組にしてしまう‥というオチ。
お笑いに対する批判にお笑いを持ってする 粋な抗議 に思わず拍手。

なぜか You Tube で 観られなくなったのは残念ですが。
ありのままで‥ とか、自分たちの○○‥ とかよりも
この NHK‥ですから。 を 今年の流行語大賞に推したい。

2014年8月21日木曜日

建設工事費と事業収支の見積

2020年東京五輪にむけ建替えられる 新国立競技場 の収支。
収入から維持管理等の費用を差し引いた収支が、年間3億以上の黒字になると
先日、日本スポーツ振興センター(JSC)から発表されました。
JSCは、建替事業をやりたい側であります。
事業をやりたい側が一方的に作成した収支事業計画に、ノーチェックで言値の
融資をしてくれる金融機関なんかないわけですから、意味のない数字でしょう。
同じように、JSCが建築5団体へ回答している、改修案に否定的な見解の一つ
の要因に、改修工事費の削減が期待できないというのも、鵜呑みにできません。

新国立競技場の建替え計画の、多くの問題点は他の方々のコラムにお任せして
日頃の業務からコストに敏感な私は、どうしてもお金の話しにこだわります。

そもそも 
発注者や建築家側が 100%建設コストをコントロールできるという発想が
リスキーで、上から目線の、時代にそぐわないものと、私は考えております。
賃貸集合住宅の計画では、設計して見積もったら、予算が大幅にオーバー…
などとゆうことは、許されません。
金額調整のため、仕様だけでなく計画自体にも修正が必要となれば計画変更
(…実質、確認やり直し)となり、融資そのものとて パー となりえます。
私は、賃貸集合住宅の計画では
基本設計の段階から、請負業者さんをある程度決めて、そこからの概算見積
を睨みつつ、計画を進めるようにしております。
この手順であれば、計画段階の予算と実際の建設費の差が殆ど発生しません。
また、建設費とは、請負う側がその品質に責任を持てる金額ということです。
請負業者さん同士の競争の原理も必要ですが、それ以上に、仕事にたいする
熱意や信頼関係が大切なのだ、ということでもあります。

新国立競技場 の 計画
私は いまでも 伊東豊雄氏の改修案を支持します。
伊東氏の試算では たしか 3000億の半額 ということだったと思います。

‥よし!この建築 1500億で請負いましょう!
 仕様や内容は、伊東氏と相談させてください!

そういった セネコン、JV 現れてもいいんじゃないでしょうか。
もし、それができない ルールやしがらみ があるのなら、つまらないな。

2014年8月19日火曜日

賃貸集合住宅 テナントさんもクライアント


SOCIUS SOHO テナントさん決まりました。
入居者の方には、わざわざ挨拶にまでこられ恐縮しました。

私の計画した賃貸集合住宅では、建築そのものを気にいって
入居されるテナントさんが多いのは、素直に嬉しいことです。

賃貸集合住宅の計画とは つまり 事業です。
建設費用は おもに
事業主(建主)の方の、金融機関からの融資で賄われます。
その融資の返済は、賃料収入から支払われていくわけですが、
その賃料は、入居されるテナントさんに支払ってもらいます。
つまり、入居されるテナントさんも建設費用を出費している、
という見方できるわけですね。
‥と、いうことは、計画時点でまだお会いできていなくとも
入居者の方々も、事業主(建主)の方々と、まったく同じく
私の大切な クライアント ということがいえるわけです。

建築を気に入り、こぞって入居していただくテナントさんは
多少お家賃高めでも入居されたり、建物を大切にあつかって
くれたりと、事業主(建主)の方にとってもメリットです。

私も賃貸集合住宅の計画は やりがい を感じるところです。


2014年8月18日月曜日

SITE 軽微な変更

SOCIUS 今日から業務再開します。

お盆の休暇の間
BLOG のテンプレートを変更したのを機に
事務所のSITEにも faviconを設定しました。

このSITEは 開設以来20年
既存のテンプレートは使わず、私自身で手づくりしてます。
CSSjQueryの部分は、さすがに手伝ってもらいましたが
数年前の更新のときも、攻略本のレイアウトを参照しつつ 
なんとか 自分でUPまでしました。
( アプリは GoLive や Dreamweaver を使ってます。)

デザインを生業とするものとして、そこはこだわるところ。
WebDesign のプロの方々には、とてもかないませんが、
稚拙なところは、手づくり感 として受け止めてください。

favicon も作り方検索して 見よう見まねでつくりました。
faviconのデザインそのものには、特に意味はないのですが
モノトーンでシンプルなものをつくりました。

2014年8月16日土曜日

思い出のマーニー

夏休みのジブリの新作『思い出のマーニー』が秀作です。
思春期の微妙な内面を、アニメで巧みに表現できている。
自然の風景描写を、心理描写に利用しているのがわかる。
とくに 水 の表現が素敵。
満ち引きする湖畔 夕日に輝く水面 揺れ動くボート‥

『ディテール(詳細)に神が宿る』
建築の世界の名言ですが、アニメの表現も同じですね。
米林監督は、脱・宮崎監督をそこかしこで語ってますが、
そういった“伝統技”は踏襲していってもよいでしょう。

思春期まっ只中の子供達よりも
思春期を経験してきた、成熟した大人の作品に思えます。


2014年8月15日金曜日

リニューアル

この blog のフォームを変更しました。
アーカイブスのプルダウンは、今までのフォームにもあったのですが
投稿されたコメントが、埋もれていくような感じが気になってました。
これまで投稿してきたコメントのタイトルが、見えるテンプレートが
ありましたので、気分一新、盆休みで時間があるうちに変更しました。

リニューアル以来、ご来店の方が 増えました。
米国からのご訪問の方々も多く見受けられます。
ありがたいことです。

今後とも よろしく おねがいいたします。

2014年8月14日木曜日

2014年8月13日水曜日

ポケモン・ガウディ・ドラえもん


先日の台風の日曜、立寄った六本木ヒルズは荒れた天気でも
家族連れや子供達であふれている。ドラえもんだらけである。
森タワーの上階では ポケモン展 もあるようだ。
前日の横浜ランドマークタワーもピカチュウだらけだったな…。

そのポケモン展 の となり 森アーツセンターギャラリー
ガウディの建築とともに
SLAM DUNK や バカボンドの 漫画家 井上雄彦のタッチで
ガウディの人となりにも迫ろうとする内容でしたが、井上さん
の絵が、いはば展示物の挿絵のような立場においやられていて
観る側には “迫る” とまではいってないようで、すこし残念。
ガウディの時代年表も、箇条書きで わかりづらい。
プロジェクトマッピングも美しいけど、関連性がうすいような。
せっかくなら、サグラダ・ファミリア教会の建設の過程だけに
的を絞った展示でもよかったように思えました。
カサ・ミラの模型とサグラダ・ファミリアのCGは圧巻でした。

私がバルセロナでガウディの建築に触れたのは、もう26年前。
グエル公園も、カサ・ミラも改修工事をしていて、残念でした。
カサ・ミラ1階のバーで知り合いになった、日本人の女学生と
コロニアル・グエル内の教会にいってみると、偶然にも結婚式。
式にまざって、新郎新婦にお米をかけてきたのが 思い出かな。

2014年8月12日火曜日

自分撮りと権利


うちのネコはサルではない。この写真はネコでなくワタシが撮った。
しからば、まぎれもなく 著作権 はワタシのモノだ。

では 肖像権 はどうなるのか?
著名人や芸能人の肖像は、そのものに商業的価値があり、むやみに
扱えないことは知っている、ただ うちのネコは芸能人じゃないな。
ただ、無断で公表されたり利用されたりしないように主張する権利
はありそうだ。(Wiki より。)
彼女に確認しなくてはなるまい‥・。 ニャ~ア。

2014年8月7日木曜日

自然体で純粋な建築のありよう



乃木坂 TOTOギャラリー・間
酷暑の中、所用の帰り。ミッドタウンのゴジラから梯子見学。

ノルウェーを拠点に活動する2人の若手建築家ユニットです。

東南アジアのアレた地域で、現地の仕材、構法、そして住民をも
巻き込んだ、手作り感覚満載の建築群には、本気で感動しました。
建物が生まれ行く過程を大切に、そして作り手皆で楽しんでいる。
本来 建築 とはこういうものか。

アンドレア・G・ゲールセン、ヤシャー・ハンスタッド
2人の若者には野心がない。
自分達のスタイルを実現させたい、という、建築家の根源的欲望
(‥ポジティブに作用するなら、それもエネルギー)が見えない。
現場でつくる、という作業に徹する自然体の姿が嬉しく映ります。

ゴジラもギャラ間も お金はかかりません。
ご家族でもよいと思いますよ。



2014年8月6日水曜日

ゴジラ出現!

六本木ミッドタウン の ゴジラ は ちょっとすごかった。
見てない方には一度いってみて!ライトアップも観てみよう。



2014年8月5日火曜日

匠でなく建主のための Before/After


都内のとある旧道沿いに佇む、間口2間ほどのシャレた店舗兼住宅です。
おしゃれな改装したんだなあ‥と
ながめていると、中から女将とおぼしき中年女性が現れ、睨みつけてきます。
ぎょ!としつつ、自分が建築家であることをつげると、店内へ誘われました。
それから小一時間 彼女の愚痴を聞かされるはめになりました。
やあれ
 かってに作られた。使いづらい。頼んでもない、いらないものがある。
 いらないものは、けっこう捨てた‥。
聞けば
『匠』と称する建築家が古屋を大改造するTV番組 Before/After で改修
してもらったのだそうです。
私の知人にも、この『匠』を演った者もおります。番組で改修された全てで
こんなトラブルがあるとは限らないのでしょうが、いやはや、参りました。

これは、数年前にあったエピソードです。
と、あるネット上のコラムの論争を読んでいて、ふと思い出していました。

元フジTVアナウンサー 長谷川豊氏 『テレビがつまらなくなったわけ』
対するは 企画家・片岡英彦氏『テレビがつまらなくなった(本当の)わけ』

個人的な非難や批判は本意ではないのですが、このやり取りに関してだけは
もの(番組)づくりへの真摯な対応を訴える 片岡氏に 一票投じたいです。

片岡氏の曰く、テレビというメディアはインタラクティブ(双方向性)が弱い。
伝える側として、作る側として、どうしても一方的な立場になります。
これが知らず知らず、TV関係者を上から目線にしてしまうのかもしれません。
長谷川氏の草なぎ君(さん)の会見質問の一件などが、まさにそれでしょう。

インタラクティブ(双方向性)
大改造にしろ新築にしろ、設計者と建主との関係でも大切なものだと思います。
 ‥ここは こうゆうふうにしたな! ‥こんなアイディアはどうでしょう?
設計者と建主とお互い、いろんな意見や想いをぶつけ合うこと。そこが楽しい。
ただらいいものが出来上がる、と思うのですが、Before/Afterではそれがない。
『匠』からの一方的な作品提供です。まさにTV的な発想といえましょう。

『匠』はともかく、私もTV番組からいろいろ依頼をうけたことがあります。
お固いインタヴューもありましたが、恣意的な演出もあり、もう受けません。
‥こういった設計趣旨の住宅。至急紹介してください!
制作会社の若い方から、すがりつくような電話が掛かってきたこともあります。
取材はお住まいの方々にご迷惑をかけることになりますので、遠慮しています。

TV関係の方々には、無愛想で恐縮であります。








2014年8月3日日曜日

ゴジラ “God”zilla 

日本の男子たるもの、夏休みには『怪獣映画』を観なくてはいけません!
ハリウッド版 『ゴジラ』  よかった、拍手。

昨年夏のハリウッド版怪獣映画『パシフィック・リム』でも触れました。
終盤の 怪獣(KAIJU)とジプシー・デンジャーとの海底での格闘シーンが
初代ゴジラ(1954年公開)のラストシーン‥
‥孤高の独眼竜科学者・芹沢(平田昭彦)がゴジラと共に自爆する場面。
にそっくりであること。
エンドロールにあった 作品を捧げる と記された 本多猪四郎 とは
この日本版初代『ゴジラ』の監督であったこと。
ギレルモ・デル・トロ監督の 日本版初代『ゴジラ』へのリスペクトに
胸が熱くなったことを覚えています。

この『ゴジラ』2014 でも 
主要人物の博士(渡辺謙)の名が 芹沢猪四郎 であることからも
製作陣の日本版初代『ゴジラ』への思いは理解できます。

その芹沢博士の 劇中での台詞
 『人間がごう慢なのは
  自然は人間の支配下にあり、その逆ではないと考えている点だ。』
 ( web_siteより )
この “支配下” という言葉は コントロール という単語でありました。
これは、我が国の首相が五輪招致のプレゼンで事故後の原発を語った台詞
 『状況は完全にコントロールされています。』
を “完全に” おちょくった かたちです。

『ゴジラ』とは万物摂理を司る、いはば 神 “God”zilla であるという
コンセプトを理解し、受け入れてもらっているところが嬉しいのですが、
それでいて、やらた家族(Family)が強調されていたり、映像の随所に
( ‥あれ、このシーン まんま どっかで観たぞ?)といった部分が
ご愛嬌だったり、ハリウッド映画のエッセンスも忘れられていません。

おすすめ。

続編も決まったそうですが
つぎは 宿敵『キングギドラ』と戦ってほしいね。